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テレビ局再編

根岸豊明/著

880円(税込)

発売日:2024/01/17

  • 新書
  • 電子書籍あり

「テレビ離れ」「CM減収」「電波利権」「オワコン批判」。はたして生き残れるのか? キー局元経営幹部が徹底分析!!

203Q年、地方局の統廃合が始まり、その10年後にキー局は3つになる――。長きにわたってメディア界の覇者として君臨してきたテレビだが、広告収入はネットに追い抜かれ、「オワコン」と揶揄する声も。落日の巨人はどうすれば栄光を取り戻すことができるのか? その具体的な道筋とは? 我が国のテレビ70年の歴史を振り返りながら、キー局の元経営幹部がいま明かす、終わりなきテレビの未来とは。

目次
序章 テレビは若者に支持されているか
若者は未来からやってくる/プラットフォーマーの主役交代/オンデマンド・サービスの群雄割拠/大きく育ったTVer/リアルタイム配信も実現/BBCを見習ったNHK/デジタルネイティブの時代/本当にオワコンなのか?
第1章 成熟の汎テレビ時代 1980~90年代
パクス・テレビーナ/1953年が「テレビ」元年/ニューメディアの時代/都市型ケーブルテレビ/通信衛星/多メディア多チャンネル/BSデジタル放送/伸び悩んだ広告収入/通販番組への批判と「神風」/垂直統合と水平分離
第2章 デジタルの時代 2000~2010年代
地デジ化/総額1兆円超の投資/デジタル・マフィア/次世代技術満載だった日テレ汐留新社屋/ライブドア騒動と認定放送持株会社/在京キー局の反応/現在は地方局もホールディングス化/アメリカ・メディア調査
第3章 新たな覇者、インターネット 1990年代~
SNSの戦争/フェイク・ニュースの危険性/インターネットの誕生/新聞、テレビ局のネット戦略/iモードとITバブル/iPhoneとワンセグ/大損だったNOTTV/インターネットは脅威か/テレビを抜き去ったネット広告/恒産なければ、恒心なし
第4章 インターネットと、放送の自律
安倍元首相と「放送の政治的公平性」/放送法4条の「立法事実」/放送法改変論議への反発/メディア界重鎮の説得/求められる「自律」「倫理」
第5章 テレビ経営の現在位置
キー局と地方局の関係/ネットワーク戦略/中央集権型と幕藩体制型/親藩・譜代・雄藩/「危機的状況」ではないが……/「ゆでガエル」になっていないか?/地域力というパワー/シンクタンクによる経営シミュレーション/「黄信号」や「赤信号」の局も
第6章 ネットワークは誰が救うのか
テレビ局再編を視野に入れた有識者会議/テレ朝が提案した「ブロック統合」/フジは「持株会社の活用」を要望/危機的状況を救うのは……
第7章 「テレビ局再編」を考えるヒント
ブロック統合と垂直統合の留意点/1局2波あるいは3局体制/クロスネット局への再認識/ハード部門会社の可能性
第8章 テレビの価値再発見 2023
WBCの視聴者数9446万人/ビデオリサーチが証明したテレビの力/一般化した個人視聴率/報道分野での価値再発見/制作分野での自己変革/在京キー局のコンテンツ戦略/「テレビを超えろ」
第9章 203Qのテレビ局再編
203Q/動き出した「1局2波」/「ブロック化」で失われたもの/再編は東京でも/まだら模様に進む再編/地方局はエリアで協力する見方も/ 民放のビジネスモデルは維持できるか?/204Qの世界・日本・東京/3大メガネットワークの誕生
終章 テレビは終わらない
203Q再考/地域の総合プラットフォーム/政界も金融も再編された/水面下での大きな流れ/そして、テレビは終わらない
主要参考文献

書誌情報

読み仮名 テレビキョクサイヘン
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 224ページ
ISBN 978-4-10-611025-2
C-CODE 0234
整理番号 1025
ジャンル ビジネス・経済、産業研究
定価 880円
電子書籍 価格 880円
電子書籍 配信開始日 2024/01/17

蘊蓄倉庫

広告費で見ると歴然「メディアの覇者」の交代

 長きにわたってテレビは「メディアの覇者」として君臨してきました。しかし、その栄光の時代は、確実に過去のものになりつつあります。2020年度の日本の広告総額費は6兆1600億円。その中で、インターネット広告が2兆2290億円を占め、初めて第1位を獲得しました。かつての王者、地上テレビ広告は1兆8949億円で第2位に。この差はさらに広がり、2022年度には広告費総額が過去最高の7兆1021億円となる中で、インターネット広告は3兆912億円。もちろん堂々の第1位で、2019年から数えて僅か3年で1兆円の上積みに成功しました。これに対してテレビ広告費は前年よりは回復したものの、1兆8019億円に留まりました。メディアの覇者は、少なくとも広告の面から見ると、テレビからインターネットに明らかに代わったのです。

掲載:2024年1月25日

担当編集者のひとこと

地方のテレビ局はどうなっていくのか?

 この本の前半では、1980年代のテレビの黄金時代のことが書かれています。あの頃は、テレビは正にメディアの覇者でした。時代は変わります。そして、この本には地方のことも書いてあります。再編は地方から始まるのですが(「第7章」「第9章」参照)、そうして再編された地方のテレビ局が、生まれ変わって地域の新しいプラットフォームになる可能性もゼロではないと思います(「終章」参照)。あるいは地方がテレビ局をうまく利用することができるのか、という点が問われているとでも言いましょうか。時代が変わり、これまでの体制が崩れるのも、悪いことばかりではないのではないかという気もします。

2024/01/25

著者プロフィール

根岸豊明

ネギシ・トヨアキ

1957(昭和32)年、東京都生まれ。ジャーナリスト、メディア研究者。早稲田大学政経学部卒。日本テレビにて編成、報道、メディア戦略に従事。同社取締役執行役員、札幌テレビ社長を歴任。著書に『新天皇 若き日の肖像』『誰も知らない東京スカイツリー』などがある。

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