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いま注目の1冊!

現代に通じる「商いの道理」を描き、
「本屋が選ぶ時代小説大賞」受賞!

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「実在した江戸の商人の盛衰を描いた本書は、今まで培ってきた力を振り絞った渾身作といっていい」(「文人墨客」第六号)という高評で文芸評論家・細谷正充さんによる第三回「細谷賞」に選ばれた永井紗耶子著『商う狼―江戸商人 杉本茂十郎―』が、第十回「本屋が選ぶ時代小説大賞」も受賞しました。
 この賞は「オール讀物」編集部主催で、縄田一男さん、大矢博子さん、末國善己さんが候補作を選び、五人の書店員の方々が最終選考に臨むという賞です(選評などは「オール讀物」十二月号に掲載)。
 本作の主人公・杉本茂十郎は江戸後期に実在した商人。甲斐の農家から江戸の飛脚問屋へ養子に入り、商才を発揮。崩落した永代橋の再建に尽力し、衰退した菱垣廻船を立て直して流通を一新するなど、疲弊した慣例を次々と打ち破って大きな功績を残しました。一方で、厳しい冥加金の取り立てで疎まれ、ときに「狼」と呼ばれ恐れられたほど毀誉褒貶が激しい人物です。
 史料を読み込み、その行間に見え隠れする茂十郎を捉えた永井さんが本作で描いたのは、「商人は天下に資する役目を担う」という現代にも通じる信念を貫いた、血肉の通った改革者です。

波 2020年12月号「新潮社の新刊案内」より

著者紹介

永井紗耶子ナガイ・サヤコ

1977年、神奈川県出身。慶應義塾大学文学部卒。新聞記者を経て、フリーランスライターとなり、新聞、雑誌などで幅広く活躍。2010年、「絡繰り心中」で小学館文庫小説賞を受賞し、デビュー。2020年に刊行した『商う狼 江戸商人 杉本茂十郎』は、細谷正充賞、本屋が選ぶ時代小説大賞、新田次郎文学賞を受賞した。2022年、『女人入眼』が第一六七回直木賞の候補作に。他の著書に『大奥づとめ よろずおつとめ申し候』『福を届けよ 日本橋紙問屋商い心得』『横濱王』などがある。

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