
世帯年収1000万円―「勝ち組」家庭の残酷な真実―
880円(税込)
発売日:2023/11/17
×高級車と豪邸 ○電動自転車と狭小住宅。×余裕の「パワーカップル」 ○疲れ果てた「限界共働き」 ×レストランにハワイ旅行。○激安チェーンと帰省で我慢。
タワマンに住んで外車に乗る人まで国が支援するのか――所得制限撤廃の話になると、きまってこんな批判がわき起きる。だが、当事者の実感は今やこの言葉とはかけ離れている。かつて“勝ち組”の代名詞でもあった「年収1000万円」世帯は、不動産価格の高騰、実質賃金の低下、共働きで子育てに追われる夫婦の増加などによって、ギリギリの生活設計を迫られているのだ。様変わりした中流上位層のリアルを徹底分析。
主な参考文献
書誌情報
読み仮名 | セタイネンシュウイッセンマンエンカチグミカテイノザンコクナシンジツ |
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シリーズ名 | 新潮新書 |
装幀 | 新潮社装幀室/デザイン |
発行形態 | 新書、電子書籍 |
判型 | 新潮新書 |
頁数 | 214ページ |
ISBN | 978-4-10-611020-7 |
C-CODE | 0230 |
整理番号 | 1020 |
ジャンル | 社会学、思想・社会 |
定価 | 880円 |
電子書籍 価格 | 880円 |
電子書籍 配信開始日 | 2023/11/17 |
蘊蓄倉庫
「子どもはぜいたく品」になった国
30年前には120万人だった日本の出生数は、2022年には国の見通しより10年も早く、80万人割れ。異常なスピードで少子化が進行しています。女性の社会進出、ライフスタイルや価値観の多様化などさまざまな要因が理由として挙げられますが、2021年に国立社会保障・人口問題研究所が行った、予定子ども数が理想子ども数を下回る夫婦を対象にその理由を尋ねた調査では、「子育てや教育にお金がかかりすぎるから」が回答のトップ。特に35歳未満の夫婦では8割近くの人が経済的負担の大きさを理由に子どもを諦めているという結果でした。まさに「子どもはぜいたく品」となってしまった現状に、やるせなさを覚える人も多いのではないでしょうか。
掲載:2023年11月24日
担当編集者のひとこと
変わり果てた「勝ち組」の代名詞
「世帯年収1000万円」。
平均年収が400万円台のこの国において、少し前までは、間違いなく「勝ち組」の代名詞のように語られていました。事実、児童手当をはじめとして、高校授業料の無償化や大学の貸与型奨学金、東京都の私立中学授業料の補助など、あらゆる公的な支援は年収1000万円前後を足切りラインとして所得制限が設けられています。
児童手当の所得制限については廃止予定となってはいますが、これに関する世論調査の結果について、与党の要職を務める政治家が「高級マンションに住んで高級車を乗り回している人にまで支援をするのか、というのが世論調査で出てきているのだろう」と発言し物議を醸したこともありました。
本書では、ファイナンシャルプランナーで家計管理やライフプランに詳しい著者の加藤梨里氏が、かつての「勝ち組」家庭のお金事情を徹底的に分析してくれています。
前半は、1000万円世帯の実態を住居費・教育費・生活費の3面から紐解きつつ、後半では「クレヨンしんちゃん」「サザエさん」「ちびまる子ちゃん」に登場する3家族をモデルにして、「もし、あの家族の世帯年収が1000万円だったら?」という設定で、様々なシナリオを具体的に想定しながら生涯にわたるキャッシュフローをシミュレーション。最終章では「お金を育てる」をテーマに、「教育資金の育て方」や「老後破産に陥らないための対策」を紹介しています。
ひと時代前とは様変わりした現代の子育て世帯の厳しい実情を繙きつつ、今の日本社会に横たわる歪な矛盾を鋭くとらえた一冊となっています。ぜひご一読ください。
2023/11/24
著者プロフィール
加藤梨里
カトウ・リリ
ファイナンシャルプランナー(CFP(R))、マネーステップオフィス株式会社代表取締役。保険会社、信託銀行、ファイナンシャルプランナー会社を経て2014年に独立。慶應義塾大学大学院健康マネジメント研究科修士課程修了。著書(監修)に『ガッツリ貯まる貯金レシピ』等。