
「お父さんのおよめさんになる!」なんて言っていた幼少期。月日は流れ、父を敬遠するようになった思春期。そんな娘に寂しさを覚える父。いつしか大人になった娘は父との距離感に気づき、歩み寄る。母親とは違う存在の父親。父と娘の関係はいろいろあった。
会えばギクシャク、一時は絶縁寸前までいった父と娘だけれども、いま父の人生を聞いておかなかれば、一生後悔する――。
とにかく父は、ある時期まで家庭を顧みず、フル回転で働いて、自分の存在根拠も仕事にのみあるような人でしたから。それまで自分が父に似ているところなんか一つもないと思っていたのに、仕事、仕事というところがそっくりということに、私が社会人になってから気づきました。
[ジェーン・スー、しまおまほ/いつも親子は“真剣勝負” 「波」2018年6月号よりより →全文へ]
躁うつ病にかかった、どくとるマンボウが巻き起こす破天荒な事件の数々。
■父・北杜夫、娘・斎藤由香
またある年は、娘は十年もうつ病だった私を元気づけようと企み、六本木のランジェリーパブなるものへと連れて行き、二人でスケスケのドレスを着ている裸の女性を見ながら酒を飲んだ。
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全ての吉田茂に最も近くで接した娘が語る「ワンマン宰相」の素顔。
■父・吉田茂、娘・麻生和子(三女)
「おい、おまえに叱られることがあるんだ。こんなことになっちゃって、怒るだろうな」と申し訳なさそうにいいます。なんとなく照れくさいような、悪いことをしたのを見つかった子供のような顔をしています。
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数々のエポックを画したその足跡を、父への敬愛を込め、的確にたどる。
■父・安部公房、娘・安部ねり
伝記としてはじめて、人物の内面から創作の秘密の小箱を開けたものとなっています。それは安部公房とちょっ と似ている娘であるねりさんが、公房さんを覗き見ているから、可能になったものです。それゆえ、このような人物伝の形が実現されることは、希有な事と言えるのではないでしょうか。
[近藤一弥/新しい伝記の形「波」2011年4月号より →全文へ]
娘の心に深く刻まれた「あいさつは基本」「自慢はしない」「普通が一番」という教え。
■父・藤沢周平、娘・遠藤展子(長女)
「いつか展子の役にたつかもしれない」と書かれた茶封筒の中には、健康に関する新聞の切り抜きが入っていました。
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