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一晩置いたカレーはなぜおいしいのか―食材と料理のサイエンス―

稲垣栄洋/著

605円(税込)

発売日:2022/02/01

書誌情報

読み仮名 ヒトバンオイタカレーハナゼオイシイノカショクザイトリョウリノサイエンス
装幀 神田ゆみこ/カバー装画、新潮装幀室/デザイン
発行形態 文庫、電子書籍
判型 新潮文庫
ISBN 978-4-10-103741-7
C-CODE 0145
整理番号 い-143-1
ジャンル 文学・評論
定価 605円
電子書籍 価格 605円
電子書籍 配信開始日 2022/01/28

カレーも寿司もお好み焼きも――料理と食材に隠された「おいしさの科学」をご賞味あれ。

一晩置いたカレーはなぜおいしいのか? 子どもたちはどうしてピーマンが嫌いなのか? ワサビがツーンとする理由は? 味、食感、香り、栄養素……すべての謎を解くカギは、食材が生きていたときの姿にあった! 数々のベストセラーを送り出してきた研究者の鋭い考察と、料理や食事が楽しくなる「おいしさの秘密」をご賞味あれ。ジャガイモを煮崩れさせない方法など調理の裏ワザも多数紹介。

目次
はじめに
どうして野菜を食べないといけないのか 野菜サラダの科学
どうしてレタスを包丁で切ってはいけないのか
サラダを彩る赤い野菜の秘密
人間はなぜ野菜を食べないといけないのか
どうして人間に食物繊維が必要なのか
葉菜類がどれもよく似た形をしている理由
緑色になったジャガイモを食べてはいけないのはなぜ?
一晩置いたカレーはなぜおいしいのか カレーライスの科学
どうしてみんなカレーライスが好きなのか
かつてニンジンは紫色だった
一晩置いたカレーはなぜおいしいのか
タマネギを炒めると甘くなるのはなぜ?
精がつくニンニクパワーの秘密
カレーライスには何の肉を入れる?
福神漬けの謎の食材の正体は?
「ごはんにみそ汁」はなぜ合うのか 朝ごはんの科学
米はどうして白い?
米と大豆は相思相愛?
納豆はなぜネバネバするのか
黄+紫=赤? 梅干しの色の謎
ピーマンの苦みをなくす方法とは チャーハンの科学
どうして子どもたちはピーマンが嫌いなのか
「グリーンピース」ってどんな意味?
ハムとソーセージはどこが違うのか
パラパラチャーハンの作り方
「もやしっこ」は強かった! お好み焼きの科学
関西風と広島風はどうして味が違う?
紅しょうがはなぜ赤い?
「もやしっこ」と呼ばないで
小麦粉はこねるとなぜ固まるのか
ヤマイモはなぜ消化にいいのか
アオノリとはどんな植物なのか
救荒食からグルメメニューへ そばの科学
関東のそば、関西のうどん
そば湯はどうして体にいいのか
ネギの葉の表はどっち?
ダイコンおろしはなぜ辛い?
似て非なるダイコンとニンジン
ワサビがツーンとする理由
海苔はどうして黒いのか
お寿司を守る植物たち お寿司の科学
どうしてハランを入れるのか
白身魚はなぜさっぱりしているのか
エビはどうして赤くなる?
どうしてたっぷりのお茶を飲むのか
果物の不思議な秘密 フルーツパフェの科学
メロンの網目模様はどうやってできるのか
バナナの種子はどこにある?
フルーツパフェの「野菜」たち
サクランボの種の秘密
天の川と牛乳の意外な共通点 ショートケーキの科学
イチゴのつぶつぶの正体は?
牛乳はなぜ白い?
スポンジケーキはなぜやわらかい?
コーヒーでリラックス
おわりに
25歳女子が考える「一晩置いたカレーがなぜおいしいのか」
印度カリー子

