ホーム > 雑誌 > 雑誌詳細:波 > 雑誌詳細:波 2015年7月号

今月の表紙の筆蹟は北方謙三さん。
[北方謙三『十字路が見える』刊行記念対談]

波 2015年7月号

(毎月27日発売)

102円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2015/06/27

発売日 2015/06/27
JANコード 4910068230751
定価 102円(税込)


[北方謙三『十字路が見える』刊行記念対談]
二階堂ふみ×北方謙三/俺の十字路、君の十字路

河野多惠子『考えられないこと』
池澤夏樹/水鳥が飛び立ったあと

野中 柊『波止場にて』
くぼたのぞみ/きっぱりと明るく描く昭和の戦争ラブロマンス

[『抱く女』刊行記念インタビュー]
桐野夏生(聞き手・佐久間文子)/いま何故1972年なのか

あさのあつこ『ゆらやみ』
吉田伸子/動乱の世に生きた女の愛の物語

河合莞爾『救済のゲーム』
香山二三郎/奇蹟のゴルフミステリー

秋山祐徳太子『秋山祐徳太子の母』
朝吹真理子/雪は桃色

高田崇史『七夕の雨闇――毒草師――』
中野信子/予言の自己成就

マーガレット・ミッチェル著、鴻巣友季子訳『風と共に去りぬ』(全5巻、新潮文庫)
中島京子/欠点だらけのこの人を、好きにならずにいられない

リュドミラ・ウリツカヤ 絵ウラジーミル・リュバロフ『子供時代』
梨木香歩/リューシャとヴォーヴァがここにいた

佐藤 優『いま生きる階級論』
香山リカ/「知」は人を解放する

ロバート・グリーン『マスタリー―仕事と人生を成功に導く不思議な力―』
成毛 眞/凡百の自己啓発を超えた、「未来を変えたい人」の必読書

高野 登『リッツ・カールトンで実践した 働き方が変わる「心の筋トレ」』
青木仁志/「やり方」から「あり方」へ 無形の資産の築き方

岡田尊司『人間アレルギー―なぜ「あの人」を嫌いになるのか―』
finalvent/すべては「アレルギー」が原因だった

一般財団法人 日本再建イニシアティブ『人口蒸発 「5000万人国家」日本の衝撃―人口問題民間臨調 調査・報告書―』
船橋洋一/日本史上最大の危機にどう立ち向かうか

坪田耕三『算数のしくみ大事典』
坪田耕三/算数は自由だ

たかはしみき『ますます! 東京ひよっ子3人暮らし ~イヤイヤ大魔王降臨!試練の2さいくん編~』
庄司智春/パパにとっても味方の一冊

有馬哲夫『「スイス諜報網」の日米終戦工作―ポツダム宣言はなぜ受けいれられたか―』
有馬哲夫/天皇はなぜポツダム宣言受諾を決意できたのか

永井忠孝『英語の害毒』
永井忠孝/エスキモー語研究者が見た「英語の脅威」

【コラム】
とんぼの本 編集室だより

考える人―愛情は最高のスパイスなのか

遠藤周作『女の一生』
宮崎香蓮/新潮文庫で歩く日本の町

三橋曉の海外エンタ三つ巴
【連載】
堀本裕樹、穂村弘/俳句と短歌の待ち合わせ 第23回
荒山 徹/歴史の極意・小説の奥儀 第4回
橘 玲/残酷すぎる真実 第5回
津村記久子/やりなおし世界文学 第14回
ドリアン助川/ニューヨーク・サン・ソウル 第8回
石原千秋/漱石と日本の近代 第25回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第64回
森 まゆみ/子規の音 第18回
A・A・ミルン作、阿川佐和子訳/ウィニー・ザ・プーと魔法の冒険 第4回
末盛千枝子/父と母の娘 第16回
木皿 泉/カゲロボ日記 第15回
津村節子/時のなごり 第46回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

今月の表紙の筆蹟は北方謙三さん

◇今月の表紙の筆蹟は北方謙三さんです。新刊『十字路が見える』は「週刊新潮」で好評連載中の同名エッセイの単行本第一弾で、北方さんが波瀾と冒険の人生で積み重ねてきたさまざまな決断の瞬間が、迷える後輩たちに語りかけるような筆調で綴られています。北方さんの若者へのメッセージと言えば、一九八〇年代から二〇年もの間「ホットドッグ・プレス」で人気を博した人生相談を思い出します。青春の悩みを一刀両断した至言「ソープに行け!」は、今や伝説として語り継がれていますが、今回の本から伝わってくるのは、無駄なくして面白い人生など有り得ないということ、そして岐路に立たされたら絶対に辛そうに見える道を選べ、という熱い教訓です。仕事、旅、趣味などあらゆる領域で常にポジティブかつハードな選択をしてきた北方流はおいそれと真似できなくても、沈滞感や消極性を振り払うカンフル剤のごとく心を打擲してくれます。随所に盛り込まれた酒、料理、車、音楽、映画などのエピソードも味わい深いまさに豊饒なエッセイ集です。写真は今も万年筆で必ず注文された枚数の最後の一行で原稿を書き終える北方さんの、都心のホテルにある仕事部屋にお邪魔して撮影させていただきました。
車谷長吉さんの初の著書『鹽壺の匙』が刊行された直後に、小誌の「この人に注目」という企画でインタビューをお願いしたことがあります(一九九三年一月号)。「今後の抱負は」との軽率な問いに対して怪訝な表情を浮かべながらも、「ある時期から明確に反時代的な文章を書こうと意識してきた。文学界を見ていて、全体的に文章が衰弱してきていると感じるので、今後もそれは保ち続けたい」と訥々と語られました。その後の連載「意地ッ張り文学誌」でも、「たとえ『反時代的』と後ろ指を指されようと」私小説を頑なに信じる阿呆として生きたい、と書き記しています。言行共に反時代を貫かれた文士魂が喪われてしまったことが惜しまれてなりません。謹んでご冥福をお祈り申し上げます。

◇新潮社ホームページ情報
http://www.shinchosha.co.jp/
◎新潮文庫の100冊 2015
http://www.100satsu.com/
◎「新潮文庫nex」総選挙、開催。
http://shinchobunko-nex.jp/

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。