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今月の表紙は、ブレイディみかこさん。

波 2019年7月号

(毎月27日発売)

102円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2019/06/27

発売日 2019/06/27
JANコード 4910068230799
定価 102円(税込)
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阿川佐和子/やっぱり残るは食欲 第22回
【ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』刊行記念特集】
高橋源一郎/未来は彼らの手の中に
三浦しをん/普遍へと開かれた窓
【桜木紫乃『緋の河』刊行記念対談】
桜木紫乃×カルーセル麻紀/とことん汚く書いて。そう信長に、言われたら。
三国美千子『いかれころ』
齋藤直子/“マジョリティ”の側から“差別”を描く

古市憲寿『百の夜は跳ねて』
藤崎彩織(SEKAI NO OWARI)/生と死の境目をなぞる言葉

岸 政彦『図書室』
川上未映子/犬や猫や風とおなじに

ローベルト・ゼーターラー、浅井晶子/訳『ある一生』(新潮クレスト・ブックス)
池澤夏樹/天国へのロープウェイ

東川篤哉『ハッピーアワーは終わらない―かがやき荘西荻探偵局―』
大矢博子/アラサー三人組、第二弾もトンチキ絶好調!

田中兆子『私のことならほっといて』
手塚マキ/女を知ってはじめて、男は男を知る

近衛龍春『将軍家康の女影武者』
末國善己/戦場で家康を守った側室

松田青子『じゃじゃ馬にさせといて』
柚木麻子/「推し」は偏見を粉砕する

群ようこ『じじばばのるつぼ』
吉田伸子/確かな“視力”で描く、じじばばあるある

ジーナ・キーティング、牧野洋/訳『NETFLIX コンテンツ帝国の野望―GAFAを超える最強IT企業―』
入山章栄/「闘い」の歴史から見るネットフリックスの凄さ

小林快次『恐竜まみれ―発掘現場は今日も命がけ―』
川上和人/恐竜はズルい

ポール・アンドラ、北村匡平/訳『黒澤明の羅生門―フィルムに籠めた告白と鎮魂―』
北村匡平/京マチ子と『羅生門』の亡霊へのレクイエム
【短篇小説】
北村 薫/ゆめ 後篇
【今月の新潮文庫】
私の好きな新潮文庫 夢眠ねむ/1cm以内の物語
 小川 糸『あつあつを召し上がれ
 吉本ばなな『キッチン
 サン=テグジュペリ、河野万里子/訳『星の王子さま

京極夏彦『今昔百鬼拾遺 天狗』
[インタビュー]京極夏彦 取材・文 朝宮運河/天狗 驕り高ぶる者
【コラム】
三枝昂之・小澤 實/掌のうた
とんぼの本編集室だより
愛すべき愚かものたちのメッセージ(とんぼの本)
本橋信宏『ベストセラー伝説』
本橋信宏/懐かしいあの本に会いたい(新潮新書)
【新連載】
会田弘継/「内なる日本」をたどって
【連載】
ブレイディみかこ/ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 第19回
伊藤比呂美/URASHIMA 第14回
土井善晴/おいしく、生きる。 第9回
バリー・ユアグロー 柴田元幸 訳/オヤジギャグの華 第3回
保阪正康/昭和史の陰影 第7回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第112回
はらだみずき/やがて訪れる春のために 第7話
川本三郎/荷風の昭和 第14回
曽野綾子/人間の義務について 第6回
編輯後記 新潮社の新刊案内 編集長から

立ち読み

編集長から

今月の表紙は、ブレイディみかこさん。

◎表紙はイギリス、ブライトンでのブレイディみかこさん。背後の派手な店はパブの由。『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、単行本第一弾が六月に刊行されましたが、連載はまだまだ続きます!
◎新文芸坐で組まれた内田吐夢特集へ通い詰めました。名作『飢餓海峡』で、娼婦(左幸子)は大金をくれた一度だけの客(三國連太郎)の思い出に、彼女が切ってあげた爪を後生大事と持ち続けます。これは原作では安全カミソリだったのを、「娼家で誰もが使うものに情は移らんよ」という監督の指摘から、脚本の鈴木尚之さんが神楽坂〔和可菜〕へ籠って思いついたもの。
◎一方、山口瞳さんが向田邦子さんから「私、(男が)いるのよ」と告白された話を書き残しています。「「『父の詫び状』のなかに出てくるでしょう。あの男よ」/彼女は『父の詫び状』のなかの、ある章の名を言った。その夜、帰宅してから、その章を読みかえしてみた。なるほど、彼女は、実に巧妙に告白しているのである」(『木槿の花』)。
◎調べたくなりますねえ。ポイントは、何年も前に書いたエッセイのタイトルを向田さんがパッと口にでき、山口さんもすぐ記憶できたことです。早速『父の詫び状』を広げて目次と本文をあちこち引きくらべると「魚の目は泪」という一文に……これぞ告白欲と隠蔽欲? 実物を読んでみて下さい。
◎向田さんは『阿修羅のごとく』や『寺内貫太郎一家』で、爪をやはり男女関係の機微に触れる小道具として鮮やかに使っています。あれは魚の目をめぐる私的体験の変奏だったのか、「飢餓海峡」への目配せなのか――。向田さんご自身は爪を噛む癖があって、ずっと深爪にしていたそうです。
▽次号の刊行は七月二十九日です。

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バックナンバー

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。