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今月の表紙の筆蹟は東川篤哉さん。
[東川篤哉『かがやき荘アラサー探偵局』刊行記念特集]

波 2016年11月号

(毎月27日発売)

102円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2016/10/27

発売日 2016/10/27
JANコード 4910068231161
定価 102円(税込)


平岩弓枝/なつかしい面影 第2回

[梯久美子『狂うひと―「死の棘」の妻・島尾ミホ―』刊行記念特集]
【対談】梯久美子×司 修/不朽の名作『死の棘』の謎を解く衝撃大作。
川村 湊/「比類ない愛の神話」の解体

[東川篤哉『かがやき荘アラサー探偵局』刊行記念インタビュー]
東川篤哉/僕がアラサーだったころ

アリス・マンロー、小竹由美子/訳『ジュリエット』(新潮クレスト・ブックス)
野中 柊/底知れない深み、果てない広がり

山下澄人『しんせかい』
飴屋法水/北海道にいた

大川貴史『視聴率ゼロ!―弱小テレビ局の帯番組『5時に夢中!』の過激で自由な挑戦―』
水道橋博士/「永遠のゼロ」ではない!

樋口明雄『火竜の山―南アルプス山岳救助隊K-9―』
西上心太/命がけで任務を全うする二人のヒロイン

奥田亜希子『五つ星をつけてよ』
豊崎由美/いい話なんか書かないぞ

井上 雪『廓のおんな―金沢 名妓一代記―』(新潮文庫)
今月の新潮文庫 唯川 恵/芸者、そのほんとうの姿

[没後20年企画 遠藤周作]
【講演】遠藤周作/宗教と文学の谷間で

[佐藤 優『ゼロからわかるキリスト教』刊行記念特集]
世界宗教の2000年を200ページで。
阿刀田高/たまには神に思いを馳せて
橋爪大三郎/西欧キリスト教文明とイスラムが対峙するとき

山折哲雄『「ひとり」の哲学』(新潮選書)
山折哲雄/「ひとり」を生き抜いているか

永井 隆『究極にうまいクラフトビールをつくる―キリンビール「異端児」たちの挑戦―』
和田 徹/ビールこそ最高の酒である

白石あづさ『世界のへんな肉』
谷口菜津子/旅する舌とへんな肉

黒川光博・齋藤峰明『老舗の流儀―虎屋とエルメス―』
川島蓉子/“挑戦の連鎖”の先に老舗は存在する

小泉武夫『幻の料亭・日本橋「百川」―黒船を饗した江戸料理―』
檀 ふみ/「咄咄」たる話

[佐藤多佳子『明るい夜に出かけて』×朝井リョウ『何様』刊行記念対談]
佐藤多佳子×朝井リョウ/小説の光が照らしだすもの

【コラム】
高崎順子『フランスはどう少子化を克服したか』(新潮新書)
高崎順子/子供の増える国、フランスの発想法

とんぼの本編集室だより

池波正太郎『編笠十兵衛〔上〕〔下〕』
宮崎香蓮/新潮文庫で歩く日本の町
【連載】
森 功/暗黒事件史 日本を変えた犯罪者たち 最終回
ジェーン・スー/生きるとか死ぬとか父親とか 第9回
山下洋輔/猛老猫の逆襲 山下洋輔旅日記 第8回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第80回
津村記久子/やりなおし世界文学 第30回
荒山 徹/歴史の極意・小説の奥儀 最終回
堀本裕樹、穂村弘/俳句と短歌の待ち合わせ 第39回
大澤真幸/山崎豊子の〈男〉 第9回
木皿 泉/カゲロボ日記 第31回
佐藤賢一/遺訓 第11回
ミランダ・ジュライ(岸本佐知子訳)/最初の悪い男 第8回

編集室だより  新潮社の新刊案内  編集長から  カット 水上多摩江

立ち読み

編集長から

今月の表紙は東川篤哉さん

◇今月の表紙は、東川篤哉さん。新作『かがやき荘アラサー探偵局』の舞台は西荻窪のどこかですが、主人公である発泡酒好きの女子探偵三人組に敬意を表して駅前の呑屋街で撮影しました。この辺りは表紙でも看板が目立っている「やきとり戎」を始め、太田和彦氏風ないし吉田類氏風にくつろげる良い店ばかりで、コの字カウンターが素敵な居酒屋、老舗ラーメン屋もすぐそばです。近所のシェアハウスに住んでいるあの三人組が現れないかなあと思いながら呑む……というのは気色悪いですね。ともあれ、一夕の歓を尽くすには最適の一冊です。
◇もう始まっていますが、文学展のお知らせ二つ。甲府市貢川の山梨県立文学館では「北杜夫展 ユーモアがあるのは人間だけです」が開かれています(十一月二十三日まで。tel.055-235-8080)。『楡家の人びと』の生原稿や辻邦生氏からの書簡など約一五〇点の資料が展示されているほか、三日(木・祝)には「北杜夫は3人いました―喜美子夫人が語る波乱の50年」というトークイベントも。この三日からは北氏原作の映画「ぼくのおじさん」(主演松田龍平/監督山下敦弘)も全国公開されます。
◇また横浜市の港の見える丘公園そばの神奈川近代文学館では「安岡章太郎展――〈私〉から〈歴史〉へ」が開催中(十一月二十七日まで。tel.045-622-6666)。タイトル通り、己れの劣等生ぶりや母の死を語る、いわば伝統的な私小説から、父方の祖先が関わった倒幕維新の運動など広く歴史の中の人間を描くようになった作家の変遷を豊富な資料と共に辿ります。五日(土)には黒井千次さんと安岡治子さんによる「作家の顔、父の顔―安岡章太郎の素顔」という対談が、二十三日(水・祝)には中島京子さんの「私の好きな安岡章太郎」と題した講演会が催される予定です。
◇荒山徹さん「歴史の極意・小説の奥儀」と森功さん「暗黒事件史 日本を変えた犯罪者たち」の連載が今月号で最終回。ご愛読有難うございました。個人的感想を漏らすと、二つともタメになったなあ! 共に新潮新書として近く刊行されます。

◇新潮社ホームページ、リニューアル!
http://www.shinchosha.co.jp/
◎新シリーズ「村上柴田翻訳堂」刊行中。
http://www.shinchosha.co.jp/murakamishibata/

お知らせ

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。