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第41回新潮新人賞発表 赤木和雄「神キチ」

新潮 2009年11月号

(毎月7日発行)

特別定価996円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2009/10/07

発売日 2009/10/07
JANコード 4910049011195
定価 特別定価996円(税込)

◆抱擁(150枚)/辻原 登
二・二六事件の衝撃間もない駒場・前田侯爵邸で二つの「世界」が交錯した。物語と歴史が互いを抱擁しあう、愉楽の怪異談。

◆第41回新潮新人賞発表◆
【受賞作】神キチ/赤木和雄
 神様だらけの世界の奇妙さ【インタビュー】

【選評】浅田 彰 桐野夏生 福田和也 町田 康 松浦理英子

◆シャトー・ドゥ・ノワゼにて/諏訪哲史

◆超特急「ロシアの弾丸」/オリガ・スラヴニコワ  訳・解説 沼野恭子

■連載小説
・慈雨の音(四)/宮本 輝
・俺俺(四)/星野智幸
・還れぬ家(八)/佐伯一麦
・幸福の森(二十三)/加賀乙彦

■新潮
・日本語文学の挑戦/アレッサンドロ・G・ジェレヴィーニ
・「堀口大學」との七年/長谷川郁夫
・月を指せば指を認む/つかだみちこ

◆第17回萩原朔太郎賞発表
【受賞作】吃水都市/松浦寿輝
【選評】入沢康夫 岡井 隆 白石かずこ 高橋源一郎 平田俊子

◆第42回《新潮新人賞》応募規定

■ 特別対談 ■ 憑坐と験者の対話/大江健三郎+野田秀樹
 虚構創作者にとっての〈憑依〉とはなにか? 源氏から現代文学まで貫く魂の問題を問う。

■能面(マスク)にくちづけ/ウィリアム・T・ヴォルマン  訳・解説 栩木玲子
 過激なアメリカ人小説家が捉えた日本文化の本質。

■追悼 庄野潤三のこと――第三の新人の骨格――/三浦朱門

■島尾敏雄 終戦後日記(四) 昭和二十一年三月一日―四月三十日

■世の見方の始まり(八)――高村光太郎・首/池内 紀

■生き延びるためのアメリカ文学(二十一)/都甲幸治
 いてはいけない人々、いってはいけない言葉――リン・ディン『偽の家』

■四方田犬彦の月に吠える(二十三)[文化月評]/四方田犬彦

■見えない音、聴こえない絵(六十九)/大竹伸朗

■本
・川上未映子『ヘヴン』/岩宮恵子
・菅野昭正『明日への回想』/鹿島 茂
・吉田修一『キャンセルされた街の案内』/田中弥生
・青山七恵『かけら』/野崎 歓
・富岡多惠子『隠者はめぐる』/日和聡子

■連載評論・エッセイ
・屋根裏プラハ(四)/田中長徳
・随想(十一)/蓮實重彦
・残夢整理(十一)/多田富雄
・母性のディストピア――ポスト戦後の想像力(十三)【最終回】/宇野常寛
・高畠素之の亡霊(二十二)/佐藤 優
・明治の表象空間(三十九)/松浦寿輝

編集長から

新潮新人賞決定
辻原登新作の〈力〉
◎第41回新潮新人賞が赤木和雄氏(29歳)「神キチ」に決定した。屋根屋として建築現場で働く主人公を不条理な事態が次々と襲う。だが、主人公が悩むのは世界の不条理に対してではない。〈真剣に神に祈れない〉というのが彼や登場人物達の真の苦悩なのだ。奇妙で黒い笑劇の合間に、切り刻まれた宗教性の断片が乱舞する。この作品世界の未知の感触は一体何か? その謎めいた魅力を選考委員は誰一人として無視しえず、一致して票を投じた。注目すべき異才の登場だ◎日露戦争前後の熊野を舞台にした大作『許されざる者』で、歴史(history)と物語(his/her story)を痛快な面白さで統合してみせた辻原登氏が、早くも新作を発表。二・二六事件翌年の東京・前田侯爵邸を舞台とする「抱擁」(150枚)は、大きな歴史と小さな個人(語り手の小間使)の物語が一つとなり、読者を魅了する怪異談。小説の力を改めて信じさせてくれる。

新潮編集長 矢野 優

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

新潮とは?

文学の最前線はここにある!
人間の想像力を革新し続ける月刊誌。

■「新潮」とはどのような雑誌?
「新潮」は日露戦争の年(1904年)に創刊された、百歳を超える文芸誌です。現役の商業文芸誌としては世界一古いという説があります(ただし第二次大戦中は紙不足のため数号、関東大震災のときは1号だけ休刊)。その歴史の一端は小誌サイト内にある〈表紙と目次で見る「新潮」110年〉でご覧ください。

■革新し続ける文学の遺伝子
もちろん古いことと古臭いことはまったく別です。百余年にわたり、たえず革新を続けてきたことこそが「新潮」の伝統であり、その遺伝子は現編集部にも確実に引き継がれています。ケータイ小説やブログ、あるいは電子配信、電子読書端末まで、いまだかつてない〈環境変動〉がわたしたちの生に及びつつある今、時代精神を繊細に敏感に感じ取った小説家、批評家たちが毎月、原稿用紙にして計1000枚以上(単行本にして数冊分)の最新作を「新潮」を舞台に発信し続けています。

■日本語で表現されたあらゆる言葉=思考のために
デビュー間もない20代の新人からノーベル賞受賞作家までの最新作がひとつの誌面にひしめきあうのが「新潮」の誌面です。また、文芸の同時代の友人である音楽、映画、ダンス、建築、写真、絵画などの領域からも、トップクラスの書き手、アーティストが刺激的な原稿を毎号寄せています。文芸を中心にしっかりと据えながら、日本語で表現されたあらゆる言葉=思考の力を誌面に結集させたい――それが「新潮」という雑誌の願いです。

雑誌主催・共催・発表誌の文学賞