ホーム > 雑誌 > 雑誌詳細:新潮 > 雑誌詳細:新潮 2021年8月号

飴屋法水「たんぱく質」(120枚)
中西智佐乃「祈りの痕」(180枚)

新潮 2021年8月号

(毎月7日発行)

特別定価1,200円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2021/07/07

発売日 2021/07/07
JANコード 4910049010815
定価 特別定価1,200円(税込)
たんぱく質[一二〇枚]/飴屋法水
僕、神様に会ったことあるよ。彼は、いきなりそう言った――。唯一無二の表現者による、「私」と「たんぱく質」と「地球」の物語。

新潮新人賞受賞第一作】
祈りの痕[一八〇枚]/中西智佐乃
家族という檻。貧困という地獄。南大阪の工場で出会った女性ふたりは魂の祈りを交わす。

◆大年寺山佐伯一麦
3・11から10年、コロナ禍で「旅」を奪われた作家が近所の「散歩」で見つけたものは?

■■ 連載小説 ■■
◆聖都創造(十二)/天童荒太
◆天使も踏むを畏れるところ(十四)/松家仁之
◆曼陀羅華X(十八)/古川日出男
◆全然(二十三)/滝口悠生
◆漂流(二十五)/町田 康
◆チェロ湖(二十八)/いしいしんじ
◆ヒロヒト(三十一)/高橋源一郎
◆ビッグ・スヌーズ(四十)/矢作俊彦
◆荒れ野にて(六十四)/重松 清

【第九回】河合隼雄物語賞・学芸賞発表
【物語賞授賞作】水を縫う寺地はるな
【学芸賞授賞作】「犠牲区域」のアメリカ――核開発と先住民族石山徳子
【選評】後藤正治(物語賞)/山極寿一(学芸賞)

第54回《新潮新人賞》応募規定 [ウェブ応募受付開始!]
【選考委員】大澤信亮/小山田浩子/鴻巣友季子/田中慎弥/又吉直樹

◆【対談】さびしさの行方沢木耕太郎+松浦寿輝
攻撃的な自由人として生きるか。螺旋を描いて「好きなこと」を追うか。旅と人生の思索。
◆【対談】小説は全てを受け入れる金原ひとみ+宇佐見りん
生まれながらにしんどい――だから書いて息をする。若くして脚光を浴びた二人の初対談。

【金原ひとみ『アンソーシャル ディスタンス』を読む】
◆こんなに元気が出ていいのだろうか西 加奈子
◆制御不可という不穏と平穏鈴木涼美

◆『豊饒の海』論(九)/平野啓一郎

◆能十番 日英現代語訳 第九回・山姥いとうせいこう ジェイ・ルービン

◆大楽必易――わたくしの伊福部昭伝(十)/片山杜秀

◆小津安二郎(十二)/平山周吉

◆保田與重郎の文学(三十三)/前田英樹

◆小林秀雄(七十七)/大澤信亮

◆地上に星座をつくる石川直樹
第九十八回・潮風の道

◆見えない音、聴こえない絵大竹伸朗
第一九七回

■■ 新潮 ■■
◆無為を肯定する青野 暦
◆『家族って』後日談しまおまほ
◆追悼 三浦建太郎高橋弘希
◆「魅せられた岸辺」を見ていた人――追悼・川端香男里沼野充義
◆ひなたぼっこは難しい藤原無雨

