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女神

三島由紀夫/著

693円(税込)

発売日:1978/04/03

  • 文庫

精魂つくし育てた美しい娘。芸術品といっていい娘が――。

女神のような美貌の妻が空襲で顔に火傷を負い、周伍の夢は砕け散った。女は美しくなければ一文の値打もないと信ずる彼には、世界の崩壊に等しいことだった。やがて彼の心には新しい情熱が蘇る。それは、自分の娘を美の化身に育てあげることだった……。女性美を追い求める男の執念を描く中編「女神」等、仄(ほの)かな官能美を織り込んだ佳品を中心に編まれた11編。

目次
女神
接吻
伝説
白鳥
哲学
蝶々
恋重荷
侍童
鴛鴦
雛の宿
朝の純愛
解説 磯田光一

書誌情報

読み仮名 メガミ
シリーズ名 新潮文庫
装幀 PeopleImages/カバー写真、Getty Images/カバー写真、新潮社装幀室/デザイン
発行形態 文庫
判型 新潮文庫
頁数 352ページ
ISBN 978-4-10-105025-6
C-CODE 0193
整理番号 み-3-25
ジャンル 文芸作品
定価 693円

どういう本?

タイトロジー(タイトルを読む)

「大体あんたはそんな月並なのぞみを持つべき女じゃないんだ」と周伍は言った。「男の天才、女の美貌、これこそは神様のさずかりもので、あだやおろそかにはできんのだよ。天才というやつは、自分で自分が思うようにならず、この世の通常ののぞみは全部捨てなければならん宿命に生まれついている。美人も同様に不自由な存在なのさ。自分で自分の美に一生奉仕しなければならんのだ。美のほかのことはみんな犠牲に供しなければならんのだ。月並な考えを持ったら、それを悪魔の誘惑だと思いなさい。子供をほしいなんてのぞみは、美をねたむ悪魔があんたの耳に吹き込むのさ」(本書21ぺージ)

著者プロフィール

三島由紀夫

ミシマ・ユキオ

(1925-1970)東京生れ。本名、平岡公威(きみたけ)。1947(昭和22)年東大法学部を卒業後、大蔵省に勤務するも9ヶ月で退職、執筆生活に入る。1949年、最初の書き下ろし長編『仮面の告白』を刊行、作家としての地位を確立。主な著書に、1954年『潮騒』(新潮社文学賞)、1956年『金閣寺』(読売文学賞)、1965年『サド侯爵夫人』(芸術祭賞)等。1970年11月25日、『豊饒の海』第四巻「天人五衰」の最終回原稿を書き上げた後、自衛隊市ヶ谷駐屯地で自決。ミシマ文学は諸外国語に翻訳され、全世界で愛読される。

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