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【丸谷才一『持ち重りする薔薇の花』刊行記念インタビュー】

波 2011年11月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2011/10/27

発売日 2011/10/27
JANコード 4910068231116
定価 105円(税込)

【丸谷才一『持ち重りする薔薇の花』刊行記念インタビュー】
丸谷才一/カルテットの四人で花束を持つと……。(聞き手・湯川 豊)

小川 糸『あつあつを召し上がれ』
松田哲夫/思いがけない魅力に満ちた「美食」の小説

楡 周平『虚空の冠』(上・下)
元木昌彦/電子書籍普及への秘策あり!

[沢木耕太郎『ポーカー・フェース』刊行記念特集]
【インタビュー】沢木耕太郎/ふと、目を凝らし、ふと、耳を澄まして――
万城目 学/「ポーカー・フェース」ではいられません

島田荘司『ゴーグル男の怪』
新保博久/トリック優先から物語性重視へ

北森 鴻・浅野里沙子『邪馬台―蓮丈那智フィールドファイルIV―』
浅野里沙子/北森鴻の絶筆を書き継いで

【誉田哲也『ドルチェ』刊行記念インタビュー】
誉田哲也/彼女は、まだ生きている誰かのために

田牧大和『三人小町の恋―偽陰陽師 拝み屋雨堂―』
東 えりか/真実だけでは生きていけない

三日月 拓『きのうの家族』
宮木あや子/「きのうの家族」の明日

アンソニー・ドーア『メモリー・ウォール』(新潮クレスト・ブックス)
円城 塔/記憶の種子

福永武彦『福永武彦戦後日記』
池澤夏樹/日記が文学になる時

加藤典洋『小さな天体―全サバティカル日記―』
堀江敏幸/その後を支える日々

円満字二郎『政治家はなぜ「粛々」を好むのか―漢字の擬態語あれこれ―』(新潮選書)
道浦俊彦/粛々とシクシク

山折哲雄『義理と人情―長谷川伸と日本人のこころ―』(新潮選書)
大村彦次郎/時代の風向きが少し変ってきた

国末憲人『ミシュラン 三つ星と世界戦略』(新潮選書)
辻 芳樹/食の国際化の中のミシュラン

[石井光太『遺体―震災、津波の果てに―』刊行記念特集]
【インタビュー】石井光太/遺体安置所をめぐる極限状態に迫った、壮絶なるルポルタージュ!
稲泉 連/無機質な数字の向こうに

山内昌之『リーダーシップ―胆力と大局観―』(新潮新書)
山内昌之/ノーベル平和賞とリーダーの条件

下川裕治『世界最悪の鉄道旅行 ユーラシア横断2万キロ』(新潮文庫)
小牟田哲彦/“鉄道の極点”を結ぶ壮大な阿房列車

トマス・ピンチョン『ヴァインランド』(トマス・ピンチョン全小説)
佐藤良明/ピンチョンと真剣勝負

コラム
「考える人」─「料理」という生き方
旅と暮らしを楽しむ ─ヨーロッパを味わう
三橋曉の海外エンタ三つ巴─特別篇─

第8回新潮エンターテインメント大賞作品募集

連載
瀧井朝世/サイン、コサイン、偏愛レビュー 第20回
津村節子/時のなごり 第2回
阿部和重/幼少の帝国 成熟を拒否する日本人 第12回
蓮池 薫/拉致と決断 第19回
中村うさぎ×池谷裕二/オトナのための脳科学 第2回
斎藤明美/高峰秀子の言葉 第5回
永田和宏/河野裕子と私 歌と闘病の十年 第6回
片山杜秀/未完のファシズム 第14回
椎名 誠/ぼくがいま、死について思うこと 第3回
佐木隆三/わたしが出会った殺人者たち 最終回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は、八年ぶりの長編小説『持ち重りする薔薇の花』を上梓したばかりの丸谷才一氏。親交の深かった吉行淳之介、吉田健一両氏の感性が端的に表現された短文は、終わり方も印象的です。まさに職人芸と感じましたが、書いているうちに自然に最終行の最後の升目で収まった、とのこと。インタビューと併せて丸谷氏の味わい深い世界をお楽しみください。
◇「惜櫟荘が完成すると、客好きな岩波は、つぎつぎに人を招待した。(中略)食料や酒などの入手も窮屈になっていたが、岩波は努力してご馳走の材料を手に入れ、それを自分で熱海まで運んで客をもてなした」(小林勇『惜櫟荘主人』)。昭和十六年、岩波書店の創業者・岩波茂雄氏が別荘として熱海の海岸沿いに建てた惜櫟荘は、近代的な数寄屋建築で名高い吉田五十八氏が設計した名建築で、高村光太郎、志賀直哉らも執筆に使った文化的遺産でもあります。七十年の時を経て、その惜櫟荘が建築当時の姿に蘇りました。岩波書店が手放すことを知った佐伯泰英氏が購入し、私財を投じて完全修復に着手。このほど完成してお披露目の会が催されました。機能的には最新の設備が整えられましたが、命名の由来でもあり岩波氏が「この木を切るなら、その前におれの腕を切れ」と言ったと伝えられる庭の櫟の老木は、今なお往時の姿をとどめています。昭和二年に日本初の文庫を創刊した岩波氏の志を、平成の世に「文庫書下ろし時代小説」のブームを巻き起こした佐伯氏が継承した形になり、出版界の歴史を感じさせる壮挙です。その佐伯氏が「最後のシリーズ」と銘打って開始した「新・古着屋総兵衛」(新潮文庫)の新刊は来年二月刊行に向け、惜櫟荘に隣接するご自宅の仕事場で目下構想中です。乞ご期待。
◇今月号で佐木隆三氏「わたしが出会った殺人者たち」の連載が終了します。ご愛読有難うございました。いずれ小社より単行本として刊行の予定です。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。