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[帚木蓬生『蛍の航跡―軍医たちの黙示録―』刊行記念特集]

波 2011年12月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2011/11/28

発売日 2011/11/28
JANコード 4910068231215
定価 105円(税込)

小澤征爾×村上春樹『小澤征爾さんと、音楽について話をする』
丸谷才一/藝術品としての国家を成立させるもの

【玉岡かおる『負けんとき―ヴォーリズ満喜子の種まく日々―』刊行記念対談】
大八木淳史×玉岡かおる/「負けんとき」はノーサイドの精神

諏訪哲史『領土』
古井由吉/既視感の極みから

森内俊雄『梨の花咲く町で』
平松洋子/歳月の縄をなう

[帚木蓬生『蛍の航跡―軍医たちの黙示録―』刊行記念特集]
【インタビュー】帚木蓬生/「遺言三部作」を書き終えて
池上冬樹/記憶されるべき戦争小説

川本三郎『君のいない食卓』
岸本葉子/何を食べても何かを思い出す

粕谷知世『終わり続ける世界のなかで』
小谷真理/ひとはなぜファンタジーに惹かれるのか

勝山海百合『さざなみの国』(第二十三回日本ファンタジーノベル大賞受賞作)
平山瑞穂/芳香を放つ「中心」なき物語

日野俊太郎『吉田キグルマレナイト』(第二十三回日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作)
【刊行記念インタビュー】日野俊太郎/「最高の幸せ」を描こう

安住洋子『春告げ坂―小石川診療記―』
縄田一男/江戸の“ER”多事多難

酒井順子『徒然草REMIX』
関川夏央/おじさんは不滅である

ほしよりこ『山とそば』
町田 康/二度目の旅

内田 樹『呪いの時代』
茂木健一郎/呪いと祝福

玄侑宗久『無常という力―「方丈記」に学ぶ心の在り方―』
養老孟司/なぜ今、「無常」が心を強く打つのか

五味文彦『西行と清盛―時代を拓いた二人―』(新潮選書)
五味文彦/西行の身体

鹿島 茂『蕩尽王、パリをゆく―薩摩治郎八伝―』(新潮選書)
新井清司/ロンドンでコナン・ドイルと出会った日本人

高峰秀子『巴里ひとりある記』『まいまいつぶろ』
村松友視/本音を隠し込む切ない手さばき

木村太郎『ディア・グロリア―戦争で投函されなかった250通の手紙―』
安藤優子/真に強い、勇気の女性

田中和義『日本鉄道美景』(写真集)
酒井順子/本でしかできない旅

藤本篤志『社畜のススメ』(新潮新書)
藤本篤志/サラリーマンへの処方箋

沼田まほかる『アミダサマ』(新潮文庫)
沼田まほかる/誰の心にも潜む残虐さ

手嶋龍一『ブラック・スワン降臨―9・11-3・11 インテリジェンス十年戦争―』
阿部重夫/ロゼッタ・ストーンの沈黙

【『ヒア・カムズ・ザ・サン』刊行記念特別対談】
有川 浩×阿部丈二(演劇集団キャラメルボックス)/小説×演劇の全く新しいクロスオーバーから生まれた物語の光!

星野道夫『星野道夫ダイアリー』(新潮文庫)
新井敏記/星に願いを

[追悼・北杜夫さん]
阿川佐和子/他家の娘
栗原正哉/畸人マンボウ北杜夫さん

コラム
とんぼの本をよむ
三橋曉の海外エンタ三つ巴

第8回新潮エンターテインメント大賞作品募集

連載
津村節子/時のなごり 第3回
蓮池 薫/拉致と決断 第20回
中村うさぎ×池谷裕二/オトナのための脳科学 第3回
阿部和重/幼少の帝国 成熟を拒否する日本人 第13回
永田和宏/河野裕子と私 歌と闘病の十年 第7回
片山杜秀/未完のファシズム 第15回
椎名 誠/ぼくがいま、死について思うこと 第4回
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第21回
斎藤明美/高峰秀子の言葉 第6回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は、新刊『蛍の航跡―軍医たちの黙示録―』が発売されたばかりの帚木蓬生氏。背景の絵は、同書の装画に使われている浅野隆広氏のイラストです。帚木氏は太平洋戦争の際に従軍した軍医たちの視線で、戦場の物語を書き続けてきました。前作『蠅の帝国―軍医たちの黙示録―』は「開戦70周年にふさわしい労作」(逢坂剛氏、朝日新聞一〇月二日付)など高い評価を受けましたが、続編である本作は更に過酷な戦争体験をした一五人の軍医が登場する連作短編集です(内容の詳細はインタビューと池上冬樹氏の書評をお読みください)。表紙に揮毫されているのは、サイゴンからマレー半島へと転戦した陸軍部隊に所属する無骨で情に厚い中尉と、軍医との交流を描く「蛍」という作品の末尾で詠まれる短歌です。
◇「日本人が自然(天災も含む)と暮らす原点や、自然に対する理想的な心の持ちようは、『方丈記』を読めば、よくわかります」。福島第一原発から西へ四五キロの福島県三春町に暮らす玄侑宗久氏の新刊『無常という力―「方丈記」に学ぶ心の在り方―』(小社刊)の一節です。東日本大震災の後に『方丈記』を通読して感銘を覚え、以後何度も読み返したという玄侑氏は、鴨長明が描く「無常」とは、決して静的な諦観だけではなく、一歩を踏み出す積極的な行動のことでもある、と説きます。その玄侑氏の講演会「無常を生きる」が、一一月三〇日(水)19時から、東京・新宿の紀伊國屋ホール(紀伊國屋書店新宿本店4階)で行われます(全席指定、一〇〇〇円)。終演後にはサイン会も予定されていますので、参加ご希望の方は紀伊國屋ホール(電話03-3354-0141)へお問い合わせください。
◇多和田葉子氏が『雪の練習生』で第64回野間文芸賞、本谷有希子氏が『ぬるい毒』で第33回野間文芸新人賞を、それぞれ受賞されました。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。