新潮社

村上龍『MISSING 失われているもの』

《本書へのコメント》

吉本ばなな

いつまでたっても決して楽に流れない龍さんに対する尊敬を感じた。これに比べたらこんなに向き合っていても私はまだ逃げている。というか、「逃げない」の極限が彼なので、しかたない。決してスカっとしたとは言いがたい最後なのに、ものすごく救われた。小説の力を思い知った。


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第1章「浮雲」

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「おれは、お前が、キーボードに打ち込むことは、何となくわかる。なぜかと言えば、おれが生まれてからずっと、お前のデスクの上にいたからだ。