書評

科学も歴史も文学も! 食材が好奇心を刺激する

小島よしお

 ピーヤ! お笑い芸人の小島よしおです!
「そんなの関係ねぇ!」で流行語大賞トップテンに選ばれたのが、2007年。それ以来、「一発屋」とか「消えそうな芸人」と言われてきましたが、子どもむけのお笑いネタに活路を見出し、今でもタレントを続けています。
 ぼくの子どもむけのネタに「ピーマンのうた」があります。応援団風の曲と振りに合わせて、次のように歌います。
    ♪
 ピー!(マン!) ピー!ピー!(マンマン!)
 中身が空っぽそのわけは タネを熱から守るため
 空っぽになってるその中に 君たちの夢をつめるのさ
    ♪
 今から七~八年前、あるテレビ番組で、この歌を披露する機会がありました。三十人のピーマンが嫌いな子どもたちの前で「ピーマンのうた」を歌い、その後に、子どもたちにピーマンを食べさせる、という実験企画です。
 台本には「やっぱり、ピーマン嫌いなままでした」と書かれていたし、ぼくも「そんな簡単に好き嫌いは直らないだろうな」と思っていました。ですが実際には、ほぼ全員、二十九人の子どもたちが、ピーマンを食べて、「好きになった」と答えたのです!
 他愛のない歌詞ですが、ピーマンの中身が空である理由を説明した部分が、子どもたちの「どうして?」という知的好奇心を刺激して「もっとピーマンのことを知りたい! 食べてみたい!」と感じさせたのかもしれません。
 それ以来、ぼくは野菜の歌をたくさん作るようになりました。未発表のものを合わせれば、三十を超える野菜について歌っています。
『一晩置いたカレーはなぜおいしいのか―食材と料理のサイエンス―』という本書のタイトルも、「どうして?」と思わせるうまいタイトル。歌ネタにしたら、ぜったい受けると思います。
 カレーのおいしくなる理由は、本書を読んでもらうとして、それ以外にも、身近な料理をテーマに、さまざまな野菜や果物についての知識が詰まっています。
 たとえば「そばの科学」という章は、大人も健康情報などでよく耳にする「活性酸素」や「抗酸化作用」について書かれています。
 紫外線や乾燥などの環境ストレスがかかると、人間と同じようにソバも活性酸素が増えて不健康になるというのです。そして、それに対抗するために、抗酸化作用のあるルチンという健康物質を増やします。そうして、ルチンが増えたソバを食べて、人間も健康になるというわけです。
 野菜などに抗酸化作用があると聞いても「ありがたいな~」と思うだけで、その理由についてまで考えていませんでした。でも、野菜も人間とおなじ一つの「いのち」であると気が付くと、野菜が頑張って作ったものを、人間が分け与えてもらっているんだな、と素直に思えます。「いただきます」が、自然と言えるようになります。
 ソバの話は、健康成分などのカタカナが多く「科学」という感じなのですが、「カレーライスの科学」の章にあるトウガラシの話では「歴史」の話になります。
 トウガラシはコロンブスが新大陸で発見して以来、ヨーロッパから世界に広がりました。昔のインドではコショウなどの香辛料でカレーを作っていたのですが、トウガラシが西洋から伝わることで、現在のようなカレーになったというのです。つまり、コロンブスなくしてカレーなし!
 身近な食材を入り口に、「科学」や「歴史」ときには「文学」など、いろいろなドアが開かれていくのが、本書の一番の特色でしょう。植物学者である著者の稲垣栄洋先生は、「国私立中学入試の国語で最もよく出題された作者」調査(日能研調べ)で五年連続で一位なのですが、それも納得です。
 最後に、稲垣先生とのエピソードを一つ。『弱者の戦略』(新潮選書)という、雑草の生存戦略について書かれた本を読んで以来、ぼくは雑草芸人を自任するようになりました。強いイメージのある雑草は実際は弱く、ライバルのいない過酷な環境で生きているから強く見えるというのです。つまり雑草=パイオニアなのです。
 ぼくも芸能界で生き残るために、子どもむけのネタを始めたり、教育系のYouTubeチャンネルを始めたり、いろいろなことに挑戦しています。昨年、稲垣先生に対談でお会いした際には「小島さんこそ雑草です!」と太鼓判をもらいました。
 ぼくが多大な影響を受けた稲垣栄洋先生の本に、ぜひ触れてみてください! ピーヤ!

(こじま・よしお お笑い芸人)
波 2022年2月号より

担当編集者のひとこと

 カレーを一晩置くと、なぜおいしくなるのか? 答えは、カレーに使われている、ある食材に隠されていました。あっと驚く、その食材の正体とは!?
 本書では、カレーや寿司、お好み焼き、そば、フルーツパフェなどさまざまなメニューに隠された秘密を、食材を手がかりに解明していきます。子どもたちはなぜピーマンが嫌いなのか? タマネギを加熱するとどうして甘くなるのか? そばが栄養豊富な理由とは? 味、食感、香り、栄養素……すべての謎を解く鍵は「食材が生きていたときの姿」にありました。
 食材の秘密を知ることは、料理の上達にもつながります。ジャガイモを煮崩れさせない方法、タマネギを泣かずに切る技術、ダイコンおろしの辛さを調節する裏技、子どもたちがピーマンを喜んで食べるようになる調理法など、今日から試したくなる料理の驚き技も満載です。毎日の調理と食事がグンと楽しくなることまちがいありません。
 著者の稲垣栄洋先生(静岡大学大学院教授)は、雑草や生き物の専門家。ベストセラー『生き物の死にざま』でお名前を見た記憶のある方も多いのではないでしょうか。また、国・私立中学の入試問題(国語)では、毎年なんらかの作品が使われ、5年連続で「もっともよく出題された作者」となっています。この本からも、2023年度入試に出題されるかも?(文庫出版部・KM)

2022/03/28

著者プロフィール

稲垣栄洋

イナガキ・ヒデヒロ

1968(昭和43)年、静岡県生れ。静岡大学大学院教授。農学博士。専門は雑草生態学。岡山大学大学院農学研究科修了後、農林水産省に入省、静岡県農林技術研究所上席研究員などを経て現職に。主な著書に『身近な雑草の愉快な生きかた』『身近な野菜のなるほど観察録』『身近な虫たちの華麗な生きかた』『生き物の死にざま』『生き物が大人になるまで』『手を眺めると、生命の不思議が見えてくる』などがある。

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