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今月の表紙の筆蹟は、加藤シゲアキさん。

波 2020年12月号

(毎月27日発売)

100円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2020/11/27

発売日 2020/11/27
JANコード 4910068231208
定価 100円(税込)
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阿川佐和子/やっぱり残るは食欲 第39回
【加藤シゲアキ『オルタネート』刊行記念インタビュー】
加藤シゲアキ/「運命」と「その先」の物語を描きたかった。
【没後50年 三島由紀夫特集】
三島由紀夫『春の雪―豊饒の海・第一巻―』
小池真理子/三島由紀夫とヴィスコンティ

三島由紀夫『手長姫 英霊の声―1938-1966―』
南陀楼綾繁/34冊! 新潮文庫の三島由紀夫を全部読む[前編]

[再録]三島由紀夫/鶴田浩二論 「総長賭博」と「飛車角と吉良常」のなかの
マーカス・デュ・ソートイ、冨永 星 訳『レンブラントの身震い』(新潮クレスト・ブックス)
森田真生/「人間らしさ」の外へ

中野 翠『コラムニストになりたかった』
泉 麻人/女ともだち〈K子〉の存在

阿刀田高『谷崎潤一郎を知っていますか―愛と美の巨人を読む―』
紗倉まな/足の行方

石川直樹『地上に星座をつくる』
最果タヒ/星座の中で生きる人

織守きょうや『朝焼けにファンファーレ』
[インタビュー]織守きょうや/法廷に謎は持ち込まない

小野寺史宜『今夜』
北上次郎/そして人生はクロスする。

松下隆一『羅城門に啼く』
縄田一男/ほら穴の聖母

石井光太『こどもホスピスの奇跡―短い人生の「最期」をつくる―』
仲野 徹/「こどもホスピス」を知っていますか?

エムカク『明石家さんまヒストリー1 1955~1981 「明石家さんま」の誕生』
水道橋博士/日本一有名な芸人の日本一深い評伝
【ふかわりょう『世の中と足並みがそろわない』刊行記念対談】
ふかわりょう×カズレーザー/足並みがそろわなくたって、いいんじゃない
【特別エッセイ】
向田和子/姉と「ままや」と川野さん――作家と編集者の特別な関係が終わってからの歳月
【短期集中連載『小説 イタリア・ルネサンス』をめぐって(三)】
塩野七生/ローマの魅惑――「寛容の精神」の底流にあるもの
【紙木織々『それでも、あなたは回すのか』(新潮文庫nex)刊行記念対談】
紙木織々×悠木 碧/物語の「主人公」になるために
【私の好きな新潮文庫】
会田 誠/『デミアン』以来
 ヘッセ、高橋健二 訳『デミアン
 トーマス・マン、高橋義孝 訳『トニオ・クレーゲル ヴェニスに死す
 ツルゲーネフ、神西 清 訳『はつ恋
【コラム】
[とんぼの本]
とんぼの本編集室だより

三枝昂之・小澤 實/掌のうた

物江 潤『空気が支配する国』(新潮新書)
物江 潤/堀江氏が破った掟とは何か
【連載】
ジェーン・スー/マイ・フェア・ダディ! 介護未満の父に娘ができること 第3回
永田和宏/あなたと出会って、それから…… 第12回
南沢奈央 イラスト・黒田硫黄/今日も寄席に行きたくなって 第12回
バリー・ユアグロー 柴田元幸 訳/オヤジギャグの華 第20回
内田 樹/カミュ論 第4回
小松 貴/にっぽん怪虫記 第12回
川本三郎/荷風の昭和 第31回
編輯後記 新潮社の新刊案内 編集長から

立ち読み

編集長から

今月の表紙の筆蹟は、加藤シゲアキさん。

◎読売新聞に〔本のPR誌 休刊相次ぐ〕という記事が出て、僕も取材を受けました(「波」は休刊しません)。小誌より創刊が早い「青春と読書」「みすず」「図書」「學鐙」(新しい順)等が健在なのはご同慶の至り。丸善の「學鐙」は何と1897年創刊、日本初の企業PR誌で初代編集長は内田魯庵。
◎丸善創業者はゆうてきといい、知友や従業員に有り合わせの肉と野菜をゴッタ煮にして飯と共に食わせた。これがハヤシライスの発祥――という説はご存じでしょう。
◎昔佐藤隆介さんの『池波正太郎の食卓』を担当した時、僕が「學鐙」編集部に右の説の信憑性を問合せると、「勿論事実ですが何か?」みたいな毅然たるお答で嬉しくなりました。尤も『丸善百年史』曰く「しかしこの話はあまり面白すぎる」。今や丸善のカフェの看板料理ですが、メニューにも「ハヤシライスを生み出したのは(略)早矢仕有的と言われています」と奥床しい。
◎この早矢仕ライス、平成初期にはまだ有名でなく、山口瞳さんが「週刊新潮」にこう記しました。「ハヤシライスのい店を教えてもらった。日本橋丸善の屋上ゴルフ練習場に附属する形のスナックで、店名はない」、「ちょっと辛口で、はじめの一さじで、遂にハヤシライスにめぐりあったという感じがした」、「ここは穴場だ。混雑する気配はない。屋上で眺めがよく風が快い」、「貴方はこれを読んだことを人に教えないでほしい」。さすが元寿屋宣伝部名コピーライター、煽りますねえ。
◎池波さんは缶入りのソースで自作した由。「牛肉とタマネギをさっと炒めておいて、ちょっとシェリーをかけてから、温めておいたブラウン・ソースをあけてしまう」(『むかしの味』)。これは簡単、今晩やります。
▽次号の刊行は十二月二十八日です。

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。