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いま注目の1冊!

ランキングを席巻! これぞ「大人のミステリー」

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 週刊文春ミステリーベスト10(国内部門)第1位を始め、年末のミステリーランキングを席巻したのが、横山秀夫さんの『ノースライト』です。ドラマ化・映画化もされたベストセラー『64(ロクヨン)』から六年余。ついに刊行という期待度や話題性もさることながら、これほどまでの支持を集めているのは、もとよりその内容の充実ぶりからです。
 横山さんといえば警察小説で有名ですが、『ノースライト』には、警察官や刑事が(ほぼ)登場しません。主人公は一級建築士。施主から「すべてお任せします」とまで言われ、忘れていた熱を取り返すように設計したのが、信濃追分のY邸でした。ところが、引っ越してきたはずの施主一家の姿は跡形もなく消え、浅間山を望むように、ただ一脚の椅子だけが置かれていた――。この鮮やかな謎を巡るミステリーです。
 カギになるのは、伝説的な建築家ブルーノ・タウトです。ナチスの迫害から逃れて、タウトは一時日本に滞在しました。Y邸に残された椅子は、果たして「タウトの椅子」なのか。仕事、家族、人生、時間――緻密な伏線に支えられ、重層的に織りなされるこのミステリーには、驚きと同時に、熱いものが込み上げる瞬間が幾度もあるはずです。

波 2020年2月号「新潮社の新刊案内」より

著者紹介

横山秀夫ヨコヤマ・ヒデオ

1957(昭和32)年、東京生れ。国際商科大学(現・東京国際大学)卒。上毛新聞社での12年間の記者生活を経て、作家として独立。1991(平成3)年、『ルパンの消息』がサントリーミステリー大賞佳作に選出される。1998年「陰の季節」で松本清張賞を受賞する。2000年、「動機」で日本推理作家協会賞を受賞。2021年11月現在、最も注目されるミステリ作家のひとりである。『半落ち』『顔 FACE』『第三の時効』『クライマーズ・ハイ』『看守眼』『臨場』『出口のない海』『震度0』『64』『ノースライト』などの作品がある。

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