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今月の表紙は『源氏姉妹』を刊行した酒井順子さん。

波 2017年2月号

(毎月27日発売)

102円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2017/01/27

発売日 2017/01/27
JANコード 4910068230270
定価 102円(税込)


平岩弓枝/なつかしい面影 第5回

[表紙の筆蹟 酒井順子『源氏姉妹(げんじしすたあず)』]
井上章一/『源氏姉妹』に、おののいて

[二号連続特別書評 塩野七生『ギリシア人の物語II 民主政の成熟と崩壊』]
待鳥聡史/制度と個人の間にあるもの

ベン・ファウンテン、上岡伸雄/訳『ビリー・リンの永遠の一日』(新潮クレスト・ブックス)
加藤典洋/テキサススタジアムでイラク戦争を。

生馬直樹『夏をなくした少年たち』
吉田伸子/笑顔と、その裏にあるものが胸に残る

高橋弘希『スイミングスクール』
木村朗子/私語りの巧みな詐術

永田和宏『生命の内と外』(新潮選書)
鷲田清一/最初の読者の「ぞくぞく」

梅 佳代『白い犬』
飯沢耕太郎/「動物写真家・梅佳代」のデビュー写真集! 

梓澤 要『万葉恋づくし』
上野 誠/解かれた万葉恋歌の“謎”

朝香 式『パンゲア5(ファイブ)』
三浦天紗子/すべては世界の有機的なピース

武内 涼『駒姫―三条河原異聞―』
高橋敏夫/死に臨む者をみたす豊饒な生

[辣椒『マンガで読む 嘘つき中国共産党』刊行記念描き下ろしコミック]
辣椒/中国亡命漫画家が描く習近平の正体

佐々木健一『神は背番号に宿る』
向井万起男/神の見えざる手が見えてくる

久川涼子『実録 水漏れマンション殺人事件』
鎌田敏夫/軽やかに、作家魂

青山繁晴×百田尚樹『大直言』
居島一平/行間到る処青山有り、議論百出の書

飯間浩明『三省堂国語辞典のひみつ―辞書を編む現場から―』(新潮文庫)
永江 朗/ものさしを持って揺れる男

[「町田市民文学館ことばらんど」開館10周年記念 座談会〈前編〉]
阿川佐和子×遠藤龍之介×斎藤由香×矢代朝子/文士の子ども被害者の会

[特別対談〈中篇〉]
宮崎 駿×養老孟司/合計154歳、ふたりがいま夢中なこと。

【コラム】
武田 徹『なぜアマゾンは1円で本が売れるのか―ネット時代のメディア戦争―』(新潮新書)
武田 徹/誰がコンテンツを殺すのか?

仲正昌樹『教養としてのゲーテ入門―「ウェルテルの悩み」から「ファウスト」まで―』(新潮選書)
斎藤哲也/現代人にこそリアルに響くゲーテ

高橋明也『新生オルセー美術館』 (とんぼの本)
高橋明也/パリへ行ったときには?

とんぼの本編集室だより

向田邦子 『男どき女どき』
原 幹恵/映画になった新潮文庫

【連載】
ジェーン・スー/生きるとか死ぬとか父親とか 第12回
山下洋輔/猛老猫の逆襲 山下洋輔旅日記 第11回
津村記久子/やりなおし世界文学 第33回
戌井昭人/煙たかろう、さのよいよい 第2回
大澤真幸/山崎豊子の〈男〉 最終回
堀本裕樹、穂村弘/俳句と短歌の待ち合わせ 第42回
木皿 泉/カゲロボ日記 第34回
野村 進/多幸感のくに 第3回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第83回
佐藤賢一/遺訓 第14回
ミランダ・ジュライ(岸本佐知子訳)/最初の悪い男 第11回

編集室だより  新潮社の新刊案内  編集長から

立ち読み

編集長から

今月の表紙は酒井順子さん

◇今月の表紙は『源氏姉妹しすたあず』を刊行した酒井順子さん。手の出演は音大出の某嬢を拉し来たり、昭和ふうに色っぽい畳と蒲団がある新潮社クラブの和室で撮影しました。
◇クラブは作家の方々を〈カンヅメ〉にしたり、対談や取材で使ったりする施設ですが、ここで執筆に呻吟した作家の幽霊が出るという都市伝説があります(なんとグーグルの検索予測に出る)。半年籠って二十二枚しか書けなかったという開高健さん(取り組んでいたのは『花終る闇』)のそれが出る話が流布されているものの、わりと出入りする私でも目撃したこともゾクゾクしたこともなく、たぶん出ません。ちなみに開高さんはこの和室をたいへん気に入っていたそうで、茅ヶ崎市の開高健記念館に残されている書斎はこの和室と実によく似た造りになっていて吃驚しました。
◇それはともかく、酒井さんの『源氏姉妹』は、担当編集者のツイート(新潮社出版部文芸@Shincho_Bungei)によると、「ある男と肉体関係を持った女たちを〈姉妹〉と呼ぶのなら、藤壺、紫上らは立派なシスターズ。彼女たちを降臨させ、愛とセックスの日々を赤裸々に語らせます。源氏のフェチも明らかに。宇能鴻一郎先生を思わせる独白体がクセになりますよ!」という一冊。とりわけ瀬戸内寂聴さんも丸谷才一さんも小説に仕組んだ藤壺が、酒井さんの手によってまた新たな顔を見せて、魅惑的です。
◇今号で大澤真幸さんの「山崎豊子の〈男〉」が最終回。毎回面白く読みながら、山崎さんの登場人物へのネーミングの絶妙さに唸っていました。こんなに人物の名前が覚えられている小説をいくつも・・・・書いたのは、他に漱石がいるくらいかもしれません。映画「シン・ゴジラ」の登場人物たちについて、「恩地、財前、里見etc.……あ、山崎作品から来てる!」と気づいた人が多かったのもその証左でしょう。そして今年は「山崎豊子の〈女〉」が描かれる『女の勲章』(新潮文庫)がフジテレビでスペシャルドラマ化されることが決定しています。主演は松嶋菜々子さん。大庭式子というヒロイン名も長く記憶に残りそうです。

◇新潮社ホームページ、リニューアル!
http://www.shinchosha.co.jp/
◎新シリーズ「村上柴田翻訳堂」刊行中。
http://www.shinchosha.co.jp/murakamishibata/

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バックナンバー

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。