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『フラッシュ・ポイント』刊行特別企画

神永さんの仕事場におじゃましました

 某月某日、雑誌「」の表紙撮影のため、神永さんのお仕事場におじゃましてきました。
「波」の表紙は、昭和43年からずっと、作家の方の筆跡を紹介させていただいています。ちなみに、最初に筆跡を表紙にさせていただいたのは川端康成さん、そして6月28日発売の7月号の表紙に、我らが神永学さんにご登場いただきます。
「おじゃましまーす」
 緊張しながら神永さんの仕事部屋のドアを開けたわたしたちを迎えてくれたのは……神永さんが、4人!?



 オフィシャルHPでおなじみのこちら、オフィスのスタッフの皆さまによる通称「学くん人形」は現在4バージョンあるそうで、もちろんすべて特注品です。
 その中で最新作、夏バージョンの学くんと一緒に撮影開始!
 作品シリーズごとに整理されたファイル、隙間なく並べられた資料本、もはや機能美すら感じさせるびっしりと予定の詰まったスケジュール表。編集部とは大違いの美しさです。
 この環境の中で、真田も志乃も誕生したんですねぇ……と感激していると、電車にでも轢かれたようなクシャクシャのノートを発見。
「ああ、アイディアに詰まると、よくノートを丸めて壁に叩きつけたりするんですよ。ははは」と爽やかに神永さん。やはり創作には並々ならぬ苦しみが伴うようです。
 パソコンの置かれたデスクを撮影している間に、仕事部屋にある神永さんのお気に入りグッズをご紹介いただきました。
 まずはこちらのルービックキューブ。



「『絶対に解ける方法』を、舞台版『心霊探偵 八雲』で八雲を演じてくれた中村誠治郎くんに教わりました。コツさえ掴めば、どんなずらし方をしてもやり方はぜんぶ一緒。一面そろえたら、オレンジを右下にして……ほら、そろった。頭を空っぽにできるので、重宝してます」
 お見事。滑らかな手つきです。
 そして、窓際に置かれたCDプレイヤーとiPod。
「執筆中はずっと音楽をかけています。大概は洋楽か映画音楽ですが、アップ・テンポな曲が多いかな」
 その時書いているシリーズによって音楽も変えていらっしゃるそうです。
「『天命探偵』シリーズは洋楽のロック。リンキン・パーク、ボン・ジョヴィなどガンガン乗れる曲です。『心霊探偵 八雲』シリーズは、ちょっと和のテイストの入った音楽。舞台で音楽を担当してくれたquaffとか。映画音楽でいうと、ハンス・ジマー(『ダークナイト』『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズの作曲家)が好きです」
 そして、神永さんの執筆用デスクを見守るように置かれていた3枚の色紙。大沢在昌さん、石田衣良さん、北村薫さんのサイン色紙です。



山本周五郎賞のパーティー会場でいただきました。会場で好きな作家の方々にお会いすると、単なるファンとして舞い上がってしまって……色紙を懐に忍ばせて会場でサインをお願いしていたら、宮部みゆきさんに爆笑されてしまいました」
 楽しくお話をうかがっている間に撮影も終了。神永さん、ありがとうございました!
 ……しかし、不安げな表情の神永さん。
「でも、こんなにフツーの机で大丈夫でしょうか」
 いえいえ、きっちりと整えられた、大変美しいお仕事場でした。
「何か、もっと面白いもの……あ、そうだ。これなんか置いたらどうですか?」
 と、おもむろにクローゼットのドアを開けた、その先に置かれていたのは……機関銃! 日本刀!! 巨大な狙撃用ライフル!!! 
「もちろんモデルガンですが、結構リアルでしょ。このH&KのMP5(短機関銃)とPSG-1(狙撃銃)は、『天命探偵』シリーズのために用意しました」



 手に取らせていただくと……デカい。そして重い。
「実物はこれの3倍の重さがあります。このPSG-1なんかは、よくアニメなどでスタンディングで撃っている場面がありますが、重くてとても無理です。だから、自分の作品内ではそういった矛盾のないように登場させました」
“神は細部に宿る”と言いますが、抜かりないリサーチの上に作品世界が築かれているのですね。それでは、この日本刀も?



「いつかは時代ものを書きたいので、剣術を習っています。辻月丹の無外流です。池波正太郎の『剣客商売』に登場する流派ですね。作法や刀の振りを勉強しています。巻き藁を斬ったりも。最近は忙しくて休みがちなのですが……」
『天命探偵』シリーズ同様、何が飛び出すか予想のつかない神永さんのお仕事場でした。次は一体どんなお気に入りグッズが増えているのか? ご報告、楽しみにしています!