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私はその後も色んな人とセックスして、彼らをピンクに染め上げた。彼らの性器によってではなく、あくまで自分のなかで興奮を生み出せていることが嬉しかった。(誌面のことば――笹井都和古「いつかピンクのプリンセス」より)

yom yom vol.57 2019年8月号

(隔月1、3、5、7、9、11月第三金曜日発行)

756円(税込)

雑誌の仕様

発売日:2019/07/19

発売日 2019/07/19
JANコード F80330
価格 756円(税込)

◆NEW SERIES
新井見枝香×千早 茜「胃が合うふたり」 絵:はるな檸檬
書店員×作家、胃袋無尽蔵の食べ友エッセイ。

燃え殻「これはただの夏」 画:シバミノル デザイン:熊谷菜生
これは、平凡だけど退屈じゃなかった、ある夏の数日間の話だ。

小佐野 彈「我とひとしき人しなければ」 写真:Dan Osano
むかし、「恋に恋する」男子ありけり――。「現代歌人協会賞」受賞の気鋭の歌人が、私たちの時代の恋を謳う現代版『伊勢物語』。

橋爪駿輝「さよならですべて歌える」 写真:池谷 陸 モデル:小山田米呂
それでも僕は音楽を奏で、彼女を想った。そのことに意味があるようにと願っていた。

パリッコ「たそがれドリンカーズ」
今日はもう働かない。誰かの話に頷くことも、何か答えるのも億劫だ。なのに多少は人恋しくて、知らない店の片隅に、知らない人のふりで座っている。思いつき途中下車、ちょい飲み物語。今回の思いつきは狭山市。

◆SPECIAL STORY
越谷オサム「海を渡れば」 画:田中寛崇 協力:春風亭一蔵、入船亭遊京
落語家、匂梅亭一六の独演会。まくらで語り始めたのは、前座の頃の秘められた思い出だった。

笹井都和古「いつかピンクのプリンセス」 [競作プロジェクト201X]
2014年、空前の「アナ雪」ブーム。「ありのまま」生きることと「女の子っぽく」生きることは、対立していた。

◆SPECIAL ARTICLE
「十二国記」新作書下ろし長編刊行記念プレ特集
「十二国記」とは
これは、あなたの物語[冲方 丁/小松エメル/阿部智里/鈴村健一]

◆SERIES
吉川トリコ「ベルサイユのゆり マリー・アントワネットの花籠 Colorés」[最終回] 歴史監修:川島ルミ子 画:斉木久美子
大反響を呼んだ『マリー・アントワネットの日記』、待望のスピンオフ!

武田綾乃「君と漕ぐ2」[最終回] 画:おとないちあき
天才・恵梨香と女王・蘭子、いよいよ直接対決。富士山のふもとで水しぶきが跳ねる!

早坂 吝「犯人IAのインテリジェンス・アンプリファー」[最終回] 画:吉田ヨシツギ
行政、立法の殺人と相似の誘拐。司法が事件現場にいた理由とは? 犯人以相からの挑戦を解くことはできるのか。

青柳碧人「猫河原家の人びと3」[新章スタート] 画:MITO(監修:uki)
給食が贅沢すぎる小学校でフグ毒殺人! なぜ学園長だけが給食を食べて死んだのか?

最果タヒ「暗闇くん/暗闇くん 別邸」[第14回]
夜の浜辺で読むための詩/軽音部の詩/猛暑日の詩/救いと雪/夏の重心

浅原ナオト「今夜、もし僕が死ななければ」[第2回] 画:新井陽次郎
高2の秋、最後の演劇大会をどうしても母に観てほしい。私は「死期が見える」少年と、ある約束をした。

寺地はるな「ここにない希望」[第5回] 画:夜久かおり
弟ばかり愛した母と、母と同じく夫に浮気された私。好きあっていなくても、一緒に暮らしている。

小林勇貴「殺界団地」[第4回] 画:石川晃平
人を殺せ。弟が死ぬよりも早く。兄ユキヤの殺し屋試験、スタート!

小松エメル「銀座ともしび探偵社」[第2回] 画:しきみ
誰もが振り返る美貌を持つ木下は、実は女性が怖い。なのに、女学生の依頼を受ける破目になり――。

武内 涼「阿修羅草紙」[第4回] 画:加藤木麻莉
死ぬかもしれないよ、お父……八瀬の女志能便・すがるは、魑魅魍魎が跋扈する山名宗全邸の最奥に迫る。

乾 緑郎「機巧のイヴ3 如洲望郷篇」[第6回] 画:獅子猿
「もっと怖い方だと思っていました」。如映の新進女優・張桜香は、瑪瑙のような緑色の瞳で結城を見つめる。

馳 星周「極夜」[第3回] 画:ケッソクヒデキ
渋谷――台湾人の闇市に乗り込んできた警察。そして新宿でも騒乱が起きる。

門井慶喜「地中の星」[第10回] 画:山田ケンジ
土砂が坑内になだれ込み、青い炎が上がる。胴八は、ぼんやりと立ちつくす勝治の横っ面を平手で打った。

結城充考「アブソルート・コールド」[第5回] 画:與座 巧
自殺者が遺した「線画」が尾藤に何かを訴えている。コチは来未が用意した病院から抜け出し、高層サービス会に庇護を求める。彼女の目の前に現れた、奇妙な人工知能の正体は――。

