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今野 敏『疑心―隠蔽捜査3―』刊行記念インタビュー

波 2009年4月号

(毎月27日発売)

105円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2009/03/27

発売日 2009/03/27
JANコード 4910068230492
定価 105円(税込)

今野 敏『疑心―隠蔽捜査3―』刊行記念インタビュー
今野 敏/快感原則を求めて

加藤 廣『空白の桶狭間』
末國善己/“信長伝説”の虚飾を剥ぐ

角田光代『くまちゃん』
山崎まどか/時代の終わりと恋の終焉が交錯する物語

津島佑子『電気馬』
松浦寿輝/異形の「もの」の疾走

中上 紀『海の宮』
前田 塁/懐胎と新生

橋本 紡『もうすぐ』
三浦天紗子/“出産のいま”を真摯に見つめた力作

宮下奈都『遠くの声に耳を澄ませて』
北上次郎/世界を肯定するひびき

仁木英之『胡蝶の失くし物―僕僕先生―』
ペリー荻野/この「ちくちく感」は癖になる

豊島ミホ『純情エレジー』
東 えりか/撫でられ、撫でた記憶

山田詠美『アンコ椿は熱血ポンちゃん』
栗田有起/ヒーローの日常と、清らかな一個の魂

島田雅彦『小説作法ABC』
江南亜美子/プレイヤーになるためのABC

宮原 桂『西太后の不老術』
宮原 桂/現代に蘇る漢方不老術

西部 邁『サンチョ・キホーテの旅』
中島岳志/人間交際の思想

金子淳一『昭和激流 四元義隆の生涯』
武村正義/最後の昔の日本人

千住文子『千住家の命の物語』
千住真理子/母の手術と《シャコンヌ》

映画『マイマイ新子と千年の魔法』公開にむけて
片渕須直/心のつばさを広げよう

吉田敬一『大人のための名作パズル』
吉田敬一/「思い込み」を遊ぶ

村上香住子『恋愛、万歳』
中沢新一/個性的な無意識の造形方法

―異文化を伝えることの難しさ―
米谷ふみ子/アカデミー賞のとばっちり

コラム
とんぼの本編集部通信
「考える人」─ピアノの時間
三橋曉の海外エンタ三つ巴

連載
【新連載】
新野剛志/中野トリップスター 第1話(1)
小泉武夫/男精食のすすめ 無花果のこと

松本健一/三島由紀夫と司馬遼太郎 第7回
宮城谷昌光/古城の風景 第70回 小田原城 下
群ようこ/ぎっちょんちょん 第4回
池田清彦/生物38億年 進化の旅 第5回
花村萬月/百万遍 流転旋転 第28回
中島義道/ヒトラーのウィーン 第5回
田牧大和/三人小町の恋 ふたり拝み屋手控帖 第9回

編集室だより 新潮社の新刊案内 編集長から

編集長から

◇今月の表紙の筆蹟は、「隠蔽捜査」シリーズの第三作『疑心―隠蔽捜査3―』が刊行された今野敏さん。今野さんのサイン入りラベルの貼られたビールは、昨年十一月に開かれた作家生活三十周年のパーティで、出席者にお土産として配られた品。岩手県一関市の世嬉の一酒造で造られたサムシングブルーというフルーツ・スパイスビールです。光の加減で写真の色と実際の色とは若干違いますが、その色は紺色、まさに紺のビールです。(撮影・坪田充晃 撮影協力・ブラッセルズ神楽坂)
◇松本清張という名前を聞いて、みなさんは何をイメージされるでしょうか。“社会派推理小説の鼻祖”“昭和の闇”“清張史観”あるいは“ワル”“悪女”……。
 四二歳という遅咲きのデビューでありながら、生涯作品数一〇〇〇以上。この巨人が渉猟したジャンルは、まさに広大無辺の広がりを持ちます。その魅力をひと言で表現すること自体、そもそも無茶なのかもしれません。読む人それぞれにとって、清張は違った顔を見せているに違いない――。そんな思いから出発した松本清張生誕百年特別アンソロジー、『松本清張傑作選』の刊行が始まります。
 四月に刊行されるのは「浅田次郎オリジナルセレクション」「海堂尊オリジナルセレクション」の二冊。浅田さんが男たちの野望と挫折を描く作品を、海堂さんは医療現場の闇を斬る作品を、それぞれ編者としてお選び下さいました。五月以降も、原武史、佐藤優、宮部みゆき、桐野夏生の各氏に一冊ずつ編者をつとめていただき、八月まで全六冊を刊行の予定です。各巻のテーマは、鉄道と昭和、作家のインテリジェンス力、知られざる素顔、狂気など、まさにこのメンバーならではのユニークさ。人気作家・実力派学者六人を虜にした「六通りの清張の魅力」を、是非お楽しみください。
◇今月号より、新野剛志氏の「中野トリップスター」、小泉武夫氏の「男精食のすすめ」の連載が始まりました。

バックナンバー

雑誌バックナンバーの販売は「発売号」と「その前の号」のみとなります。ご了承ください。

雑誌から生まれた本

波とは?

 1967(昭和42)年1月、わずか24ページ、定価10円の季刊誌として「波」は誕生しました。新潮社の毎月の単行本の刊行数が10冊に満たず、新潮文庫の刊行も5冊前後という時代でした。こののち1969年に隔月刊に、1972年3月号からは月刊誌となりました。現在も続く「表紙の筆蹟」は、第5号にあたる1968年春季号の川端康成氏の書「風雨」からスタートしています。

 創刊号の目次を覗いてみると、巻頭がインタビュー「作家の秘密」で、新作『白きたおやかな峰』を刊行したばかりの北杜夫氏。そして福田恆存氏のエッセイがあって、続く「最近の一冊」では小林秀雄、福原麟太郎、円地文子、野間宏、中島河太郎、吉田秀和、原卓也といった顔触れが執筆しています。次は大江健三郎氏のエッセイで、続いての「ブックガイド」欄では、江藤淳氏がカポーティの『冷血』を、小松伸六氏が有吉佐和子氏の『華岡青洲の妻』を論評しています。

 創刊から55年を越え、2023(令和5)年4月号で通巻640号を迎えました。〈本好き〉のためのブックガイド誌としての情報発信はもちろんのことですが、「波」連載からは数々のベストセラーが誕生しています。安部公房『笑う月』、遠藤周作『イエスの生涯』、三浦哲郎『木馬の騎手』、山口瞳『居酒屋兆治』、藤沢周平『本所しぐれ町物語』、井上ひさし『私家版 日本語文法』、大江健三郎『小説のたくらみ、知の楽しみ』、池波正太郎『原っぱ』、小林信彦『おかしな男 渥美清』、阿川弘之『食味風々録』、櫻井よしこ『何があっても大丈夫』、椎名誠『ぼくがいま、死について思うこと』、橘玲『言ってはいけない』、ブレイディみかこ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』、土井善晴『一汁一菜でよいと至るまで』などなど。

 現在ではページ数も増えて128ページ(時には144ページ)、定価は100円(税込)となりました。お得な定期購読も用意しております。
 これからも、ひとところにとどまらず、新しい試みを続けながら、読書界・文学界の最新の「波」を読者の方々にご紹介していきたいと思っています。