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いま注目の1冊! テネシー・ウィリアムズ/著、小田島雄志/訳『欲望という名の電車』

演劇界最強の劇薬で復帰 沢尻エリカは輝けるか?

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 2月10日より新国立劇場で舞台「欲望という名の電車」が開幕します。沢尻エリカが若い未亡人の高校教師ブランチで本格的に表舞台に復帰するということで注目が高まっています。
 テネシー・ウィリアムズによる本作は演出家や俳優、映画監督の創作欲を掻き立てるのか、エリア・カザン監督版ではヴィヴィアン・リーがアカデミー主演女優賞を受賞。日本でも81歳で27歳を演じた杉村春子のほか、岸田今日子、樋口可南子、大竹しのぶと、錚々たる名優たちがブランチ役に挑んでいます。
 ウィリアムズは壮絶な私生活で知られています。親しかった姉ローズに精神疾患の兆候があらわれ、両親がロボトミー手術を受けさせると、姉は廃人となってしまい、それを止められなかった弟テネシーは酒と睡眠薬に溺れることに。また、今よりも厳しい差別のあった時代に同性愛者として生きたウィリアムズは乱倫な生活を送り、若い恋人が早逝するといっそう薬物にのめりこみ、1983年に一生を終えました。
 激しい物語のなかで沢尻エリカがどれだけ輝けるのか。期待して開幕ベルを待ちましょう!

波 2024年2月号「いま話題の本」より

著者紹介

テネシー・ウィリアムズWilliams,Tennessee

(1911-1983)アメリカの劇作家。ミシシッピ州コロンバス生れ。不況時代のセントルイスで不幸な家庭環境のもと青春時代を送る。各地を放浪、大学、職をかえながら、創作をしていたが、1944年自伝的作品「ガラスの動物園」がブロードウェイで大成功し、1947年の「欲望という名の電車」、1955年の「やけたトタン屋根の猫」で2度ピューリッツァー賞を受賞。その名声の裏で、生涯背負いつづけた孤独との葛藤から私生活は荒れていた。ニューヨークのホテルの一室で事故死。

小田島雄志オダシマ・ユウシ

1930年旧満州生れ。東大英文科卒。英文学者、演劇評論家。シェイクスピアの戯曲を個人全訳。芸術選奨文部大臣賞(評論等部門)受賞。

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