柏井 壽「祇園白川 小堀商店 いのちのレシピ」[第2回] 画:中川 学
オーナー小堀善次郎が突然男に刺された。その背景には、百貨店時代のある出来事が――。京都グルメ小説。波乱の巻。

◆COMIC
ふみふみこ「愛と呪い」[第13回]
父親からの性暴力は二十歳を過ぎても続いた。

◆WORLD TRENDS
徳永京子「トレンドを、読む読む。」
「弱いい派」をよろしく

◆CULTURE & COLUMN
長井 短「午前一時のノスタルジア」
あの頃のままでいたいと思ってたから

今 祥枝「海外エンタメ考 意識高いとかじゃなくて」[第4回]
ポリコレは娯楽を窮屈なものになんてしない。365日ドラマと映画を見ながら考える。

橋本倫史「境界線に置くことば」
令和元年六月、市場「最後」の日

柳瀬博一「日本を創った道、国道16号線」[最終回]
日本の文明を規定したのは、全長約340キロの国道16号線である――カイコ、モスラ、皇后――街道が結ぶ近代日本の夜明け。

平原 卓「知のバトン 哲学者が考え、引き継いできたもの」[第5回] 写真:Kenji Sugano
近代哲学における〈内部論〉は、ヘーゲルの時代に頂点を迎えた。その学説に〈外部論〉の立場から反論を試みたのは、マルクスで――。

円城 塔「世界のαに関するカルチャー時評」[第12回]
首をはねておしまい!(何を言っているかわからないから)

カレー沢 薫「モテる技術(仮)」[第14回]
あるかもしれないのだ、「乙女ゲーム」に。理想が、モテが、あるべき人類の姿が。

新井久幸「読みたい人、書きたい人のための、ミステリ超入門」[最終回]
ロード・トゥ・デビュー――おわりに

執筆者紹介/編集後記

「そして、僕たちは舞台に立っている。」、
「東京デストロイ・マッピング」(新納 翔氏)、
「パルコにお店を出したくて」(渋谷直角氏)、
「多摩川異聞録」(恒川光太郎氏)は本号休載です

編集長から

人が「ただ、ここに居る」、それ自体を受け入れること

 新連載パリッコさん「たそがれドリンカーズ」。主人公は思いつくまま下車した町で、人々と淡い交歓を重ねながら漂うように飲み歩きます。
 同じく新連載、新井見枝香さんと千早茜さんのコラボエッセイ「胃が合うふたり」で、二人は好きなものを好きに食べる時間を共有します。互いに好きなことやるなら一人でやっても同じこと、ではないのだと感じます。

 演劇界の静かなムーブメント、「弱いい派」についての徳永京子さんの寄稿(トレンドを、読む読む。/「弱いい派」をよろしく)では、物語の中心にいる「いじめの被害者、引きこもり、非正規雇用者、障がい者など、いわゆる社会的弱者」が「弱さから見える景色や、自分が弱いから知覚できるかすかなものを、強者とも共有しようとしている」という指摘がありました。

「もっと豊かな明日」を想像しにくい今の社会は、どうしても誰かを削って特をするような、ゼロサムゲーム的競争が前提になりがちです。
 人が「ただ、ここに居る」、それ自体を受けいれること。あるいは他者を侵さぬように繋がって行くこと――そうした価値を伝える言葉をお届けしたいと思います。

 今号は上記のパリッコさん、新井見枝香さん×千早茜さんのほか、燃え殻さん、小佐野彈さん、橋爪駿輝さんの新連載が始まりました。

 燃え殻さん「これはただの夏」は、ヒット作『ボクたちはみんな大人になれなかった』(新潮文庫)に続く待望の小説第2作。前号vol.56で「境界線に置くことば/僕の彼氏は何者ですか?」をご寄稿いただいた小佐野彈さんは、「我とひとしき人しなければ」で、“小佐野版『伊勢物語』”とも言うべき短歌と散文が融合する独創的創作世界を紡ぎます。橋爪駿輝さんは90年代生まれの繊細な感性を捉える文芸界注目の俊英。同氏の「さよならですべて歌える」の扉写真は、毎号、写真:池谷陸さん×モデル:小山田米呂さんというアイコニックなクリエイターのコラボレーションになります。

 同じく今号からスタートした「競作プロジェクト 201X」は、平成生まれの作家が描く2010年代の物語です。今号はR-18文学賞からデビューした笹井都和古さんが“アナ雪”ブームを背景に描く「いつかピンクのプリンセス」。

十二国記」新作書下ろし長編刊行記念プレ特集は、この秋、新潮文庫から18年ぶりの新作長編が刊行される人気シリーズの壮大な世界をわかりやすくご紹介します。冲方丁さん、小松エメルさん、阿部智里さん、鈴村健一さん(以上、今号掲載)ほか、各界からの応援コメントも必見。

「yom yom」編集長 西村博一

次号予告

バックナンバー

雑誌から生まれた本

yom yomとは?

世界はこんなにも様々な可能性に満ちているから。

「yom yom」はそんな物語の囁きを、あなたがこっそり聞きに来る雑誌です。あなたと一緒に歩いてくれる、あなたのための物語が、見つかる場所になりたいのです。それでお気に入りを読み終えたら、「しょうがない。明日も生きていってやるさ」とでも思っていただければ幸せです。注目作家の小説も詩もコミックも……文芸の「イマココ」に必ず出会えるボリュームたっぷりの文芸誌です。

yom yom

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