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今月の表紙の筆蹟は、トーン・テレヘンさん。

波 2021年5月号

(毎月27日発売)

100円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2021/04/27

発売日 2021/04/27
JANコード 4910068230515
定価 100円(税込)
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【筒井康隆掌篇小説館】
筒井康隆/楽屋控
阿川佐和子/やっぱり残るは食欲 第44回
【追悼 平野甲賀さん】
沢木耕太郎/問題ない、と平野甲賀は言った
林 真理子『小説8050』
三浦友和/自分をさらけ出した先に見えるもの

坂口恭平『躁鬱大学―気分の波で悩んでいるのは、あなただけではありません―』
養老孟司/人生の参考書

安西カオリ『ブルーインク・ストーリー―父・安西水丸のこと―』
角田光代/対等な教訓

磯部 涼『令和元年のテロリズム』
青山真治/グレイト・プリテンダーたちの闇の奥

【朱野帰子『わたし、定時で帰ります。―ライジング―』刊行記念対談】
朱野帰子×青木祐子/正義の使者はいりません。

トーン・テレヘン、長山さき 訳『キリギリスのしあわせ』
津村記久子/親切という運命の受け入れ方

小山田浩子『小島』
豊崎由美/いきものがかりでカープがかり

森田真生『計算する生命』
福岡伸一/理系知と人文知のあいだ

カレー沢 薫『モテるかもしれない。』
朱野帰子/モテと非モテの分断を超えてゆけ

高杉 良『破天荒』
加藤正文/破天荒記者、時代を駆ける

周木 律『あしたの官僚』
村上貴史/若手官僚の生の苦闘を体感しよう

大塚ひかり『うん古典―うんこで読み解く日本の歴史―』
大塚ひかり/うんこぼれ話

中坊徹次『絶滅魚クニマスの発見―私たちは「この種」から何を学ぶか―』(新潮選書)
西木正明/光差す故郷の湖を語り継ぐ
【特別エッセイ】
佐江衆一『野望の屍』に寄せて
安西篤子/あの日、ヒトラーを見た私
【短篇小説】
北村 薫/手
【映画「砕け散るところを見せてあげる」公開記念対談】
竹宮ゆゆこ『砕け散るところを見せてあげる』(新潮文庫nex)
竹宮ゆゆこ×中川大志/僕は清澄に似ている
【私の好きな新潮文庫】
佐久間由衣/書き残された自意識
 太宰 治『パンドラの匣
 柚木麻子『BUTTER
 中村文則『遮光
【今月の新潮文庫】
本橋信宏『全裸監督―村西とおる伝―』
本橋信宏/あの日、窓から見た景色
【コラム】
関 裕二『古代史の正体―縄文から平安まで―』(新潮新書)
関 裕二/古代史の真実が見えにくい理由

[とんぼの本]
とんぼの本編集室だより

三枝昂之・小澤 實/掌のうた
【連載】
ジェーン・スー/マイ・フェア・ダディ! 介護未満の父に娘ができること 第8回
南沢奈央 イラスト・黒田硫黄/今日も寄席に行きたくなって 第17回
永田和宏/あなたと出会って、それから…… 第17回
二宮敦人/ぼくらは人間修行中 第6回
小松 貴/にっぽん怪虫記 第17回
川本三郎/荷風の昭和 第36回
編輯後記 いま話題の本 新刊案内 編集長から

立ち読み

編集長から

今月の表紙の筆蹟は、トーン・テレヘンさん。

◎四月の歌舞伎座は玉三郎と仁左衛門の「さくらひめあずまぶんしょう」上の巻。桜姫、僧清玄、稚児白菊丸、悪党つりがね権助が綾なす色と美と宿業の渦巻く世界にうっとりしました。桜姫が女郎に落ちてからの下の巻は六月公演の楽しみ。
◎この南北の傑作は初演後百年以上埋れていたのが、戦後になって当り狂言となります。戦後初上演の監修は三島由紀夫。「(『桜姫』は)最低の猥雑さの中に、最高の優雅が自若として住んでゐる」と書いた三島は、後に白菊丸役で脚光を浴びた十七歳の玉三郎を自作「椿ちんせつゆみはりづき」に抜擢しました。
◎一度、玉三郎丈に取材インタビューしたことがあります(「yom yom vol.13」)。「椿説」の頃、丈は愛する加藤道夫「なよたけ」を三島に軽んじられ、早速「『サド侯爵夫人』を読んだけど、さっぱりわからなかった」、「後年演じて、先生のリビドーに関係していると理解はできた。でも私の人生観や官能には関係がない」云々。率直に批評しながら、(紙幅の都合で引用しませんが)作家の心情も思いやる情理備えた口吻に感動しました。
◎僕が、勘三郎さんとの「いわしうりこいのひきあみ」は素晴らしかったですと言うと、丈は口元を綻ばせ、「あれは『桜姫』のパロディだと思うの。三島先生の中では幸せな作品じゃないかしら。歌舞伎という様式に救われている気もするけれど」。「桜姫」観劇後、取材を思い返しながら木挽町を歩いていたら、何と玉三郎・勘三郎の「鰯売」のポスターが! 目を凝らすと六月封切シネマ歌舞伎の宣伝用でした。桜姫と蛍火、遊女になった二人のお姫様を、一方は片方のパロディだと意識しながら演じ分けるとどんな発見があるのか? 『金閣寺』末尾じゃありませんが、六月迄は「生きようと」思いましたねえ。
▽次号の刊行は五月二十七日です。

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雑誌から生まれた本

波とは?

1967(昭和42)年1月、わずか24頁、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後といった時代でした。この後、1969年に隔月刊に、1972年3月号からは、毎月刊行の月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしました。

 創刊号の目次を見てみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行した北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイ。続く「最近の一冊」では、小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイ。続いて「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 以来41年、2007(平成19)年6月号で通巻450号を迎えました。読書情報誌としての重要な役割の情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。小川国夫『青銅時代』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、遠藤周作『イエスの生涯』(「聖書物語」を改題)、小林信彦『ちはやふる奥の細道』『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』などなど。

 2007年1月号からはレイアウトもリニューアル、頁数も増え128頁となりました。これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みで、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。