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【特集「もう一杯、飲む?」――酒のある風景をめぐって】
朝倉かすみ/越谷オサム/島本理生/小泉武夫/北村 薫/岸本佐知子/ラズウェル細木

小説新潮 2020年3月号

(毎月22日発売)

1,000円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2020/02/22

発売日 2020/02/22
JANコード 4910047010305
定価 1,000円(税込)
■目次
【特集「もう一杯、飲む?」――酒のある風景をめぐって】
〈小説〉
朝倉かすみ/シネマスコープ
――わたしを誘うお姉さんは、水玉のお猪口を手にしていた

越谷オサム/カナリアたちの反省会
――〆切迫る夜。作家はアマチュアバンドの悩みをこっそりと

島本理生/その指で
――コンビニで缶酎ハイを取るその時、横から手が伸びてきて

小泉武夫/奇酒は貴州に在り
――中国に伝わるという、不老長寿の酒。俺は探索の旅に出た

北村 薫/振り仰ぐ観音図
――呑み助編集者・早苗が酒の席で垣間見た、恩師の横顔とは

〈エッセイ〉
岸本佐知子/エリックの真鍮の鐘
――人生で最も酔っぱらった夜。それはバブル前夜の出来事で

◆ラズウェル細木/陸海空 旅する酔っぱらい
――移動中の酒はなぜ旨い? 酒の達人による「車内飲み」の極意
【新連載長編小説】
浅田次郎/母の待つ里にて
――捨てたはずのふるさとへ四十数年ぶりに帰った松永徹を待っていたのは――一筋縄ではいかない、家族小説の極致
【読み切り傑作短編】
畠中 恵/ほうこうにん しゃばけシリーズ
――主不在の長崎屋。金次と屏風のぞきも働くことになり――

諸田玲子/鬼退治
――のちに利常を生み国母となる少女の、前田利家との出会い

【連載第二回】
原田宗典/無理會
【話題沸騰のダブル連載】
加藤シゲアキ/オルタネート
岩井勇気/僕の人生には事件が起きない
【突然旅立ったあなたへ――追悼・坪内祐三
〈惜別の辞〉
◆長塚圭史/さよならはまだ僕の少し先
◆壹岐真也/明後日、泣く
吉田篤弘/燃える牛と四十七の扉
◆亀和田武/会ったとたんに一目ぼれ
〈追悼評論〉
重松 清/庭の離れの主に捧ぐ
【グラビア】
早見和真/祝 2019年度JRA賞馬事文化賞受賞!
【連載エッセイ・ノンフィクション】
◆掟ポルシェ/全部お前が悪い
川上和人/オニソロジスト嘘つかない
酒井順子/処女の道程
佐藤 優/村上春樹『騎士団長殺し』を読む
◆清水克行/アナーキー・イン・ジャパン
筒井ともみ/もういちど、あなたと食べたい
中野信子/孤独な脳、馬鹿になれない私
平松洋子/プロレスは何を食べる
【バラエティコラム】
〈あのとき聞いた音楽〉島田潤一郎
〈思い出の手料理〉茸本 朗
〈わたしの愛用品〉西澤千央
◆本の森――新刊文芸書から、選りすぐりを紹介
〈歴史・時代〉田口幹人
〈SF・ファンタジー〉北村浩子
〈恋愛・青春〉高頭佐和子
【好評連載小説】
梓澤 要/華の譜 徳川和子と後水尾天皇
逢坂 剛/鏡影劇場
織守きょうや/朝焼けにファンファーレ 最終回
梶よう子/東都の藍
黒川博行/熔果
桜木紫乃/緋の河 第二部
高杉 良/破天荒
長浦 京/プリンシパル
西加奈子/夜が明ける
貫井徳郎/邯鄲の島遥かなり
花房観音/果ての海
葉真中顕/異郷のイービス
宮城谷昌光/公孫龍
宮部みゆき/Ghost Story
◆薬丸 岳/刑事弁護人
山田詠美/血も涙もある
山本一力/ひむろ飛脚
第七回「新潮ミステリー大賞」募集要項
「日本ファンタジーノベル大賞2020」募集要項
次号予告/表紙画家のつぶやき

この号の誌面

編集長から

飲まずに読んで酩酊 画期的「酒特集」

 一月十三日の成人の日、夕食用におでんを仕込んでいた時に電話が鳴った。連載中の筆者が急逝するのは初めてではないが、慌てて赴いたご自宅でお顔を見ても、葬儀に立ち会っても、これを書いている今も実感は湧いて来ない。今月も掲載されるはずだった「玉電松原物語」の代わりに、坪内祐三氏と縁の深かった5氏に、それぞれの惜別の辞を寄稿していただいた。
 特集は、昨年3月号で好評を博した「食」特集に味を占め、今度は「もう一杯、飲む?――酒のある風景をめぐって」を企画した。小説では朝倉かすみ越谷オサム島本理生小泉武夫北村薫の5氏、エッセイでは岸本佐知子氏、ラズウェル細木氏による、「飲む」ではなく「読む」酩酊体験はじつに新鮮。これだと昼から読んでも、読んだあと運転してもおかまいなしだ。
 そして本誌には久々の登場となる浅田次郎氏の連載「母の待つ里にて」が始まる。様々な作品で家族の姿を描いてきた氏の、ひと筋縄ではいかない家族小説だ。

小説新潮編集長 江木裕計

次号予告

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

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