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【特集 2020年に生まれた新人作家】
岸本 惟/高瀬乃一/パリュスあや子/千葉ともこ/荻堂 顕/蝉谷めぐ実/夏木志朋

小説新潮 2021年6月号

(毎月22日発売)

1,000円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2021/05/21

発売日 2021/05/21
JANコード 4910047010619
定価 1,000円(税込)
■目次
【特集 2020年に生まれた新人作家】
もう、未来しかない――
コロナの時代に出現した
きらめく才能たちを
一挙紹介します

岸本 惟/砂の灯台
――砂漠のなかの港町。夏至祭の夜、灯台の光に導かれるのは

◆高瀬乃一/水仙香
――役目のない淳之介に幼馴染の同心・青柳が持ち込んだのは

◆パリュスあや子/光を飾る
――家族の心配を振り切り、パリで額装職人として働く茜だが

◆千葉ともこ/長相思
――肚の裡を見せない李白が杜甫に語るのは、十五年前の出来事で

荻堂 顕/スモーク・オン・ザ・リバー
――大麻と売春。異国の闇にまぎれて生きる男にとある依頼が

◆蝉谷めぐ実/役者女房の紅
――待ちに待った芝居見物。ご贔屓に熱を上げるお春の席の隣には

◆夏木志朋/ヘルシー
――私のティンカーベル、名前はケリー。「嘲り」のケリーだ

【書評】
吉田大助/二〇二〇の新人と「現代エンタメ」の多層性

【新連載小説】
伊吹有喜あかりの島
――陸の孤島にして海路の都、尾鷲。戦時下の不安の中で微かに瞬く、若者たちの希望の行方

【特選読み切り】
◆泉ゆたか/世田谷でCM撮影
――追いかけてきた「芸能人」の夢。東京でつまずいた華の前に「大阪のおばちゃん」が現れ

【グラビア】
日本ファンタジーノベル大賞2020贈呈式

【映画「いとみち」公開記念特別エッセイ】
◆駒井 蓮/いとと糸が教えてくれたこと
――映画は青森県・津軽を舞台に16歳の成長を描く。主演女優が綴る作品と故郷の想い

【好評連載第二回】
◆田中卓志(アンガールズ)/ちょっと不運なほうが生活は楽しい
――今の自分の原点かもしれない、高校時代のほろ苦い思い出

【バラエティコラム】
〈うれしい買い物〉一色さゆり
〈あのとき聴いた音楽〉中野俊成
〈そのとき(わたしの)歴史が動いた〉レイソン美帆

【連載エッセイ・ノンフィクション・マンガ】
◆いしいひさいち/剽窃新潮
岩井勇気/僕の人生には事件が起きない
◆掟ポルシェ/全部お前が悪い
佐藤 優/村上春樹『騎士団長殺し』を読む
◆スズキナオ/家族が一番わからない
高橋秀実/おやじはニーチェ
中野信子/孤独な脳、馬鹿になれない私
益田ミリ/ツユクサナツコの一生
群ようこ/四十年、こんな感じで書いています
◆山本さほ/てつおとよしえ

【新作映画紹介】
◆紙の上の映画館

◆本の森――新刊文芸書から、選りすぐりを紹介
〈医療・介護〉杉江松恋
〈ホラー・ミステリ〉村上貴史

【好評連載小説】
江國香織/ひとりでカラカサさしてゆく
木内 昇/雪草紙 雲の脚
窪 美澄/夏日狂想
今野 敏/探花 隠蔽捜査9
桜木紫乃/緋の河 第二部
千早 茜/しろがねの葉
馳 星周/眠らぬ王 極夜・第二部
原田ひ香/財布は踊る
宮城谷昌光/公孫龍
宮部みゆき/Ghost Story
山本一力/ひむろ飛脚

第四十回「新田次郎文学賞」決定発表
「日本ファンタジーノベル大賞2021」募集要項
次号予告

この号の誌面

編集長から

エンタメ小説のまぶしい未来

 どんなに悲しいニュースが続いても、ここには確かに希望がある。そう強く思える号が出来ました。特集「2020年に生まれた新人作家」では、去年デビューした七人が短編を発表。ミステリにファンタジー、時代小説とジャンルも幅広く、粗削りなところもありますが、ここからどこへ飛躍していくんだろうと考えると、わくわくが止まりません! さらに書評家の吉田大助さんが、この一年間プラスαの新人賞受賞作を総ざらえ。怒涛の三八作を多層的にマッピングすることで現代エンタメの世界地図を描きだす、壮大かつ渾身の評論を寄せてくださいました。エンタメ小説の未来は明るいと断言できます。
 伊吹有喜さんの新連載「灯りの島」は、三重県尾鷲市が舞台。険しい紀伊山地と熊野灘に挟まれたこの町は戦前、海軍の部隊が置かれた海の要衝でした。光る波と夏みかんの花に囲まれ、少女たちはゆっくりと大人になっていく――ここにもまた、まぶしい未来がありました。

小説新潮編集長 西麻沙子

次号予告

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

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