パナソニック

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パソコンさえあれば、在宅勤務も可能。
柔軟な働き方が認められている働きやすい職場です。

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パナソニック株式会社 コネクティッドソリューションズ社 カンパニー戦略企画室 政策企画部 政策企画課 松本舞さん

 2018年、創業100年を迎えたパナソニック株式会社。
 家電メーカーのイメージが強いですが、今やその事業分野は住宅や車載機器など多岐にわたり、大きく分けて4つの社内分社(カンパニー)で構成されています。
 その中で主に対企業ビジネスを手掛けているのがコネクティッドソリューションズ社(東京・汐留)。2017年就任した樋口泰行社長の下で大胆な「働き方改革」を打ち出しています。

 明るく広々とした空間に、ほどよい間隔で配置された作業テーブルで社員がパソコンに向かったり、打合せをしたりしています。この職場は、部や課を隔てる仕切りがなく、いろんな部門の人たちが同居しているフリーアドレスです。

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「社長室や役員室もないので、社長がすぐその辺に座っていたりするんですよ」
 と、カンパニー戦略企画室 政策企画部 政策企画課の松本舞さんは笑います。2017年10月に異動してくる前は従来型の部署ごとに決まった指定席のオフィスだったので、当初は戸惑いもあったそうですが、
「でも、すぐに慣れましたね。仕事で経営幹部とのやり取りが多いので、アポイントを取らず席の近くに行ってすぐに話ができることがとてもありがたいんです」
 そういえば、室内にはネクタイやスーツ姿の男性がほとんど見あたりません。何ともカジュアルでリラックスした雰囲気の職場です。

 実は、取材にお邪魔した3月7日は、故・松下幸之助氏がパナソニックの前身「松下電気器具製作所」を設立してからちょうど100年目にあたる記念日でした。
 会社はこの100周年の節目を大いに意識し、2017年4月、社外から樋口氏をコネクティッドソリューションズ社の社長に迎えました。樋口氏は、パナソニックの前身である松下電器産業を経て、外資系企業の社長などを経験してきた人物。働き方改革とダイバーシティ(多様性)をこの1年間強力に推進してきました。
 まずは働く場所やオフィスの環境を変える「ワークプレイス改革」。元々大阪にあったカンパニー本社を2017年10月、東京に移転。冒頭ご紹介したようなフリーアドレスのオフィスをつくりました。部署の枠を越えた社員同士の連携を容易にし、素早くオープンな話し合いを行うためです。
 また、Skypeなどソフトウェアの活用により、コミュニケーションのスピードアップも図りました。離れた相手ともパソコンで打合せができるので、会議のための出張などがなくなり、また社外での仕事や在宅勤務がしやすい状況もできました。
 仕事内容そのものの見直しも行われました。顧客とあまり関係のない内向き業務などは思い切ってカットし、効率よく働けるようになりました。ドレスコードも廃止され、今では服装は各自の働きやすいように任されています。

 さて、そんな職場で働く松本さんの仕事について伺ってみました。


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――まず、松本さんのお仕事の内容を教えてください。

 カンパニーの戦略や変革、社長の思いなどを社外に発信する仕事を担当しています。いわゆるIR(投資家向けの情報発信)では決算発表の資料作成、また社長が依頼される講演の資料作成サポートなどもあります。

――定時は、何時から何時まででしょう。

 通常は朝9時から17時半までですが、2歳の息子の保育園のお迎えがあるので、私は30分前倒しで8時半から17時までにしてもらっています。

――2歳の男の子。大変な時期でしょうね……。

 子どもが体調を悪くして、早退しなければならないことが度々あります。

――そんな時はどうするんでしょう。

 パソコンさえあれば、オフィスと変わらない環境になりますし、Skypeで音声でのやり取りもできます。今の職場は在宅勤務など柔軟な働き方が認められているので働きやすいですね。

