【日本ファンタジーノベル大賞2019 決定発表】高丘哲次
【特集】ファンタジー小説の現在
【小野不由美「十二国記」最新刊刊行記念特集】
小説新潮 2019年12月号
(毎月22日発売)
発売日 | 2019/11/22 |
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JANコード | 4910047011296 |
定価 | 1,000円(税込) |
【日本ファンタジーノベル大賞2019 決定発表】
賞の復活以来、初めて選考会が紛糾――。受賞の決め手となった
「作品の構造」と「神話性」とは、何だったのか?
◆受賞作
高丘哲次/黒よりも濃い紫の国(抄)
――都の王子と辺境の娘との出会いが世界を変える。「偽史」と「小説」両方があってこそ語りえた、豊潤で神話的な叙事詩
◆受賞の言葉
◆選評
恩田 陸 萩尾望都 森見登美彦
◆日本ファンタジーノベル大賞2020募集要項
【特集 ファンタジー小説の現在】
◆柿村将彦/みみずロケット
――要領の良さだけがとりえの私。なのに教え子に泣きつかれ
◆大塚已愛/繭ごもり
――蚕蛾の翅がふと顔を撫でた瞬間、俺の背骨は凍りついた――
◆一條次郎/まぼろしの地球音楽
――中国で無一文になった犬のマネージャーと人気歌手のおれは
◆梶尾真治/ハナと暮らす
――妻の生前には考えられなかった運命の出会いが豊介に訪れ
【小野不由美「十二国記」シリーズ最新刊刊行記念特集】
〈いまさらガイド〉
◆これから読みたい「十二国記」
――「今から」なんて、幸せすぎる! 作品世界をご案内します
〈特別エッセイ 「十二国記」と私〉
◆辻村深月/おかえりなさい、小野主上
――陽子、珠晶――彼らがいたから、私は私として生きられた
◆萩尾望都/「悄然として」
――異世界の話の筈なのに、まるで我が国の歴史のような物語
【注目の「鉄学」紀行】
◆原 武史/「線」の思考
第七回 神功皇后と継体天皇と北陸本線と
――太平洋側と日本海側を結ぶため、明治十七年に開通した北陸本線。しかしそのルートは古代から重要視されていた。
【新連載長編小説】
◆長浦 京/プリンシパル
――敗戦直後、綾女はヤクザの襲撃に遭い――政・財・芸能界を相手に戦い抜く女の昭和裏面史エンターテインメント!
【新連載エッセイ】
◆筒井ともみ/もういちど、あなたと食べたい――加藤治子さんと「おかちん」
――松田優作と食べた寿司、深作欣二が作ったキムチ鍋……。名脚本家がそっと綴る、逝ってしまった人たちとの思い出。
【連載第二回】
◆葉真中顕/異郷のイービス
◆花房観音/果ての海
【小説新潮作家名鑑】
◆長浦 京
――作風からは想像できない? ハードミステリ―作家の一冊
【バラエティコラム】
〈いつか住みたい街〉 阿古真理
〈あのとき聞いた音楽〉 大石 始
〈わたしの愛用品〉 寺井広樹
【連載エッセイ・ノンフィクション】
◆阿刀田高/谷崎潤一郎を知っていますか
◆石井光太/いのちの家 「こどもホスピス」をめぐる物語
◆掟ポルシェ/全部お前が悪い
◆川上和人/オニソロジスト嘘つかない
◆酒井順子/処女の道程
◆佐藤 優/村上春樹『騎士団長殺し』を読む
◆椎名 誠/漂流者は何を食べたか
◆清水克行/アナーキー・イン・ジャパン
◆高野秀行/謎の未確認納豆を追え!
◆坪内祐三/玉電松原物語
◆中野信子/孤独な脳、馬鹿になれない私
◆中野 翠/コラムニストになりたかった
◆ペリー荻野/テレビの荒野を歩いた人たち 杉山茂の巻 後編 最終回
◆本の森――新刊文芸書から、選りすぐりを紹介
〈仕事・人生〉吉田大助
〈医療・介護〉東えりか
〈ホラー・ミステリ〉村上貴史
【好評連載小説】
◆梓澤 要/華の譜 徳川和子と後水尾天皇
◆逢坂 剛/鏡影劇場
◆奥泉 光/死神の棋譜
◆織守きょうや/朝焼けにファンファーレ
◆梶よう子/東都の藍
◆黒川博行/熔果
◆桜木紫乃/緋の河 第二部
◆重松 清/十一番目の色 シリーズ「まなつ」
◆西加奈子/夜が明ける
◆西村京太郎/西日本鉄道殺人事件 最終回
◆貫井徳郎/邯鄲の島遥かなり
◆宮城谷昌光/公孫龍
◆薬丸 岳/刑事弁護人
第七回「新潮ミステリー大賞」募集要項
次号予告/表紙画家のつぶやき
この号の誌面
編集長から
晩秋を熱くするファンタジー大祭
ほとんど全会一致だった前回に比べると、今年の選考会はかなり揉めた。熾烈な論戦を勝ち抜け、日本ファンタジーノベル大賞2019の受賞作となったのが、高丘哲次氏の「黒よりも濃い紫の国」だ。作品構造の面白さが評価される一方、後半の書き急ぎを指摘する声も。結局、賞の名にふさわしい「神話性」が決め手となった受賞作抄録に加え、過去の受賞者である柿村将彦氏、大塚已愛氏の最新作。そして一條次郎氏、梶尾真治氏の短編で、ファンタジー小説の現在形を確認されたい。
ファンタジーといえば、読書界の話題を独占する小野不由美氏「十二国記」シリーズの最新刊『白銀の墟 玄の月』だ。同作刊行を言祝ぎ、辻村深月、萩尾望都の両氏が熱いエッセイを寄稿。初心者に優しい「十二国記いまさらガイド」ともども、話題作への挑戦の一助となろう。
終戦後の渋谷を舞台とする長浦京氏の巨編「プリンシパル」、筒井ともみ氏の交友録「もういちど、あなたと食べたい」の連載も始まる。
小説新潮編集長 江木裕計
次号予告
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雑誌から生まれた本
小説新潮とは?
小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。
時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。
小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。
目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。
言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。