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今月の表紙の筆蹟は柴門ふみさん。
柴門ふみ『大人恋愛塾』

波 2016年1月号

(毎月27日発売)

102円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2015/12/28

発売日 2015/12/28
JANコード 4910068230164
定価 102円(税込)

塩野七生『ギリシア人の物語I 民主政のはじまり』
渡辺 靖/現代政治の源流へ

重松 清『たんぽぽ団地』
重松 清/メイキング・オブ・たんぽぽ団地

筒井康隆『モナドの領域』
大森 望/GODが宇宙の究極の謎を解く

絲山秋子『薄情』
島本理生/今という時代の誠実な「記憶」

イサク・ディネセン、横山貞子/訳『冬の物語』
池澤夏樹/急転直下のエンディング

柴門ふみ『大人恋愛塾』
三浦天紗子/恋のトラップに引っかかりがちなあなたへ

柚木麻子『私にふさわしいホテル』
南 綾子/私にふさわしい書評

河野裕『汚れた赤を恋と呼ぶんだ』
美山加恋/心に刺さる言葉たち

青木淳悟『学校の近くの家』
滝口悠生/文章の渦中にしかない興奮と悦び

増田晶文『エデュケーション』
増田晶文/凜々しくてリリシズムあふれる連中

[米窪明美『天皇陛下の私生活―1945年の昭和天皇―』刊行記念対談]

読売新聞政治部『安倍官邸vs.習近平―激化する日中外交戦争―』
田中隆之/対中外交を軸に見た安倍政権「激動の1年」

河合雅司『日本の少子化 百年の迷走―人口をめぐる「静かなる戦争」―』
小宮山宏/明治以降の日本史を「人口」から考察する

エリック・リヒトブラウ、徳川家広/訳『ナチスの楽園―アメリカではなぜ元SS将校が大手を振って歩いているのか―』
徳川家広/ピュリッツァー賞記者が着地した「正義」

池波正太郎ほか『真田太平記読本』(新潮文庫)
重里徹也/人間通による大河歴史小説の魅力

生島マリカ『不死身の花―夜の街を生き抜いた元ストリート・チルドレンの私―』
西原理恵子/残飯は土曜の朝が一番うまい

沖 昌之『ぶさにゃん』
沖 昌之/猫写真 ぼくのお気に入りベスト3

[内田春菊『おやこレシピ』刊行記念公開対談]
伊藤まさこ(スタイリスト)×内田春菊(漫画家・小説家)/子どもと一緒に、なにつくる?

榎本博明『ほめると子どもはダメになる』
榎本博明/「ほめて育てる」は間違いだった!

【追悼・高田宏さん】柴田光滋/酒品のいい人

コラム
とんぼの本編集室だより
考える人―もろくて強い命、と知る

織田作之助『夫婦善哉』
宮崎香蓮/新潮文庫で歩く日本の町

三橋曉の海外エンタ三つ巴

連載
新連載 佐藤賢一/遺訓 第1回
荒山 徹/歴史の極意・小説の奥儀 第10回
橘 玲/残酷すぎる真実 第11回
津村記久子/やりなおし世界文学 第20回
大竹 聡/酔いどれ紀行 第4回
A・A・ミルン作、阿川佐和子訳/ウィニー・ザ・プーと魔法の冒険 最終回
石原千秋/漱石と日本の近代 第31回
森まゆみ/子規の音 第24回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第70回
堀本裕樹、穂村弘/俳句と短歌の待ち合わせ 第29回
木皿 泉/カゲロボ日記 第21回
津村節子/時のなごり 第52回

編集室だより  新潮社の新刊案内  編集長から  カット 水上多摩江

編集長から

今月の表紙の筆蹟は柴門ふみさん

◇今月の表紙の筆蹟は、柴門ふみさんです。柴門さんには「小説新潮」で二〇〇七年から大人の恋愛をめぐる、しかも実話をベースにしたエッセイを連載していただいており、新刊『大人恋愛塾』はシリーズ第三作目になります。一冊目の『大人の恋力』の「あとがき」で柴門さんは「世に、恋のタネは尽きまじ、だなぁ」と嘆息されていますが、新作を読んだ感想もまさにその一言です。今作は“柴門塾長”のもとに主に中高年の男女がやって来て、愛と性に関する悩みや疑問をぶつけるという設定になっていますが、一筋縄ではいかぬ話ばかり。恋愛というファンタジーが生み出す摩訶不思議なドラマは驚きとおかしみに満ちており、これぞ人間喜劇という趣です。読後頭に浮かんだのは、野坂昭如さんが歌った名曲「黒の舟唄」(作詞・能吉利人)の一節「男と女の間には深くて暗い川がある……エンヤコラ今夜も舟を出す」でした。
◇その野坂さんをはじめ、このところ訃報が相次ぎ、悲しみが折り重なる思いでした。編集部には過去の記事を執筆者別にまとめたノートがありますが、高田宏さんの項をめくると記録が何ページにもわたっています。連載、書評、対談など本当にお世話になりました。また「やりなおし世界文学」の挿絵をお願いしたフジモトマサルさんは、ご病気で入退院を繰り返される中、明快で心に焼きつくような絵を描き続けてくださいました。ご本人の意向を受けて先月号から100%ORANGEさんに引き継ぎをお願いしましたが、題字は継続して使わせていただきます。フジモトさんには挿絵だけでなく、回文とイラストで物語世界を作り上げた『ダンスがすんだ』という名作があります。本が完成した時、「中が回文、全部いかがかな?」という愚にもつかぬ宣伝文句をお伝えした際に「いいですね」と微笑んでくださった顔が忘れられません。
 野坂さん、フジモトさんの追悼文は次号に掲載予定です。お三方のご冥福を心よりお祈り申し上げたいと思います。

バックナンバー

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雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。