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自衛隊最高幹部が語る令和の国防

岩田清文/著 、武居智久/著 、尾上定正/著 、兼原信克/著

902円(税込)

発売日:2021/04/19

書誌情報

読み仮名 ジエイタイサイコウカンブガカタルレイワノコクボウ
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 271ページ
ISBN 978-4-10-610901-0
C-CODE 0231
整理番号 901
ジャンル 政治・社会
定価 902円
電子書籍 価格 902円
電子書籍 配信開始日 2021/04/19

陸海空「平成の名将」が集結! さらば空想的平和主義! 中国はこうして抑えよ。

令和日本の最も重要な戦略的課題は、力による現状変更に躊躇しなくなった中国の封じ込めである。台湾有事は現実の懸念であり、その際には尖閣諸島や沖縄も戦場になる可能性がある。自衛隊は本当に国土・国民を守り切れるのか。日米同盟は機能するのか。そして国民に「有事への備え」はあるのか。陸海空の自衛隊から「平成の名将」が集結、「軍人の常識」で語り尽くした「今そこにある危機」。

目次
はじめに
第1章 日本の戦略環境
チャイナリスクを顕在化させた新型コロナウイルス
アメリカ・ファーストは加速し、中国は膨張する
コロナウイルス禍でもらった「宿題」
今のままでは非常時の自衛隊をメンテナンスできない
無人化、リモート化をさらに進めよ
中国の台頭と日米同盟の対応
共産党政権が崩壊しない限り、中国は「現状変更」しつづける
陸のアジア、海のアジア
サラミスライス戦略にはその都度対応せよ
南シナ海における中国の兵站線を引き伸ばせ
ロシア、インド、オーストラリア、ヨーロッパ
第2章 台湾危機への対応
台湾は日本防衛の最前線
中国の弱み
むしろ近年が危ない?
「米台合同軍事作戦」は現実的でない
日本は台湾に軍事協力せよ
第3章 朝鮮半島
有事に韓国を当てにしてはいけない
北朝鮮からやってくる難民はどれくらいの規模になるか
核化統一した、ドリフト日和見主義の朝鮮半島
北朝鮮の核ミサイルは「目の前の脅威」
米韓同盟の未来
第4章 アジアにおける核抑止戦略
核抑止力の必要性は高まった
核抑止を巡る状況は複雑になっている
米中の核戦略は噛み合っていない
核抑止の専門家が不在の自衛隊
第5章 科学技術政策と軍事研究
防衛装備庁の問題
「儲からない防衛産業」をどうするか
運用思想があっての装備が本来の姿
「南西諸島奪回作戦」の是非
なぜニーズとシーズをマッチできないのか
企業は防衛産業から抜け出したがっている
防衛産業の輸出戦略は韓国に学べ
日本の技術は米国と中国の方がよく見ている
第6章 日本の安全保障はどうあるべきか
戦争指導が可能なリーダーを
制服組トップは政治家の決断を否定できるのか
「能力があっても使えないオプション」はどうするか
「自衛隊員が戦いで死ぬ作戦」を本当に遂行できるのか
シビリアン・コントロールのあり方
自衛隊全部隊を指揮する「統合司令官ポスト」を作れ
有事での統合幕僚長の役割
陸上総隊はなぜ作られたか
自衛隊と自衛隊員の法的位置づけを明確にせよ
日本の安全保障に対する10の提言

薀蓄倉庫

インドへの過剰な期待は禁物

「自由で開かれたインド太平洋」を標榜する日本では、軍事的にもインドに期待する声がありますが、元海上幕僚長の武居智久氏は、「過剰な期待は禁物」と指摘しています。インド軍139万人の内訳は、陸軍120万人、空軍12万7000人、海軍は5万8000人で、海軍は全体の4・2%。インドの安全保障上の関心は、完全に陸を向いているからです。
 武居氏は、「インド海軍が日米海軍と完全に一致した対応を中国に対して取ってくれると期待するのは無理」「『インド洋における海洋安全保障』という共通の国益を前提に、互いに互いを利用し合う関係が築ければ充分ではないか」と指摘しています。

掲載:2021年4月23日

担当編集者のひとこと

国防に関するリアルな評価

 ご承知のように近年、中国が急速に国際秩序の「現状変更」に挑戦しています。フィリピンから米軍が撤退した後に南シナ海を我が物とした中国は、いま尖閣から沖縄に至る日本の領海も狙っています。台湾侵攻の可能性は我々が想像するよりも遙かに高く、その際には南西諸島も戦場となるのは確実です。もはや日本に、空想的平和主義の幻想に浸っている余裕は全くありません。

 では、日本には何ができるのか。何をすべきなのか。軍事的観点から見た日本の現状はどうなっているのか。本書では、陸海空の各自衛隊から「平成の名将」とうたわれた方々に出席頂き、元国家安全保障局次長として軍事問題にも造詣が深い兼原信克氏の司会のもと、令和日本の国防に関するリアルな評価を行いました。

 参加された元自衛隊幹部は、元陸将・陸上幕僚長の岩田清文氏、元海将・海上幕僚長の武居智久氏、元空将・航空自衛隊補給本部長の尾上定正氏の3人です。いずれも日本のみならず国際的にも尊敬を集める元将軍であり、その戦略眼、軍事的知識は非常に深いものがあります。

 タブーなき議論には、ショックな部分もあるかも知れません。中距離ミサイルの地上配備や核オプション検討の必要性、日本が現実的な戦場となる可能性、いま米中が戦ったらアメリカが「負ける」可能性、次期戦闘機F35をDCA(通常兵器も核兵器も搭載可能な戦闘機)として運用する可能性など、かなり踏み込んだ指摘もされているからです。

 一方、日本の防衛に空いている「穴」についても、数々の指摘がされています。例えば、日本では陸海空の自衛隊の部隊を統合して指揮する「統合司令官」が不在で、実際の戦闘の際のスムーズな部隊運用に不安を残していること。自衛隊には国家工廠がなく、装備品の整備はすべて民間企業頼みであるが、その民間企業が「儲からない防衛産業」から一斉に身を引き始めていること。サイバー戦や宇宙戦への備えがまだ充分に行えていないこと。日本も当事者になるであろう台湾有事に対する備えが不十分であること。等々。解決すべき課題も、まだまだ沢山あるわけです。

 自衛隊に何ができて、どこに限界があるのか。正しく認識し、現実的な防衛論議を展開するための基礎認識を提供できれば、本書の目的は果たされることになります。ご一読頂ければ幸いです。

2021/04/23

著者プロフィール

岩田清文

イワタ・キヨフミ

1957年生まれ。元陸将、陸上幕僚長。

武居智久

タケイ・トモヒサ

1957年生まれ。元海将、海上幕僚長。

尾上定正

オウエ・サダマサ

1959年生まれ。元空将、航空自衛隊補給本部長。

兼原信克

カネハラ・ノブカツ

1959(昭和34)年山口県生まれ。同志社大学特別客員教授。1981年に東大法学部を卒業し、外務省に入省。外務省国際法局長を経て、2012年に内閣官房副長官補に就任。2014年より新設の国家安全保障局次長を兼務。2019年に退官。

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