■■ 本 ■■
◆平野啓一郎『本心』/亀山郁夫
◆佐藤厚志『象の皮膚』/鴻巣友季子
◆「新潮」編集部編『パンデミック日記』/山本貴光

この号の誌面

立ち読み

編集長から

飴屋法水「たんぱく質」

 飴屋法水氏の「たんぱく質」(一二〇枚)を発表する。飴屋氏はラディカルなパフォーマンスや舞台作品などを通じ、死の光源から生を照射し続けてきた。生の舞台となる「私」や家族ひいては社会の常識を懐疑し、それらの輪郭を揺るがせてきたと言ってもいい。『ブルーシート』(岸田國士戯曲賞)、『いりくちでくち』(朝吹真理子氏との共作)、『彼の娘』(三島由紀夫賞候補作)でも示された飴屋氏の独創的な世界観/想像力が本作に存分に表現されている。あらためて思う。小説は目眩がするほど自由だ。書くことも読むことも。
 一昨年、新潮新人賞でデビューした中西智佐乃氏の待望の受賞第一作「祈りの痕」(一八〇枚)を発表する。ここでも懐疑されているのは「当たり前の家族」「当たり前の社会」だ。気鋭の渾身作にご注目を。
 8月号は対話も充実。沢木耕太郎氏と松浦寿輝氏、金原ひとみ氏と宇佐見りん氏に存分に語っていただいた。

編集長・矢野 優

松家仁之「天使も踏むを畏れるところ」 主要参考文献

(この小説は史実に基づいて書かれていますが、登場人物はすべて架空の人物です。)

