【第35回山本周五郎賞決定発表】
小説新潮 2022年7月号
(毎月22日発売)
発売日 | 2022/06/22 |
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JANコード | 4910047010725 |
定価 | 1,000円(税込) |
【第35回山本周五郎賞決定発表】
[受賞作]砂原浩太朗/黛家の兄弟(抄)
――政争の嵐の中、試されるのは――時代小説の定石を踏みながらも新たな可能性を輝かせた受賞作
[受賞第一作]
◆砂原浩太朗/さざなみ 夜露がたり
――念願かなっておさくと所帯を構えた勝次の前に
[受賞記念エッセイ]周五郎さんと周平さんのこと
[受賞記念グラビア]
[選評]伊坂幸太郎/江國香織/荻原 浩/今野 敏/三浦しをん
[歴代受賞作家競作]
◆貫井徳郎/あなたを忘れない
――「ぼく、もうこの世には存在してないんです」そう語る男が体験した奇怪な出来事とは――
◆小川 哲/受賞エッセイ
――山本周五郎賞の候補に入ったと知った日、僕は短編で「氷の話」を書こうとしていた
◆早見和真/いまどきミスター
――夫のあだ名は「ミスターいまどき」。だけど本当は、全然いまどきなんかじゃない!
【特集】時代小説夏の陣
◆梶よう子/風を鎮める みとや・お瑛仕入帖
――お加津が寝込んでいると聞き、柚木を訪ねたお瑛だが
◆蝉谷めぐ実/凡凡衣裳
――仕立て屋のお辰の仕事は師匠への依頼を捌くことばかりで
◆千葉ともこ/逃禅を愛す 飲中八仙歌
――李白との旅の途次、杜甫は大切なものを盗まれて――
◆志川節子/芽吹長屋仕合せ帖 日々是好日
――文治郎とお登勢の見合いの不首尾におえんも為す術がなく
【本誌初登場! 待望の新連載】
◆中山七里/ 絡新婦の綸 警視庁サイバー犯罪対策課
――ネットに溢れる情報。発信者の目的は――? 映像化が絶えない超人気作家、小誌初登場!
【『チュベローズで待ってる』文庫化記念対談】
◆道尾秀介×加藤シゲアキ/新しい「読書体験」を求めて
――常に読者を意識して、最先端の小説を書き続ける二人。その眼差しの先にあるものは。
【傑作読み切り】
◆井上荒野/塔、あるいはあたらしい筋肉
――私は塔に閉じ込められている。いや、自分を閉じ込めている
◆伊与原新/泥の器
――萩焼に縁ある火山島・見島。地質学者の歩美が出会うのは
【ノンフィクション連載第二回】
◆河合香織/4分の1の遺伝――神が曲げたもの――
――孤独、貧困、育児。追いつめられた母親がすがった光は
【連載エッセイ・ノンフィクション・マンガ】
◆いしいひさいち/剽窃新潮
◆岩井勇気/僕の人生には事件が起きない
◆加納愛子/行儀は悪いが天気は良い
◆佐藤 優/村上春樹『騎士団長殺し』を読む
◆スズキナオ/家族が一番わからない
◆田中卓志/ちょっと不運なほうが生活は楽しい
◆友近/友近道中
◆中野信子/孤独な脳、馬鹿になれない私 最終回
◆益田ミリ/ツユクサナツコの一生
◆群ようこ/四十年、こんな感じで書いてます
◆山本さほ/てつおとよしえ
【新作映画紹介】
◆紙の上の映画館
【バラエティコラム】
〈わたしの東京〉大前粟生
〈そのとき(わたしの)歴史が動いた〉高橋ブランカ
〈あのとき聴いた音楽〉小栗さくら
【好評連載小説】
◆赤川次郎/暗殺
◆乾 緑郎/おどろかし 戯場國の怪人
◆伊吹有喜/ 灯りの島
◆乙川優三郎/ロゴスの海のジプシー
◆恩田 陸/追憶の五重奏
◆桐野夏生/ダークネス
◆重松 清/十一番目の色 シリーズ「まなつ」
◆篠田節子/ドゥルガーの島
◆寺地はるな/雲に届く
◆原田マハ/晴れの日の木馬たち
◆宮城谷昌光/公孫龍
◆本の森――新刊文芸書から、選りすぐりを紹介
〈歴史・時代〉田口幹人
〈SF・ファンタジー〉北村浩子
〈恋愛・青春〉高頭佐和子
第十回「新潮ミステリー大賞」募集要項
「日本ファンタジーノベル大賞2023」募集要項
次号予告
この号の誌面
編集長から
今年の山本周五郎賞は『黛家の兄弟』に
五月に行われた山本周五郎賞の選考会。現選考委員の就任後初めて、全員で顔を合わせて行われました。「候補作のレベルが高すぎる」「それぞれに違う魅力があって選べない」などの声の中、それでもやはりこの一本と決まったのは砂原浩太朗さんの『黛家の兄弟』。本誌掲載の受賞エッセイでは、文芸上の「先々代」にあたるという周五郎について、あまり顧みられることのないある一面に光を当てます。受賞第一作の「さざなみ」は、ご本人曰く「楽しんで書いています」というシリーズ〈夜露がたり〉の四作目。静かな筆致の下から抑えきれず溢れ出す、ドラマティックな物語をご堪能ください。
新潮文庫『チュベローズで待ってる AGE22・AGE32』の刊行を記念して行われた、著者の加藤シゲアキさんと道尾秀介さんとの対談。「今の読者は新しい『読書体験』を求めている」という加藤さんの言葉に、幅広いジャンルの仕事に携わる人ならではの視座を感じました。
小説新潮編集長 西麻沙子
次号予告
バックナンバー
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雑誌から生まれた本
小説新潮とは?
小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。
時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。
小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。
目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。
言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。