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今月の表紙は、岩井勇気(ハライチ)さん。

波 2019年10月号

(毎月27日発売)

102円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2019/09/26

発売日 2019/09/26
JANコード 4910068231093
価格 102円(税込)
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阿川佐和子/やっぱり残るは食欲 第25回

【岩井勇気『僕の人生には事件が起きない』刊行記念特集】
[鼎談]岩井勇気×佐久間宣行×能町みね子/なんでもないことを書いてみたら
佐藤多佳子/平穏のような不穏
【北村 薫『本と幸せ』刊行記念特集】
貫井徳郎/師匠と呼ばせてください
『本と幸せ』付録CDのお知らせ

澤田瞳子『名残の花』
内藤麻里子/明治に息づく鳥居耀蔵、もつれた糸を解く

楡 周平『鉄の楽園』
村上貴史/お互いに素敵な未来へ

ウェイク・ワン、小竹由美子/訳『ケミストリー』
村井理子/そっと抱きしめてあげたい

大塚ひかり『エロスでよみとく万葉集 えろまん』
伏見憲明/パンクロックで万葉集

中山七里『死にゆく者の祈り』
宇田川拓也/戒律や法律を超える魂の発火

杉本圭司『小林秀雄 最後の音楽会』
矢部達哉/「私はあなたに感謝する」

市川憂人『神とさざなみの密室』
辻 真先/まったく新しいカタチの本格ミステリ

三好昌子『幽玄の絵師―百鬼遊行絵巻―』
茶木則雄/応仁の乱前夜を描いて心揺さぶられる

今福龍太『宮沢賢治 デクノボーの叡知』
藤原辰史/私有されない希望

横井秀信『異端の被爆者―22度のがんを生き抜く男―』
直野章子/引き継がれた記憶のバトン

【インタビュー】
メッテ・ホルム/村上春樹を翻訳するときに翻訳者が夢見ること
吉田修一/吉田修一、(新潮文庫の)自作を語る 後篇

【『図書室』(岸 政彦著)刊行&『劇場』(又吉直樹著)文庫化記念対談】
岸 政彦×又吉直樹/表現するって恥ずかしい 前篇

【追悼 池内 紀】
川本三郎/『ヒトラーの時代』に込められたもの

【私の好きな新潮文庫】
長山靖生/大切なことはSFに教わった
 星 新一『妄想銀行
 筒井康隆『家族八景
 小松左京『やぶれかぶれ青春記・大阪万博奮闘記

【今月の新潮文庫】
中村義洋、山本博文/原作『決算! 忠臣蔵』
中村義洋/映画か小説か? 映画も小説も!

【コラム】
竹田津実『生態写真集 キタリス』
担当編集者/リスと友になった獣医師の物語

三枝昂之・小澤 實/掌のうた

[新潮新書]
佐々木健一『「面白い」のつくりかた』
佐々木健一/「面白い」には理由がある

[とんぼの本]
岡田秀之『いちからわかる 円山応挙』
とんぼの本編集室/応挙の衝撃
とんぼの本編集室だより

【連載】
ブレイディみかこ/ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 第22回
保阪正康/昭和史の陰影 最終回
伊藤比呂美/URASHIMA 第17回
土井善晴/おいしく、生きる。 第12回
バリー・ユアグロー 柴田元幸 訳/オヤジギャグの華 第6回
会田弘継/「内なる日本」をたどって 第4回
はらだみずき/やがて訪れる春のために 第10話
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第115回
川本三郎/荷風の昭和 第17回
曽野綾子/人間の義務について 第9回

第十八回小林秀雄賞・新潮ドキュメント賞 決定発表
編輯後記 新潮社の新刊案内 編集長から

立ち読み

編集長から

今月の表紙は、岩井勇気(ハライチ)さん。

◎最近出た『定本 バブリング創世記』(徳間文庫)の自作解説で、筒井康隆さんが「ヘミングウェイの作品に『ナダにまします我らがナダよ、ナダこそ御身の名にして』うんぬんと続くお祈りのパロディがあり、ナダは虚無という意味で、いわば『無意味』だから、いつかこの手を使って『聖書』の無意味なパロディをやってやれと思っていたのである」と明かしていて、飛び上がりました。この表題作は「ドンドンはドンドコの父なり。ドンドンの子ドンドコ、ドンドコドンを生み、ドンドコドン、ドコドンドンとドンタカタを生む」と、無意味という意味が延々と展開されていくダダ的な傑作。あれはヘミングウェイ由来だった!
◎筒井さんが言及している作品は、ジョイスも讃嘆した「清潔で、とても明るいところ」という短篇。新潮文庫高見浩訳で引きます。「ナダにましますわれらのナダよ、願わくは御名のナダならんことを、御国のナダならんことを(略)。無に満てる無を祝福したまえ、無はなんじのものなればなり」。
開高健さんは、南北アメリカ大陸五二三四〇キロを九ヶ月かけて旅した果てにこう書きつけます。「ベッドによこたわってよれよれになった短篇集の頁をるともなく繰ってみると、『清潔な、明るい場所』の老人は今夜も呟やいている。すべてはナーダにしてナーダ、かつナーダにしてまたナーダにすぎぬのだ。ナーダにまします……」(『もっと広く!』末尾。ただし原典で呟くのは老人でなく、老人が通うカフェのウェイター)。大事業を為した後の虚無や倦怠を表明しているわけですね。
◎「無」を虚無と受けとる作家と、無意味と解する作家。このnada(スペイン語のnothing)、みなさんならどう捉えますか?
▽次号の刊行は十月二十八日です。

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雑誌から生まれた本

波とは?

1967(昭和42)年1月、わずか24頁、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後といった時代でした。この後、1969年に隔月刊に、1972年3月号からは、毎月刊行の月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしました。

 創刊号の目次を見てみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行した北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイ。続く「最近の一冊」では、小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイ。続いて「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 以来41年、2007(平成19)年6月号で通巻450号を迎えました。読書情報誌としての重要な役割の情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。小川国夫『青銅時代』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、遠藤周作『イエスの生涯』(「聖書物語」を改題)、小林信彦『ちはやふる奥の細道』『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』などなど。

 2007年1月号からはレイアウトもリニューアル、頁数も増え128頁となりました。これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みで、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。