  • 『建設省二十年史』建設省二十年史編集委員会(社団法人建設広報協議会)
  • 『現代建築をつくる人々』浜口隆一・村松貞次郎(KK世界書院)
  • 『皇居造営 宮殿・桂・伊勢などの思い出』小幡祥一郎
  • 『昭和天皇と田島道治と吉田茂 初代宮内庁長官の「日記」と「文書」から』加藤恭子(人文書館)
  • 『ワシントンハイツ ―GHQが東京に刻んだ戦後―』秋尾沙戸子(新潮文庫)
  • 「工芸ニュース」1949年6月号 商工省工芸指導所(技術資料刊行会)
  • 『皇室建築 内匠寮の人と作品』監修 鈴木裕之(建築画報社)
  • 『日本の建築 その芸術的本質について I』吉田鉄郎 薬師寺厚訳(東海大学文化選書)
  • 『日本の建築 その芸術的本質について II』吉田鉄郎 薬師寺厚訳(東海大学文化選書)
  • 『侍従長の遺言 昭和天皇との50年』徳川義寛 聞き書き・解説 岩井克己(朝日新聞社)
  • 『日本軍兵士──アジア・太平洋戦争の現実』吉田裕(中公新書)
  • 『私のなかの東京』野口冨士男(文藝春秋)
  • 『完本 皇居前広場』原武史(文春学藝ライブラリー)
  • 『東京都市計画物語』越澤明(ちくま学芸文庫)
  • 『関東大震災 大東京圏の揺れを知る』武村雅之(鹿島出版会)
  • 『外濠 江戸東京の水回廊』法政大学エコ地域デザイン研究所編(鹿島出版会)
  • 『建築の心と技 村松貞次郎対談集――1』(新建築社)
  • 『建築をめぐる回想と思索 キサデコールセミナーシリーズ2』聞き手・長谷川堯(新建築社)
  • 『硫黄島クロニクル 島民の運命』全国硫黄島島民の会
  • 『建築探偵の冒険』藤森照信(ちくま文庫)
  • 『昭和天皇実録 第十一』宮内庁(東京書籍)
  • 『秩父宮 昭和天皇弟宮の生涯』保阪正康(中公文庫)
  • 「新建築 1982年7月臨時増刊 桂離宮」(新建築社)
  • 『宮殿をつくる』高尾亮一(求龍堂)
  • 『皇居』入江相政(保育社)
  • 『入江相政日記 第五巻』入江為年監修(朝日文庫)
  • 『侍従とパイプ』入江相政(中公文庫)
  • 『こんなに面白い東京国立博物館』新潮社編 東京国立博物館監修
  • 『探検! 東京国立博物館』藤森照信・山口晃(淡交社)
  • 『カイコの病気とたたかう』鮎沢啓夫(岩波科学の本)
  • 『皇后陛下傘寿記念 皇后さまとご養蚕』宮内庁協力(扶桑社)
  • 『フランク・ロイド・ライトの帝国ホテル』明石信道 文・実測図面 村井修 写真(建築資料研究社)
  • 『日本鉄道旅行地図帳 歴史編成 満洲樺太』監修 今尾恵介・原武史(新潮社)
  • 「芸術新潮」2008年8月号「大特集 北京」(新潮社)
  • 『完訳紫禁城の黄昏』上・下 R.F.ジョンストン 中山理 訳 渡部昇一 監修(祥伝社)
  • 『漱石紀行文集』藤井淑禎 編(岩波文庫)
  • 『吉田謙吉が撮った戦前の東アジア 1934年満洲/1939年南支・朝鮮南部』塩沢珠江=著 松重充浩=監修(草思社)
  • 『日本鉄道旅行地図帳 歴史編成 朝鮮台湾』監修 今尾恵介・原武史(新潮社)
  • 『満洲朝鮮復刻時刻表 附台湾・樺太復刻時刻表』日本鉄道旅行地図帳編集部[編](新潮社)
  • 『火と水と木の詩 私はなぜ建築家になったか』吉村順三(新潮社)
  • 『日本の近代をデザインした先駆者 生誕150周年記念後藤新平展図録』(財団法人東京市政調査会)
  • 「芸術新潮」2006年8月号「全一冊 韓国 未知の美と出会う旅」(新潮社)
  • 『図説 満鉄 「満洲」の巨人』西澤泰彦(河出書房新社)
  • 『満洲鉄道まぼろし旅行』案内人・川村湊(ネスコ 文藝春秋)
  • 『韓国の民家』張 保雄著 佐々木史郎訳(古今書院)
  • 『建築の前夜 前川國男論』松隈洋(みすず書房)
  • 『前川國男 賊軍の将』宮内嘉久(晶文社)
  • 『一建築家の信條』前川國男 宮内嘉久編(晶文社)
  • 『日本建築宣言文集』藤井正一郎・山口廣編著(彰国社)
  • 『皇居に生きる武蔵野』毎日新聞社社会部写真部編(毎日新聞社)
  • 『天皇と侍従長』岸田英夫(朝日文庫)
  • 『スウェーデンの建築家』吉田鉄郎(彰国社)
  • 「野村東宮大夫の思い出」入江相政(「文藝春秋」1957年10月号)
  • 『ドキュメント皇室典範』高尾栄司(幻冬舎新書)
  • 『僕の留学時代』東山魁夷(日本経済新聞社)
  • 「芸術新潮」2008年5月号「生誕100年記念特集 東山魁夷 国民画家の素顔」(新潮社)
  • 「皇居新宮殿における宮内庁試案の意図」小畑俊介 山崎鯛介(日本建築学会計画系論文集 第85巻 第768号)
  • 『宮中歳時記』入江相政編(小学館文庫)
  • 『十番目の女神』高尾亮一(求龍堂)
  • 『小泉信三 天皇の師として、自由主義者として』小川原正道(中公新書)
  • 『東宮御所 建築 美術 庭園』設計・谷口吉郎 撮影・渡辺義雄(毎日新聞社)
  • 『現代日本建築家全集6 谷口吉郎』栗田勇監修(三一書房)
  • 『ふたりの山小屋だより』岸田衿子 岸田今日子(文春文庫)
  • 『大学村七十年誌』北軽井沢大学村組合編(北軽井沢大学村組合事務所)
  • 「週刊朝日」1958年12月14日号(朝日新聞社)
  • 「週刊文春」創刊60周年記念特別号「秘話とスクープ証言で綴る 美智子さまの60年」(文藝春秋)
  • 「芸術新潮」1960年6月号(新潮社)
  • 『千鳥ヶ淵戦没者墓苑 創建50年史』(財団法人千鳥ヶ淵戦没者墓苑奉仕会編)
  • 『谷口吉郎著作集』第四巻(淡交社)
  • 『谷口吉郎著作集』第五巻(淡交社)
  • 「赤坂御用地と常盤松御用邸の変遷」阿部宗広(国立科博専報(39)2005年3月25日)

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