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【万城目学『悟浄出立』刊行記念インタビュー】万城目 学/ずっとこんな話が書きたかった

波 2014年8月号

(毎月27日発売)

102円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2014/07/28

発売日 2014/07/28
JANコード 4910068230843
定価 102円(税込)

【万城目学『悟浄出立』刊行記念インタビュー】
万城目 学/ずっとこんな話が書きたかった

畠中 恵『すえずえ』
山口奈美子/変わるもの、変わらないもの

西村賢太『疒(やまいだれ)の歌』
麻木久仁子/貫多! これからどこへいくんだ!

羽田圭介『メタモルフォシス』
田中和生/現実を暴力的に創造する

坂口恭平『徘徊タクシー』
都甲幸治/過去からの声に耳を澄ますこと

本城雅人『サイレントステップ』
北上次郎/「競馬小説」の時代よ、もう一度

【『非写真』刊行記念インタビュー】
高橋克彦/小説の嘘、写真の不思議

小泉武夫『猟師の肉は腐らない』
三浦しをん/豊饒な食の宇宙

嵐山光三郎編『文人御馳走帖』(新潮文庫)
平松洋子/嵐山光三郎、生を寿ぐ。

[佐藤 優『いま生きる「資本論」』刊行記念特集・資本主義と上手に付き合うために]
酒井順子/金銭に還元不可能なもの
的場昭弘/マルクス理論で武装せよ!

山城むつみ『小林秀雄とその戦争の時―『ドストエフスキイの文学』の空白―』
富岡幸一郎/歴史という怪物との格闘

石光 勝『生誕101年 「カミュ」に学ぶ本当の正義―名作映画でたどるノーベル賞作家46年の生涯―』
松尾羊一/不条理な世界への逍遥哲学

ウィレム・ユーケス『よい旅を』
黒川 創/静かな回想記を書かせたもの

徳本栄一郎『臨界』
石井光太/フィクションが事実を凌駕する

法条 遥『忘却のレーテ』
大森 望/忘れられない忘却サスペンス

水沢秋生『ライオット・パーティーへようこそ』
石井千湖/世界の終わりからはじまる青春小説

石塚元太良・井出幸亮『アラスカへ行きたい』
新井敏記/別な視点で手に入れる世界

「選択」編集部編『日本の聖域―この国を蝕むタブー―』
湯浅次郎/大手マスコミが絶対に書けない“聖域”

黒沢大陸『「地震予知」の幻想―地震学者たちが語る反省と限界―』
黒沢大陸/地震学者とはどんな人たちか

マデリーン・レヴィン『親の「その一言」がわが子の将来を決める』
成田奈緒子/悪気のない「過干渉育児」につける薬

原 武史『知の訓練―日本にとって政治とは何か―』(新潮新書)
原 武史/いかにして政治的思考を鍛えるか

円満字二郎『ひねくれ古典『列子』を読む』(新潮選書)
諏訪原 研/難解な中国古典を面白く解き明かす新旗手

コラム
三橋曉の海外エンタ三つ巴
考える人―〈数百円〉のありがたみ

連載
津村記久子/やりなおし世界文学 第3回
嵐山光三郎/芭蕉という修羅 第17回
末盛千枝子/父と母の娘 第5回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第53回
藤野千夜/D菩薩峠漫研夏合宿 第11回
石原千秋/漱石と日本の近代 第14回
木皿 泉/カゲロボ日記 第4回
池上 彰/超訳 日本国憲法 第17回
堀本裕樹、穂村弘/俳句と短歌の待ち合わせ 第12回
森 まゆみ/子規の音 第7回
久間十義/デス・エンジェル 第13回
高橋秀実/とかなんとか言語学 第32回
津村節子/時のなごり 第35回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は、佐藤優さんです。写真は佐藤さんが「新潮講座」の講師として熱弁をふるう姿を撮影させていただきましたが、新刊『いま生きる「資本論」』は、今年の一月から三月にかけて「一からわかる『資本論』・第一期」と題して行われた六回の講義の記録を編集した一冊です。第一線で活躍する気鋭の専門家たちを講師に招いて新宿の朝日カルチャーセンターで開講中の「新潮講座」の中でも、難解な『資本論』をわかりやすく読み解く佐藤さんの講義の人気は極めて高く、毎回百名近い受講者が教室を埋め尽くしました。その理由は、担当者によると硬軟織り交ぜた語り口の面白さと、常に予定時間を大幅に超過してしまうほどの熱気だったそうですが、本からもその魅力がひしひしと伝わってきます。表紙には、かのフランシス・ベーコンの名言「知は力なり」を佐藤さんらしくロシア語で書いて、署名も添えていただきました。まさにその言葉を体感できる佐藤さんの講座は、十月から第三期に入ります。八月中旬から募集を開始しますので、新潮講座ホームページ(http://www.shinchosha.co.jp/chair/)よりお申し込みください。
◇作家として、そして本の装幀家として活躍中の吉田篤弘さんの著書『うかんむりのこども』(小社刊)が、第10回竹尾賞「デザイン書籍」部門T賞を受賞しました。二年間に発行された書籍の中からデザイン的に優れた本を顕彰する賞で、選考委員の林望氏は「料紙、活字の選択、版組デザインと、すみずみまで洗練を極めた好ましい本作りになっている」と激賞しています。吉田さんは夫人の浩美さんと共に「クラフト・エヴィング商會」という名称で多くのブックデザインを手がけていますが、瀟洒な横長の判型の今回の本は、子供の時から好きだった雑誌「銀座百点」に倣ったそうです。様々な文字から浮び上がるイメージを徒然に綴ったエッセイの妙味を、装幀が引き立てています。小誌で連載した小説「ソラシド」も十月刊行予定ですので、本作りの匠の技にご期待ください。
◇黒川博行さんの「疫病神」シリーズ第五弾『破門』(KADOKAWA)が第一五一回直木賞を受賞しました。コンゲームとハードボイルドの醍醐味を兼ね備えた痛快無比な同シリーズ第一作『疫病神』と第四作『螻蛄』は、新潮文庫で発売中です。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。