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新潮社 図書編集室より
ご挨拶

新潮社の自費出版事業がスタートしたのは、2012年のことです。以来、私たち図書編集室にて、250冊近くの書籍を製作してまいりました(2023年3月現在)。そのどれもが、みなさまお一人おひとりの思いのこもった大切な本です。

自費出版されるお客様の思いは、一様ではありません。忙しい合間を縫って書き溜めてきた小説を残したい、ビジネスで得た技術や人間関係を孫子の世代にも伝えたい、趣味で撮影してきた写真、描いてきた絵画やイラストを、一冊の作品集にまとめたい……。私たちは、その「夢」を一つひとつお預かりして、お客様にけっして安価とは言えない製作費用をご負担いただき、書籍というかたちにして、お渡ししています。「ここで本をつくって良かった」という一言をいただけたとき、私たちは何より嬉しいのです。

ところで、新潮社では、2012年以前にも「自費出版」を手がけることがありました。私家本を作ってほしい、記念日に縁ある方々へ配る限定版を作りたい、などのご要望をいただいて製作を行なうこともありました。たとえば、のちに新潮文庫となって現在もロングセラーとしてご愛読いただいている『風の男 白洲次郎』(青柳恵介著)も、じつは初めは新潮社に製作をご依頼いただいた限定版です。

みなさまからのご要望がすこしずつ増えてきて、「本にしたい」という方の思いに応えたいと、自費出版製作を行なう専門部署、図書編集室が生まれました。

新潮社で自費出版製作を始めた10年前にくらべると、世の中はがらりと変わりました。電子書籍やSNSが当たり前となって、読む・書くという行為は、だれもがたやすく、スピーディーにできるようになり、紙の本は、残念なことにすこし押され気味です。

それでも、ご自分の原稿を「本にしたい」と願う方は、本を本当に愛してくださっている方なのだと思います。そして、私たちもまた、みなさまと同じように、本を愛しています。

様々な選択肢の中から、本というメディアを選んでくださったみなさまに、心より感謝を申し上げます。ぜひご一緒に、「夢」のある本を作りましょう。

2023年4月
新潮社図書編集室 室長