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今月の表紙の筆蹟は、京極夏彦さん。
[『ヒトでなし 金剛界の章』刊行記念インタビュー]

波 2015年11月号

(毎月27日発売)

102円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2015/10/27

発売日 2015/10/27
JANコード 4910068231154
定価 102円(税込)


[『ヒトでなし 金剛界の章』刊行記念インタビュー]
京極夏彦(聞き手 千街晶之)/人は、まあみんな人でなしなんです
瀬戸内寂聴『わかれ』
田中慎弥/小説らしい小説

高井有一『時のながめ』
佐伯一麦/おのがじしの文学

川上未映子『あこがれ』
押切もえ/うしなって、得るもの。

久間十義『デス・エンジェル』
久坂部 羊/医療現場の“それぞれの正義”
[藤野千夜『D菩薩峠漫研夏合宿』刊行記念特集]
【インタビュー】藤野千夜/「秘密にしていた漫研時代を書きました」
川上弘美/キュン
彩坂美月『僕らの世界が終わる頃』
藤田香織/硬化した大人心を打ち砕く世界

森 達也『チャンキ』
佐々木 敦/小説家森達也の鮮やかな大作

セサル・アイラ 柳原孝敦訳『文学会議』(新潮クレスト・ブックス)
松田青子/目が点になる〈現実〉の、愛と感動

O・ヘンリー 小川高義訳『最後のひと葉―O・ヘンリー傑作選II―』(新潮文庫)
倉本さおり/名作は何で出来ている?

つんく♂『「だから、生きる。」』
大森 望/天才プロデューサーのロック魂が炸裂する

渡辺靖『沈まぬアメリカ―拡散するソフト・パワーとその真価―』
会田弘継/生きて動くアメリカ文明

藤井聡・適菜収『デモクラシーの毒』
中野剛志/「劣化した民主主義」に効く解毒剤

ポーター・エリスマン 黒輪篤嗣訳『アリババ 中国eコマース覇者の世界戦略』
富坂 聰/ネットでの「爆買い」も支える中国eコマースの巨人

スーザン・フォワード 羽田詩津子訳『毒親の棄て方―娘のための自信回復マニュアル―』
香山リカ/「ママを棄てるわけにはいかない」のか?

崇史『逃げる勇気―「できる人」は九割を捨て、たった一割で勝負する―』
堀 潤/「逃げる勇気」で景色が変わる

森田真生『数学する身体』
原 研哉/新たな先史時代に佇む人類への一冊
[山内 譲『瀬戸内の海賊―村上武吉の戦い【増補改訂版】―』刊行記念対談]
山内 譲×和田 竜/「歴史の現場」に『村上海賊』を求めて
佐伯啓思『さらば、資本主義』
佐伯啓思/戦後日本の不幸な資本主義
[吉村昭『吉村昭 昭和の戦争5 沖縄そして北海道で』 吉村昭を読む]
佐藤 優/日本の北と南で起きた真実の記録
〈コラム〉
考える人―二つの視線がクロスする対談

城山三郎『そうか、もう君はいないのか』
宮崎香蓮/新潮文庫で歩く日本の町

三橋曉の海外エンタ三つ巴

〈連載〉
荒山 徹/歴史の極意・小説の奥儀 第8回
橘 玲/残酷すぎる真実 第9回
津村記久子/やりなおし世界文学 第18回
大竹 聡/酔いどれ紀行 第2回
森まゆみ/子規の音 第22回
A・A・ミルン作、阿川佐和子訳/ウィニー・ザ・プーと魔法の冒険 第8回
石原千秋/漱石と日本の近代 第29回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第68回
末盛千枝子/父と母の娘 第20回
堀本裕樹、穂村弘/俳句と短歌の待ち合わせ 第27回
木皿 泉/カゲロボ日記 第19回
津村節子/時のなごり 第50回

編集室だより  新潮社の新刊案内  編集長から

編集長から

今月の表紙の筆蹟は、京極夏彦さん

◇今月の表紙の筆蹟は、京極夏彦さんです。 新刊『ヒトでなし 金剛界の章』は宗教をテーマにした物語の序章で、六百頁近い大作ですが、強烈な吸引力で読者を磁場に引き込んでいきます。本文インタビューで語られているように現在「週刊新潮」で連載中の時代小説「ヒトごろし」とも繋がるという壮大な構想で、新たな代表作シリーズの誕生を予感させます。
 写真は、京極さんが「ソフト館」と命名している、数多のDVDソフトや書物を所蔵した建物の一室で、妖気たっぷりに撮影させていただきました。背後に写っているオブジェはファンにはお馴染みかと思いますが、これまでに刊行された文庫版の装幀に使われた妖怪たちで、『姑獲鳥の夏』『絡新婦の理』など多くの作品のカバーを彩った張り子作家・荒井良氏の至芸です。
◇弊社隣接のイベントスペース「la kagu」で、この秋から「新潮読書クラブ」という読書会が開催されています。毎月一回、作家やクリエーターの方をゲストに招き、その方の愛読書である作品を課題図書として参加者の方々と一緒に読んでいく、という新しいイベントです。前半は登壇者による公開読書会、後半は参加者の方と意見を交換するという形式になっており、作品の魅力を様々な角度から味わえる時間を過ごしていただけると思います。
 取り上げられる作品も古典から海外文学、現代文学までバラエティに富んでおり、十一月の課題図書は川端康成眠れる美女』。ナビゲートしてくれるのは石田衣良さんです。川端文学の熱狂的愛読者である石田さんが、その中でも「文章の見事さ、感覚表現の冴え、デカダンスを突き抜け黒々と澄んだロマンティシズムに、一読して打ちのめされた」という作品について語ります。読書の秋に最適のイベントにぜひお越しください。
 十一月十三日(金)十九時からで、入場料は千五百円。お問い合わせは以下のサイトにお願いします。 http://www.lakagu.com/event

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。