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今月の表紙は、東野幸治さん。

波 2020年3月号

(毎月27日発売)

100円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2020/02/27

発売日 2020/02/27
JANコード 4910068230300
定価 100円(税込)
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阿川佐和子/やっぱり残るは食欲 第30回

【『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』最終回記念特集】
ブレイディみかこ/ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 最終回
[対談]ブレイディみかこ×坂上 香/「ささいな言葉」が奇跡を起こす
【短期集中連載】
小林信彦/『決定版日本の喜劇人』最終章・改
北方謙三『生きるための辞書―十字路が見える―』
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東野幸治『この素晴らしき世界』
てれびのスキマ/ハチャメチャで破天荒で人並み外れていて愛おしい

白石一文『君がいないと小説は書けない』
松尾 潔/とくべつな才能の主による自伝的小説

黒川創『暗い林を抜けて』
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ポール・オースター、柴田元幸/訳『サンセット・パーク』
上田岳弘/ミレニアム以降の世界

瀬名秀明『ポロック生命体』
瀬名秀明/人間の輪郭、小説の輪郭

霧島兵庫『フラウの戦争論』
[インタビュー]霧島兵庫/僕が戦いを描く理由

NHK「事件の涙」取材班『娘を奪われたあの日から―名古屋闇サイト殺人事件・遺族の12年―』
磯谷富美子/誰もが犯罪被害者になり得る時代に

ドナルド・キーン『日本文学を読む・日本の面影』(新潮選書)
キーン誠己/父ドナルド・キーンの遺したもの

フランソワ・リュファン、飛幡祐規/訳『裏切りの大統領マクロンへ』
陣野俊史/極端な格差社会を可視化する

ミシェル・フーコー、渡辺一民/訳、佐々木明/訳『言葉と物〈新装版〉―人文科学の考古学―』
慎改康之/避けて通ることのできない書物

【『特別な友情―フランスBL小説セレクション―』(新潮文庫)刊行記念】
[フレンチBL講義]森井 良/「特別な友情」という名の「愛」
【追悼 藤田宜永さん】
佐藤誠一郎/グッド・バイ

【私の好きな新潮文庫】
石田 千/大学生と読む三冊
 志賀直哉『和解
 アン・モロウ・リンドバーグ、吉田健一/訳『海からの贈物
 夏目漱石『三四郎

【今月の新潮文庫】
一條次郎『動物たちのまーまー』
一條次郎/まーまーのまーまー 刊行記念ショートストーリー

【コラム】
[とんぼの本]
とんぼの本編集室だより

[新潮新書]
古川哲史『心臓によい運動、悪い運動』
古川哲史/なぜゴリラはメタボにならないのか

[新潮選書]
岩村 充『国家・企業・通貨―グローバリズムの不都合な未来―』
北村行伸/シビレるMMT(現代通貨理論)批判

三枝昂之・小澤 實/掌のうた

【連載】
バリー・ユアグロー 柴田元幸 訳/オヤジギャグの華 第11回
南沢奈央、イラスト・黒田硫黄/今日も寄席に行きたくなって 第3回
永田和宏/あなたと出会って、それから…… 第3回
小松 貴/にっぽん怪虫記 第3回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 最終回
会田弘継/「内なる日本」をたどって 第9回
川本三郎/荷風の昭和 第22回

編輯後記 新潮社の新刊案内 編集長から

立ち読み

編集長から

今月の表紙は、東野幸治さん。

蓮實重彦さんの「ジョン・フォード論」(「文學界」)を楽しみに読んでいます。筒井康隆さんも愛読されている由。行文が読者に懇切丁寧で、例えば毎回の切れ場を講釈師ふうにされていて浮き浮きしてきます。
◎フォード映画の常連ベン・ジョンソンが度々言及されるのを読んでいるうち、わたしがこの役者を知ったのは、そうだ、村上春樹さんの小説だった、と思い出しました。
◎「『ベン・ジョンソン?』/『ジョン・フォードの古い映画に出てくる乗馬のうまい俳優さ。すごくきれいに馬に乗るんだ』」「そのあいだ私はずっとベン・ジョンソンのことを考えていた。馬に乗ったベン・ジョンソンの姿だ。『アパッチ砦』や『黄色いリボン』や『幌馬車』や『リオ・グランデの砦』に出てくるベン・ジョンソンの乗馬シーンを私はできる限り頭の中に思い浮かべた。」「そしてベン・ジョンソンはそんな風景の中を矢のように駆け抜けていた。カメラはレールの上をどこまでも移動しながら、彼の雄姿をフレームの中に収めつづけていた。」(さて、村上さんのどの小説からの引用でしょう?)ジョンソンはカウボーイの息子で、「アパッチ砦」でスタントマンをつとめていた時、フォードに見出されます。
◎フォードが彼と出会う直前に撮ったのが野心作「逃亡者」(原作はグレアム・グリーン)。監督お気に入りの一本ですが興行的には失敗。それをカバーするため「アパッチ砦」を撮ったそうですから、コケて良かった? グリーンの愛読者である遠藤周作さんによれば……と全集をひっくり返していたら、この『沈黙』の作家が『情事の終り』を大誤読している実に面白い記述に出会ったのですが、残念乍ら紙幅はここまで。以下次号!?
▽次号の刊行は三月二十七日です。

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。