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Skype会議のイメージ。上司と再現してもらいました。

――パソコンを持ち帰る。

 はい、毎日。息子の急な病気などで翌日出社できるかどうか、いつもわからない状態ですし。パナソニックのパソコンは軽くて丈夫で、電池の持ちもいいですよ。……まるで宣伝みたいですが(笑)。リュックにサッ! と放り込んで帰っています。私の相棒です。

――普段はどんなスケジュールですか。

 朝は5時半起き。子どもが6時15分くらいに起きます。朝の保育園への送りは夫に任せているので、7時半の開園に合わせて夫が家を出る。その後、家事を済ませてから私も出ます。通勤時間は約40分です。

――朝の仕事は、どんなふうに始まるのでしょう。

 私用のスマートフォンに会社のメールを見られるソフトを入れているので、通勤時間はまず前日のメールチェックです。その日の仕事の優先順位を決めてあれこれと段取りしながら、仕事への切り替えをします。会社に着いたら、朝のうちは前日に出来なかった分の仕事を片付けて追い付くという感じです。

――ズバリ、定時で帰れていますか。

 帰れる帰れないではなく、とにかくその日の仕事を終らせて帰るしかないんです(笑)。夫も私も九州出身で実家が遠く、親には頼れませんし。私たち夫婦以外に誰もお迎えをはじめ、家事・育児を代わってくれません。(息子の急な病気など)明日がどうなるかわからないので、全ての仕事を前倒しで進めていくイメージですね。

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お迎え用の電動自転車はパナソニック製

――でも、もちろんお忙しい時期もありますよね。

 正直、決算の時期だと普段の17時までという時間はなかなか厳しいですね。決算発表などは定時後の17時半から開催されることが多いので。そういう時はパソコンでSkypeの中継を見て、発表の確認だけはしています。それは例外で、普段は定時をはみ出すことはありません。

――上司の理解も必要ですね。

 今の上司は、社の働き方改革にも関わっていて、多様な働き方に理解があるので、いつも助けてもらっています。相談もしやすいです。

――ところで、休日の過ごし方は。

 平日は保育園に預けているので、どうしても子ども中心になります。息子は“はたらくのりもの”が好きなので、防災の日のイベントで消防車を見に行ったり、水上バスに乗ったり。家の中でもミニカーで遊んでいます。あとは動物園に行ったり。それ以外は料理の作り置きとか掃除、食料品・日用品の買い物とか……。あまり面白い話じゃなくてすみません(笑)。

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自宅での様子

――時間があればしたいことはありますか。

 本当は小説を読むのが好きで、『わたし、定時で帰ります。』も“テレビドラマになりそうだなあ”なんて思いながら読ませてもらいました。今は子育てに忙しくて、本を読む時間が取れないのが残念です。


 コネクティッドソリューションズ社の働き方改革は本格的に始まってからまだ半年ほどですが、東京移転後は顧客の来社数が3倍になり、社内の他カンパニーからの来訪も1.5倍に増えています。フリーアドレスの効果で内部のコミュニケーションも濃密になり、また社内の1席あたりのスペースも半減。
 モチベーション向上の効果か、主力のノートパソコンの売れ行きが過去最高で非常に好調。今後は、グループの他の拠点にも働き方改革を展開していく予定です。
 2018年1月から、同社は「働き方改革支援サービス」というビジネスを始めました。個人個人のパソコンにどれだけ電源が入っていたか、どんなアプリケーションで何の作業をしていたか……等々、蓄積されたデータを把握。まずは働き方の「可視化」から始めて、その見直しを考えていく。そんなサービスが既に始まっています。さらに今後は、内蔵カメラで脈拍を確認しストレス状態をチェックしていくことで、社員の健康管理に役立てるサービスも予定しています。これも社内の働き方改革の成果、働き方改革そのものから生れたビジネスといえます。
 人を大事にし、人を育てることを重視した創業者・松下幸之助のDNAは、100年後の現在も健在です。

(取材・文 橋本恭)

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売上げ絶好調のノートパソコン

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