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新連載 古川日出男「曼陀羅華X 2004」(160枚)
高山羽根子「首里の馬」(230枚)
対談 千葉雅也+岸 政彦

新潮 2020年3月号

(毎月7日発行)

特別定価1,100円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2020/02/07

発売日 2020/02/07
JANコード 4910049010303
定価 特別定価1,100円(税込)

曼陀羅華X 2004[新連載 一六〇枚]/古川日出男
湾岸の姉妹、教祖を奪還させた作家、オウムの夢を見続ける男。予言ヴィジョンは撒布され始めた!
首里の馬[二三〇枚]/高山羽根子
未名子の孤独は響きあう。異国の友、そして幻の宮古馬ナークーと。沖縄史を射貫く、知への意志。
詩人ちゃん・キル・ミー(二)/最果タヒ
人を幸せにする仕事藤野可織
遭いたい人瀬戸内寂聴
江華島松浦寿輝
プリニウス(六十六)/ヤマザキマリ+とり・みき
■■ 連載小説 ■■
全然(七)/滝口悠生
漂流(十一)/町田 康
ヒロヒト(十七)/高橋源一郎
ビッグ・スヌーズ(二十四)/矢作俊彦
荒れ野にて(四十八)/重松 清
■■ 新潮 ■■
◆生きているぞー/青木美紅
◆服を読む/井上雅人
◆アイデアの自由市場/柿埜真吾
◆ブルース・ビックフォード、寄せては返す宇宙の波間にて/土居伸彰
第52回《新潮新人賞》応募規定
【選考委員】大澤信亮/小山田浩子/鴻巣友季子/田中慎弥/又吉直樹
【対談】学問と文学の間で千葉雅也+岸 政彦 コーディネイター・西成彦
執筆には常に「制約」が必要である――哲学と社会学から文学へ漸近する二人が語り合う。
世紀末ウィーンをめぐる考察福田和也
――技術、耽美、人道
【追悼 坪内祐三】
文学という器福田和也
坪内さんは追悼文が大好きだった平山周吉
わたしの声の複数鈴木みのり
――トランスジェンダー女性の生/性の可能性を探って
石牟礼道子と渡辺京二米本浩二
不器用な魂の邂逅(3)

令和元年のテロリズム磯部 涼
第三回 京都アニメーション放火事件から考える
【リレーコラム】Passage――街の気分と思考(8)
港町で砂漠を思う多和田葉子
忠信朝吹真理子
OH MY GODエリイ(Chim↑Pom)
第六回・身体の中に無意味な存在があるね
保田與重郎の文学(十七)/前田英樹
水戸学の世界地図(四十七)/片山杜秀
小林秀雄(六十一)/大澤信亮
地上に星座をつくる石川直樹
第八十二回・初めての映画撮影
見えない音、聴こえない絵(一八二)/大竹伸朗
■■ 本 ■■
◆滝口悠生『やがて忘れる過程の途中(アイオワ日記)』/阿久津 隆
◆高山羽根子『如何様』/成相 肇
◆村田沙耶香『変半身』/畑中章宏
◆谷崎由依『遠の眠りの』/水原 涼

この号の誌面

立ち読み

編集長から

古川日出男「曼陀羅華X 2004」
高山羽根子「首里の馬」

古川日出男の新連載「曼陀羅華まんだらげX 2004」(第一回一六〇枚)を開始する。先行作「曼陀羅華X 1994―2003」(小誌昨年十月号)の後継でもある。主人公は、一九九五年、警察庁長官が狙撃された日にオウム真理教に拉致された小説家。彼は教団の予言書(教祖奪還!)を強制的に書かされた。舞台は二〇〇四年東京。「第三警察」が生まれ、海外への完全武装派兵が実行され、時代の鬱屈が充溢する日本で、拉致を逃れた小説家は全身全霊で創作する。〈予言書〉で産んでしまった世界には、〈本〉で対抗するしかないのだ。本作は古川日出男の魔術的想像力の極限ではないか◎高山羽根子「首里の馬」(二三〇枚)の主人公は沖縄に暮らす女性。「孤独な業務従事者への定期的な通信による精神的ケアと知性の共有」を旨とする業務をおこないながら、その合間に沖縄史を記録保存する資料館を手伝っている。これは地球規模の孤独と沖縄史の痛みの双方を見据える力作だ。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