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今月号の表紙は天童荒太さん。

波 2018年5月号

(毎月27日発売)

102円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2018/04/27

発売日 2018/04/27
JANコード 4910068230584
定価 102円(税込)


阿川佐和子/やっぱり残るは食欲 第8回
川上未映子『ウィステリアと三人の女たち』
蓮實重彦/素晴らしきものへの敬意

[天童荒太『ペインレス』(上・下)刊行記念特集]
[インタビュー]天童荒太/痛みの進化論
紫野京作/もはやトラウマではない―天童作品の切っ先を探る

トーン・テレヘン、長山さき/訳『きげんのいいリス』
長山さき/ライデンのアパートから

マーカス・デュ・ソートイ、冨永星/訳『知の果てへの旅』
山本貴光/知の果て、至上の時

町田 康『湖畔の愛』
若松英輔/笑いの涅槃を描き出す新しい宗教文学

本城雅人『傍流の記者』
村上貴史/男前な記者たちの物語

中澤日菜子『Team383』
川本三郎/光のどけき老いの日々

小林早代子『くたばれ地下アイドル』
大森 望/アイドルという窓から世界を切りとる作品集

黒田龍之助『物語を忘れた外国語』
羽田詩津子/物語が語学力を磨く

宮田珠己『東京近郊スペクタクルさんぽ』
宮田珠己/散歩にもっと驚きを

伊藤まさこ『美術館へ行こう―ときどきおやつ―』
光野 桃/やわらかな手にひかれて巡る「心の病院」

小松 貴『昆虫学者はやめられない―裏山の奇人、徘徊の記―』
メレ山メレ子/虎になった奇人、世界に飛び出す

水谷さるころ『目指せ! 夫婦ツーオペ育児 ふたりで親になるわけで』
田房永子/夫婦円満へのヒントが満載

[穂村 弘、堀本裕樹『短歌と俳句の五十番勝負』刊行記念トークイベント]
堀本裕樹×穂村 弘/対決! 短歌と俳句 公開勝負

[ぺス山ポピー『実録 泣くまでボコられてはじめて恋に落ちました。』刊行記念対談]
ぺス山ポピー×こだま/どんな人も生きてていい
[座談会]
阿川佐和子×内藤啓子×矢代朝子
文士の子ども被害者の会 Season2 後編
須藤靖貴『満点レシピ 新総高校食物調理科』(新潮文庫)
上田淳子/ほんとうのプロが作る料理とは

[祝本屋大賞!]
辻村深月『ツナグ』(新潮文庫)
三浦天紗子/辻村深月入門の最良の1冊

後藤真樹『かくれキリシタン―長崎・五島・平戸・天草をめぐる旅―』(とんぼの本)
後藤真樹/旅の始まり、そして取材を終えて

とんぼの本編集室だより

関 裕二『神武天皇vs.卑弥呼―ヤマト建国を推理する―(新潮新書)
関 裕二/「謎」はなぜ放置されてきたのか?

【連載】
堀部安嗣/ベーシックハウスを考える 新連載
ブレイディみかこ/ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 第5回
末盛千枝子/根っこと翼・皇后美智子さまに見る喜びの源 第5回
津村記久子/やりなおし世界文学 第48回
谷川ゆに/境界紀行 たましいの行方をさがして 第13回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第98回
山下洋輔/猛老猫の逆襲 山下洋輔旅日記 第26回
戌井昭人/煙たかろう、さのよいよい 第17回
編輯後記 新潮社の新刊案内 編集長から

立ち読み

編集長から

今月号の表紙は天童荒太さん。

◎表紙は天童荒太さん。痛みとエロスという二面から人間存在に迫る上下2巻の新作『ペインレス』が刊行されました。廊下で担当者を捕まえて訊くと、「人類のDNAを揺るがす超弩級の傑作」云々。長く厚い小説を編集させれば社内無双のこの先輩は(新潮ミステリー倶楽部というシリーズを立ち上げてエンタメ小説界に重厚長大路線を築いた人物で、新潮講座での小説教室の人気講師でもあります)ほんの少し大言壮語のヘキがありますが、七掛けにして聞いても凄まじく面白そう。書店での目印はカバーのクリムトの艶冶な画です。
阿川弘之さんが亡くなったのは3年前のこと。長女の佐和子さんが座談会シリーズ「文士の子ども被害者の会」を続けています。往年の文士の家はどこのエピソードも抱腹絶倒ものですが、それにしても〈バクロ的な笑い話で送る〉というのはイキな別れの告げ方だなあと胸が熱くなりもします。年内には次回を掲載予定。
城山三郎さんは亡くなってもう11年。長年住んでいた神奈川県茅ヶ崎市の愛読者を中心とする「城山三郎湘南の会」が着実な活動を続けています。没後10年の記念誌も、いかにも手作りながら瞠目の内容。この会にお誘いを受けて5月13日(日)午後1時半から茅ヶ崎市立図書館で、『指揮官たちの特攻―幸福は花びらのごとく―』『そうか、もう君はいないのか』の担当編集者として、みなさんと公開でお話をすることになりました。ご用とお急ぎはなく、城山作品に少しはご興味があるという方はぜひお越し下さい。

▽神楽坂ブック倶楽部は会員募集をしております。詳細はホームページ、http://kagubookclub.com/をご覧下さい。
▽次号の発売は5月28日です。

お知らせ

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。