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大藪春彦賞受賞! 女忍者が横暴な権力者を追いつめる痛快作。

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「目的のために何万人も殺して構わないと思っているお前は……悪鬼羅刹だ! あんたは、あんたが憎む者と同じような者になっている」
 武内涼阿修羅草紙』の主人公である女忍者、すがるの言葉です。第24回大藪春彦賞を受賞したこの作品は、応仁の乱前夜の京を舞台に、延暦寺の忍び衆と権力者たちとが死闘を繰り広げるバイオレンス・アクション。
 小学五年生の時に司馬遼太郎の『風神の門』に出会い、忍者の虜となったという武内さん。その魅力は「武士のような特権階級ではなく、市井の人の目で社会を語れること」。すがるも町人に扮して都に潜入、飢饉や疫病に苦しむ人々に接し、己の欲望しか顧みない幕府や大名たちに怒りを燃やします。
『忍びの森』という忍者小説でデビューし、作家生活10年の集大成としてありったけの忍者愛を注ぎ込んだ『阿修羅草紙』が受賞に至ったことで喜びもひとしお。市井の人々を翻弄する理不尽や横暴への怒りを原動力にして、今後も忍者小説を書き続けたいと語りました。

波 2022年4月号「いま話題の本」より

著者紹介

武内涼タケウチ・リョウ

1978(昭和53)年、群馬県生れ。早稲田大学第一文学部卒。映画、テレビ番組の制作に携わった後、第17回日本ホラー小説大賞の最終候補作となった原稿を改稿した『忍びの森』で2011(平成23)年にデビュー。2015年『妖草師』シリーズが徳間文庫大賞を受賞。2022(令和4)年『阿修羅草紙』で第24回大藪春彦賞受賞。他に『戦都の陰陽師』シリーズ、『忍び道』シリーズ、『謀聖 尼子経久伝』シリーズ、『駒姫―三条河原異聞―』『敗れども負けず』『東遊記』『厳島』など。

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