ホーム > 雑誌 > 雑誌詳細:波 > 雑誌詳細:波 2023年3月号

今月の表紙の筆蹟は、宮田愛萌さん。

波 2023年3月号

(毎月27日発売)

100円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2023/02/28

発売日 2023/02/28
JANコード 4910068230331
定価 100円(税込)
「波」はお近くの書店からもご注文できます。
筒井康隆/老耄美食日記 第2回
阿川佐和子/やっぱり残るは食欲 第66回
【千早 茜『しろがねの葉』直木賞受賞記念Wエッセイ】
千早 茜×新井見枝香/胃が合うふたり 直木賞受賞編
【町田そのこ『あなたはここにいなくとも』刊行記念特集】
白鳥久美子/心強いおばあちゃんたち
眞鍋かをり/いなくなったからこそ伝わってくること
宮田愛萌『きらきらし』
[対談]宮田愛萌×三宅香帆/万葉集を愛する二人の多すぎる共通点

井上荒野『僕の女を探しているんだ』
俵 万智/遠回りで本質的な「愛の不時着論」小説

ベルンハルト・シュリンク、松永美穂 訳『別れの色彩』(新潮クレスト・ブックス)
永江 朗/じわりじわりと心にしみる

阿川佐和子『母の味、だいたい伝授』
南陀楼綾繁/女王が作った滋養たっぷりのスープ

古川真人『ギフトライフ』
武田砂鉄/いつの間にか順応する

望月諒子『野火の夜』
大森 望/心を鷲掴みにする圧倒的な迫力

頭痛ーる編集部『月間100万人利用アプリ! 頭痛ーるが贈る しんどい低気圧とのつきあいかた』
[感想マンガ]いしかわひろこ/頭痛ーるが贈るしんどい低気圧とのつきあいかた

鶴岡路人『欧州戦争としてのウクライナ侵攻』(新潮選書)
千々和泰明/「欧州」の視点からロシア・ウクライナ戦争の本質を読み解く

錦織一清『少年タイムカプセル』
霜田明寛/ジャニーズにかけられた呪いを解く

【早花まこ『すみれの花、また咲く頃―タカラジェンヌのセカンドキャリア―』刊行記念】
[対談]早花まこ×山里亮太/常軌を逸した「夢」の先
最果タヒ/見つめて、語られる人生。
【短篇小説】
北村 薫/授業から映画

【特別エッセイ】
森下典子『日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ―』
森下典子/岐阜かローマか ローマか岐阜か
【私の好きな新潮文庫】
高島礼子/心安らぐ時間
 西條奈加『善人長屋
 上橋菜穂子『精霊の守り人
 澤田瞳子『名残の花
【今月の新潮文庫】
遠藤周作『影に対して―母をめぐる物語―』
遠藤龍之介/封印された原稿
【コラム】
三宅香帆/物語のふちでおしゃべり 第12回

北中正和『ボブ・ディラン』(新潮新書)
北中正和/なぜボブ・ディランは学生街で流れていたのか

三枝昴之・小澤 實/掌のうた

[とんぼの本]編集室だより

崎山蒼志/ふと、新世界と繋がって 第6回
【連載】
エリイ(Chim↑Pom from Smappa!Group)/生時記 第7回
近藤ようこ 原作・梨木香歩/家守綺譚 第6回
大木 毅/指揮官と参謀たちの太平洋戦争 第4回
二宮敦人/ぼくらは人間修行中 第26回
橋本 直(銀シャリ)/細かいところが気になりすぎて 第5回
伊与原 新/翠雨の人 第15回
川本三郎/荷風の昭和 第58回

編輯後記 いま話題の本 新刊案内 編集長から

立ち読み

編集長から

今月の表紙の筆蹟は、宮田愛萌さん。

村上春樹さんの新作の四月刊行が発表されました。愉しみですねえ。早く読みたいあまり、ふと思い出したのは「プラダを着た悪魔」に出てきた「『ハリー・ポッター』の次巻を入手しろ」という有名な無理難題。「ミザリー」では、身勝手な期待に添わない原稿を読んで激怒した愛読者が作家を……。筒井康隆さんの『虚航船団』の時は、発売二日前に「もう出来ている筈」と糸井重里さんが小社へ買いに来たという逸話もあります。
◎まだ世に出ていない最新作は勿論ですが、〈かつて存在しながら失われてしまった作品〉も蠱惑的です。万一発見されたら大騒ぎになる筆頭は『源氏物語』(「雲隠」の本文や、藤壺と源氏が関係を持つ帖がもし出てきたら!)。また、映画の世界には失われた名作珍作をなぜか秘蔵するフィルムコレクターという人々がいて、そのアヤシクも愛おしい狂熱を巻き込まれつつ描き出したのが山根貞男さんの新刊『映画を追え』。
◎フィルムコレクターの中には「あれもこれも持ってる」と言い乍ら本当は持っていなさそうな人もいる由。一方誰も当の小説の全体像を知らない自作を「すぐ完成する。大傑作だ」と言い続けたのはカポーティ。『叶えられた祈り』についての弁ですが、残されたのは三章のみ。尤も没後三十年程後に新章が見つかるなど真相は藪の中です。
◎M・プーヅォ(『ゴッドファーザー』)『愚者は死す』に、巨額の前払金を貰ったのに、傑作どころか構想メモだけを遺して死ぬ作家が出てきます。カポーティがモデル? 『叶えられた祈り』の評価は本国では低いようですが、一見肌が合いそうもない城山三郎さんは「『ただの“面白い道化”』では描けない」と賛嘆しました。これ、読んで確かめたくなりません?
▽次号の刊行は三月二十八日です。

お知らせ

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。