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いま注目の1冊!

「100分de名著」(NHK・Eテレ)1月は「金子みすゞ詩集」!

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 金子みすゞは、現代的な話し言葉で詩を書いていますが、実は明治生まれで、大正から昭和初期に活躍しました。
 東日本大震災の後、テレビで流れた詩「こだまでしょうか」のように、やさしい言葉づかいの童謡詩が多いのですが、哲学的な思索をこめて、人間の孤独、この世界の成り立ち、ジェンダーなど、幅広いテーマで詠んでいます。しかも、二十六歳で自殺するまでに、五百篇以上も書いた意欲的な創作者です。
 松本侑子さんの小説『みすゞと雅輔』は、みすゞの実弟で、脚本家の上山雅輔が大正から平成にかけて書いた新発見の日記を読解して、大人の文学者としての新しいみすゞ像を解き明かしています。童謡詩が、大正デモクラシーに誕生して、昭和の戦争期に消えていく時代の変化も、読み応えがあります。
 松本さんは、一月放送のNHK・Eテレ「100分de名著」で、みすゞの傑作詩をとりあげ深い意味を解説します。さらに注目の女優、石橋静河さんが詩を朗読。番組と合わせて、小説『みすゞと雅輔』を、ぜひご一読ください。

波 2022年1月号「いま話題の本」より

著者紹介

松本侑子マツモト・ユウコ

1963(昭和38)年、島根県出雲市生れ。作家・翻訳家。筑波大学卒。1987年に『巨食症の明けない夜明け』ですばる文学賞、2010(平成22)年に評伝小説『恋の蛍 山崎富栄と太宰治』で新田次郎文学賞を受賞。著書に、幕末維新小説『島燃ゆ 隠岐騒動』、訳書に英文学と聖書からの引用を多数解明した全文訳・訳註付『赤毛のアン』シリーズ、『英語で楽しむ赤毛のアン』など。

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