【第29回山本周五郎賞決定発表】湊かなえ『ユートピア』(抄)
【特集 夏の時代小説】葉室 麟/霧島兵庫/澤田瞳子/辻井南青紀/永井紗耶子
小説新潮 2016年7月号
(毎月22日発売)
発売日 | 2016/06/22 |
---|---|
JANコード | 4910047010763 |
定価 | 947円(税込) |
「小説新潮」から生まれた時代小説
◆エッセイ/「山本周五郎賞とは」
◆インタビュー/「次の場所を目指して」
――海辺で型染めの工房を開く。名刺を父の姓にするか母の姓にするか……。芸術と生活、フィリピンの血と日本の血の狭間で彼女は
◇篠田節子/神仙
――知的でリベラルで本物の紳士だった夫に起きた微妙な変化が……
◇帚木蓬生/病歴
――医師会での慣れない講演に施したある仕掛け。それは父の――
◇貫井徳郎/邯鄲の島遥かなり〈連載第10回〉
◇柚木麻子/BUTTER〈連載第15回〉
『みちくさ日記』で大注目の漫画家の毎日は、いつだって寄り道日和
◆Oka-Chang/へそのお
〈歴史・時代〉田口幹人/〈SF・ファンタジー〉石井千湖/〈恋愛・青春〉名久井直子
赤川次郎/7番街の殺人
伊吹有喜/カンパニー 最終回
逢坂 剛/鏡影劇場
小島慶子/陽だまりの宴
西條奈加/八人のゴメス
高杉 良/小説・めぐみ園の夏
初野 晴/世界の果ては二つ
増田俊也/北海タイムス物語
この号の誌面
編集長から
引き摺り込まれ押しまくられて
まずは三つの新連載。近年、大人を魅了する現代小説に重心を移す乙川優三郎氏の「R.S.ヴィラセニョール」。時代小説のトップランナー葉室麟氏の「玄鳥さりて」。そして異能漫画家・道草晴子氏の「下北日記」。初手から読者を引き摺り込むこの三作(そして来月からはその続き)が読めるというのは、相当な事態だと言えまいか。
一方で、読み切り作品もまた充実。帚木蓬生、篠田節子、中島京子、桜木紫乃、彩瀬まるといった第一線作家各氏の多彩な最新作は、いずれも小説を読む喜びの「ツボ」をぐいぐいと押しまくる。また、時代小説といえども、いつも本朝の戦国期や江戸ばかりを扱うわけではない。霧島兵庫氏「フラウの戦争論」の主人公は、何と軍事学の始祖として名高い、あの人物だ。
かくも読みどころの多い本号は、第29回山本周五郎賞の発表号でもある。受賞者・湊かなえ氏の今後のご健筆をお祈りする。
お知らせ
第5回 「大家さんと僕」矢部太郎
大家さんの身の回りのお手伝いも、大事なコミュニケーションの一環。でも、今日はいつもと様子が違うような……?
■矢部さんといつでもマイペースな大家さんの絶妙なやりとりにほっこり。次号が気になってしょうがない4ページです。(40代・女性)
■やさしいタッチで描かれるイラスト、大家さんとのほんわかする日々のエピソード。「つづく」の文字を見ると思わず、聞きたくなります。「この物件、まだ空いていますか?」(20代・女性)
バックナンバー
雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。
雑誌から生まれた本
小説新潮とは?
小説新潮は戦後まもない一九四七年に創刊されました。以来、文学史に名をとどめる作家で、小説新潮に登場したことのない名前を探すほうが困難なほど、数多の文豪、巨匠、新進気鋭による名作、名シリーズが誌面を飾ってきました。
時代は変わり、新しい作家、若い書き手も次々に現れます。変わらないのは「小説を読む楽しみ」を大切にすること。現代小説、時代小説、ミステリー、恋愛、官能……。ジャンルにこだわらず、クオリティの高い、心を揺り動かされる小説を掲載していきます。
小説と並ぶ両輪が、エッセイと豊富な読物です。小説新潮では、毎号、ボリュームのある情報特集や作家特集を用意しています。読み応えは新書一冊分。誰かに教えたくなる情報が、きっとあります。
目指すのは、大人の小説、大人の愉しみが、ぎっしり詰まった雑誌です。経験を重ね、人生の陰翳を知る読者だからこそ楽しめる小説、今だからこそ必要とされる情報を、ぎっしり詰め込んでいきたい。
言葉を換えれば、「もうひとつの人生を体験する小説誌」。時には主人公たちの息遣いに寄り添い、またある時には人生の新たな側面を見つけるささやかなヒントになれば――そう願っています。
ほんの少しかもしれませんが、小説新潮で毎月の生活がきっと変わるはずです。