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【第32回山本周五郎賞決定発表】
【夏の時代小説特集】

小説新潮 2019年7月号

(毎月22日発売)

998円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2019/06/22

発売日 2019/06/22
JANコード 4910047010794
定価 998円(税込)
■目次
【第32回山本周五郎賞決定発表】

[受賞作]朝倉かすみ/平場の月(抄)
――35年ぶりに二人が会ったのは、病院の売店だった。
人生を折り返した中年たちの熱情とままならなさを描く受賞作
[巻頭グラビア]受賞第一声は「とってもうれしいです」
歓びの夜をドキュメント

[受賞記念エッセイ]ちいさな生活
[選評]石田衣良荻原 浩角田光代佐々木譲唯川 恵
[歴代受賞作家競作]
◆小川 哲/三月十日
――あの震災の前日、僕らは何をし、何を考えていたのだろう

柚木麻子/BAKESHOP MIREY'S
――転勤先で秀実が出会ったのは、英国に強い興味を持つ未怜で

森見登美彦/ニュー城の崎にて
――温泉小説家、長谷別府氏を訪ね城崎へ。深井君が見たものは

恩田 陸/歩道橋シネマ
――どこかの県庁所在地の交差点から、特別に見える風景とは

重松 清/十一番目の色
――タワーマンションのラウンジの豪華さに修平は圧倒される

帚木蓬生/復員
――ルソン島にて死を悟った男は、祖国の妻へと、ある物を託す
【特別企画】
末國善己/〈周五郎少年文庫〉の魅力 コンプリート・ガイド
――若き周五郎が戦前に書いた幻の少年小説。傑作を厳選紹介
【夏の時代小説特集】
〈新連載〉
山本一力/ひむろ飛脚
――嘉永六年元日。飛脚御用浅田屋で年賀膳が振る舞われていた。
『かんじき飛脚』『べんけい飛脚』の飛脚屋が次に運ぶのは?

◆木下昌輝/戀童れんどう夢幻 業の章 後編
――織田の軍門に降った梅若大夫が出会ったのは、因縁の相手

藤原緋沙子/蝉の時雨 へんろ宿
――夕食時間を過ぎても戻らない泊まり客を案じ、主夫婦は

矢野 隆/耕書堂モンパルナス 其ノ陸 歌麿が揺れる
――自分を激烈に怒らせたものの正体を歌麿は探ろうとするが
【待望の新連載】
○小説
高杉 良/破天荒
――昭和33年。業界紙記者となり高度成長の渦に飛び込んだ
杉田亮平が見たものは。自伝的経済小説

○ノンフィクション
石井光太/いのちの家 「こどもホスピス」をめぐる物語
――難病の子供が笑って過ごせる場所、「こどもホスピス」。
設立までの道のりとその後を追う長編ノンフィクション

○エッセイ
◆掟ポルシェ/全部お前が悪い
――バンドではボーカルと説教を担当、DJでは半裸で会場を
駆け回る。謎の男がコラムを引っさげ本誌に殴り込み!
【バラエティコラム】
〈わたしの愛用品〉石倉良信
〈いつか住みたい街〉金 承福
〈マイルーティーン〉佐藤 研
【連載エッセイ・マンガ・インタビュー】
阿刀田高/谷崎潤一郎を知っていますか
◆岩井勇気/僕の人生には事件が起きない 最終回
川上和人/オニソロジスト嘘つかない
酒井順子/処女の道程
佐藤 優/村上春樹『騎士団長殺し』を読む
椎名 誠/漂流者は何を食べたか
高野秀行/謎の未確認納豆を追え! 連載再開
坪内祐三/玉電松原物語
中野信子/孤独な脳、馬鹿になれない私
中野 翠/コラムニストになりたかった
平松洋子/プロレスは何を食べる
ペリー荻野/テレビの荒野を歩いた人たち 小田桐昭の巻 後編
◆道草晴子/下北日記
◆本の森――新刊文芸書から、選りすぐりを紹介
〈歴史・時代〉田口幹人
〈SF・ファンタジー〉石井千湖
〈恋愛・青春〉高頭佐和子
【好評連載小説】
赤川次郎/いもうと 最終回
安部龍太郎/迷宮の月
江上 剛/特命金融捜査官 清算 最終回
奥泉 光/死神の棋譜
織守きょうや/朝焼けにファンファーレ
梶よう子/東都の藍
黒川博行/熔果
今野 敏/清明 隠蔽捜査8
西村京太郎/西日本鉄道殺人事件
貫井徳郎/邯鄲の島遥かなり
宮城谷昌光/公孫龍
◆薬丸 岳/刑事弁護人
第七回「新潮ミステリー大賞」募集要項
「日本ファンタジーノベル大賞2019」募集要項
次号予告/表紙画家のつぶやき

この号の誌面

編集長から

東武東上線沿線 五十代の恋愛小説

「大人の恋愛小説」、しかし舞台は京都でも軽井沢でもない。埼玉県南部の、鉄道で言うと東武東上線沿線。五十代に入った地元中学の同級生が再会して物語は始まる。読者を圧倒するゴージャスな道具立てではなく、どこにでもあるくすんだ街の風景の中で、この年齢でしか育み得ない恋愛の形が、低いトーンで語られてゆく――。
 第32回山本周五郎賞を、ほぼ満票で獲得した朝倉かすみ氏の「平場の月」。宮部みゆき氏や天童荒太氏と同じ一九六〇年生れで、キャリアの長い氏の成熟が顕れた受賞作だ。この一作で、「大人の恋愛小説」のイメージは確実に拡がったはずだ。
 併せて昨年の小川哲氏から遡り、柚木麻子森見登美彦恩田陸重松清帚木蓬生という歴代受賞作家の豪華な競作も。
 新連載は高杉良氏の自伝的小説「破天荒」。石井光太氏のノンフィクション「いのちの家 『こどもホスピス』をめぐる物語」。そして掟ポルシェ氏のエッセイ「全部お前が悪い」と百花繚乱の趣き。

小説新潮編集長 江木裕計

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

小説新潮とは?

 小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。

 時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。

 小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。

 目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。

 言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
 ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。

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