文学賞

新潮クレスト・ブックス
『アコーディオン弾きの息子』が
バスク語文学の翻訳賞を受賞!

バスク語文学のすぐれた翻訳に贈られる「エチェパレ=ラボラル・クチャ翻訳賞」が9月30日の「世界翻訳の日」に発表され、新潮クレスト・ブックスから刊行されたベルナルド・アチャガアコーディオン弾きの息子』(金子奈美訳)が受賞しました。スペインのバスク州政府が設立した「エチェパレ・バスク・インスティチュート」が主宰する賞で、金子さんの受賞はキルメン・ウリベ『ムシェ 小さな英雄の物語』(白水社、2016年刊)以来二度目です。

(バスク語のリリース)
https://www.etxepare.eus/eu/nami-kaneko-japoniarrarentzat-da-etxepare-laboral-kutxa-itzulpen-saria

(スペイン語のリリース)
https://www.etxepare.eus/es/la-japonesa-nami-kaneko-gana-el-premio-de-traduccion-etxepare-laboral-kutxa

金子さんの翻訳は、バスク語で書かれた原書に加えて著者本人によるスペイン語(カスティーリャ語)訳も参照し、両者の差異も考慮した上で物語を流麗な日本語に表現した、決定版ともいうべき作品となっています。

遠いアメリカで死んだ友が幼なじみの作家に託した、家族にも読めない言葉で書かれた回想録――その中に眠る真実を、遺された作家は親友と対話するように紡いでいきます。豊かな自然に囲まれたバスク地方の山村を舞台に、少数民族の言語と文化を巡る葛藤と誇りが描かれた、現代バスク語文学を代表する長篇小説です。この機会にぜひ手に取ってみてください。

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著者紹介

ベルナルド・アチャガAtxaga,Bernardo

1951年スペイン・バスク地方のギプスコア県生れ。ビルバオ大学(現バスク大学)とバルセロナ大学で経済学と哲学を学び、1970年代からバスク語文壇で頭角を現す。1988年刊行の連作短編集『オババコアック』でスペイン国民小説賞を受賞、一躍国際的な注目を集め、世界各地の26言語に翻訳される。1999年には英オブザーバー紙の「21世紀に活躍が期待される書き手」の一人に選ばれた。2003年に出版された『アコーディオン弾きの息子』は、これまで16言語に翻訳されたほか、舞台化、映画化されている。

金子奈美カネコ・ナミ

1984年秋田県生れ。東京外国語大学大学院総合国際学研究科博士後期課程単位取得満期退学。2020年5月現在、福岡大学共通教育研究センター専任講師。専門はバスク文学、スペイン語圏現代文学、翻訳研究。訳書にキルメン・ウリベ『ムシェ 小さな英雄の物語』(第2回日本翻訳大賞受賞、第2回エチェパレ=ラボラルクチャ翻訳賞受賞)、同『ビルバオ―ニューヨーク―ビルバオ』(いずれも白水社刊)。

書籍紹介