ホーム > 雑誌 > 雑誌詳細:新潮 > 雑誌詳細:新潮 2019年2月号

新連載 いしいしんじ「チェロ湖」
特別対談 川上弘美+ヤマザキマリ「この国の内と外」

新潮 2019年2月号

(毎月7日発行)

947円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2019/01/07

発売日 2019/01/07
JANコード 4910049010297
定価 947円(税込)

【新連載】
チェロ湖いしいしんじ
チェロの形をした大きな湖の畔で、青年はアユを釣り、野鳥の声を録音し、古い物語を釣る。生と湖の歴史と生態系が交響する大型作品!

履物屋の親友[新連載第二回]/瀬戸内寂聴
想像力に目覚めた四歳のわたしはすべての経験を老人に物語る。小説家の起源を問う掌篇。
漂流[新連載第二回]/町田 康
荒れ狂う波濤。いよいよ私はあれをやる時が来た。海を鎮め船を救う奇跡の神威を見よ!
わたしが行ったさびしい町 2・ペスカーラ[新連載第二回]/松浦寿輝
「魚の町」ぺスカーラに行こうと決意したのは、ラヴェンナのモザイク画を見たせいだ。
飛光日和聡子
それは、新月の夜にやって来る――。子を待つ母の強い祈りが虚実不可分の世界を呼ぶ。
助けて藤野可織
正社員のまま母となった元同僚たち。その子供らの愛らしい写真がまな子の小説を脅かす。
続続続アイオワ日記(完)滝口悠生
今年ここに集まった作家たちがまた集まることはたぶんもう二度とない。共同生活完結篇。
プリニウス[移籍新連載第二回]/ヤマザキマリ+とり・みき
■■ 連載小説 ■■
ヒロヒト(六)/高橋源一郎
ビッグ・スヌーズ(十三)/矢作俊彦

■■ 特別対談 ■■
この国の内と外川上弘美+ヤマザキマリ
小説と漫画で世界に日本文化を発信し続ける2人の書き手の真摯でユーモラスな初対談!
「ポスト」をめぐって蓮實重彦
――「後期印象派」から「ポスト・トゥルース」まで
Postの一語に秘められた殺戮延命の両機能。嘘臭いこの時代を撃つ、白熱の東大講演録!
声――フランスと日本と福田和也
パリを訪ね、フランスと日本を貫く声を聴く。
カワイイ、灰色の日本リン・ディン 訳・解説:小澤身和子
ベトナム人作家の「日本死にかけ」旅行記。
精神の自由を保ち、九十三年の生涯に向き合う最相葉月
――黒川創『鶴見俊輔伝』論
保田與重郎の文学(五)/前田英樹
無何有郷からの通信今福龍太
――新しい宮沢賢治(9)
これは小説ではない(九)/佐々木 敦
地上に星座をつくる石川直樹
第七十回・ヒマラヤの仮面神
見えない音、聴こえない絵大竹伸朗
第一七〇回・ビルと圓通寺
■■ 新潮 ■■
◆女の子のロールモデルと戦争/堀越英美
◆時代精神と先端音楽――追悼・阿木譲/椹木野衣
◆人類学は私たちに何を示してくれるか/長谷川眞理子
◆金融政策と「貨幣とは何か」をめぐる論争/飯田泰之
◆悲嘆可能性と前未来/岩川ありさ

■■ 本 ■■
◆寺尾紗穂『彗星の孤独』/青山真治
◆坂口恭平『建設現場』/上妻世海
◆辻原 登『不意撃ち』/田中和生

第51回《新潮新人賞》応募規定
【選考委員】大澤信亮/川上未映子/鴻巣友季子/田中慎弥/中村文則

この号の誌面

立ち読み

編集長から

いしいしんじ大型新連載「チェロ湖」

◎大型新連載、いしいしんじチェロ湖」を開始する。舞台は琵琶湖を思わせる弦楽器の形をした大きな湖。主人公の青年は湖畔の小屋に住み、夜明けとともに小アユを釣り、日暮れ前に野鳥の鳴き声を録音する。そして夜明け前に小舟をくりだし、釣り竿につけた蓄音機の針(!)を湖に沈め、「湖底深く響きつづけてきた古い物語」を全身で感じ取るのだ。たとえば、「1924年のドジョウのみ大会」の物語を。なんと魅力的な物語の立ち上がりだろう。川を舞台にした『ポーの話』から十四年、いしい氏の新たな代表作が生まれる予感がする◎川上弘美ヤマザキマリ「この国の内と外」は小説と漫画で世界に日本文化を発信し続ける2人の真摯でユーモラスな初対談◎蓮實重彦「ポスト」をめぐって――「後期印象派」から「ポスト・トゥルース」まで」は〈ポスト〉という語の禍々しい機能を浮き彫りにする講演録。ポスト平成まであと少しの今、強烈にアクチュアルだ。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