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桑田佳祐論

スージー鈴木/著

946円(税込)

発売日:2022/06/17

書誌情報

読み仮名 クワタケイスケロン
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 270ページ
ISBN 978-4-10-610954-6
C-CODE 0273
整理番号 954
ジャンル ノンフィクション
定価 946円
電子書籍 価格 946円
電子書籍 配信開始日 2022/06/17

深い。深すぎる! 《勝手にシンドバッド》《いとしのエリー》《真夜中のダンディー》《マンピーのG★SPOT》《明日へのマーチ》《ピースとハイライト》etc. サザン&ソロ楽曲から26作を厳選。胸さわぎの“ことば”を徹底分析!

「胸さわぎの腰つき」の衝撃から44年。以来ずっと桑田佳祐は自由に曲を書き、歌ってきた。日本語を巧みにビートに乗せ、「誘い涙の日が落ちる」といった独創的な言葉を紡ぐ。情感豊かな歌詞で日本人の心を鷲づかみしながら、エロくキワどい言葉を投げ、愛と平和を正面から訴える。はたして桑田佳祐は何を歌ってきたのか――。サザンからソロまで1000に及ぶ楽曲のうち、26作の歌詞を徹底分析。その“ことば”に本質が宿る!

目次
はじめに——こんなもん、ただの歌詞じゃないよ
第一章 胸さわぎの腰つき(1978〜1985)
1.サザンオールスターズ《勝手にシンドバッド》
2.サザンオールスターズ《女呼んでブギ》
3.サザンオールスターズ《いとしのエリー》
4.サザンオールスターズ《C調言葉に御用心》
5.サザンオールスターズ《働けロック・バンド(Workinʼ for T.V.)》
6.サザンオールスターズ《チャコの海岸物語》
7.サザンオールスターズ《よどみ萎え、枯れて舞え》
8.サザンオールスターズ《夕方Hold On Me》
9.サザンオールスターズ《夕陽に別れを告げて〜メリーゴーランド》
第二章 米国アメリカは僕のヒーロー(1986〜2010)
10.KUWATA BAND《スキップ・ビート(SKIPPED BEAT)》
11.桑田佳祐《遠い街角(The wanderinʼ street)》
12.桑田佳祐《真夜中のダンディー》
13.桑田佳祐《すべての歌に懺悔しな!!》
14.サザンオールスターズ《マンピーのG★SPOT》
15.サザンオールスターズ《愛のことだま〜Spiritual Message〜》
16.サザンオールスターズ《平和の琉歌》
17.桑田佳祐《ROCK AND ROLL HERO》
18.桑田佳祐《声に出して歌いたい日本文学〈Medley〉》
第三章 20世紀で懲りたはずでしょう?(2011〜2022)
19.桑田佳祐《月光の聖者達(ミスター・ムーンライト)》
20.桑田佳祐《明日へのマーチ》
21.サザンオールスターズ《栄光の男》
22.サザンオールスターズ《はっぴいえんど》
23.桑田佳祐《ヨシ子さん》
24.桑田佳祐《君への手紙》
25.坂本冬美《ブッダのように私は死んだ》
26.サザンオールスターズ《ピースとハイライト》
終章 桑田佳祐と戦後民主主義(1945〜2022)
おわりに

インタビュー/対談/エッセイ

桑田佳祐の言葉を語ろう。今こそ。

スージー鈴木

 職業柄、若者向けの音楽雑誌をたまに読むことがあるのだが、ほとんどの記事が、歌詞ばかりを云々していることに驚く。
「●●(音楽家名)が放つ待望の新曲は、彼の心の深淵を、かつてないほど赤裸々に発露したメッセージが響き渡る、10年に1枚の大傑作だ」
 音楽評論家として、歌詞ばかりが云々されるのはバランスが悪いと思っていた。ポップスの持つ文学的な要素だけでなく、音楽的要素がもっと語られ、楽しまれるべきだと考えていた。
 だから執筆活動や番組出演において、簡易楽譜を使ったり、コードを擬人化したり、演奏したりしながら、音楽的要素までも含む、言葉本来の意味での「音楽評論」を確立すべく努力してきた。
 そんな中、久々に歌詞のことに目を向けてみたら、「作品がもっとも知られているのに、その作品の凄みがもっとも知られていない作詞家」がいることに気付いたのだ。
 その作詞家の名は――桑田佳祐
 拙著『サザンオールスターズ 1978-1985』(新潮新書)に記したように、音楽家・桑田佳祐の最大の功績は、ロックのビートに日本語を乗せる方法を確立したことだと思うので、その日本語(歌詞)自体の作品性については、相対的に認識されにくかったのかもしれない。
 また、タイトルからして「勝手にシンドバッド」「マンピーのG★SPOT」「ヨシ子さん」だから、桑田佳祐の言葉は、顔付きからして批評を拒否しているとも言える(それでも今回の新刊は、これら3曲の批評に臆せず取り組んだ)。
 しかし、である。だからと言って、音楽評論家として、これら珠玉のフレーズの広さ・深さ・奥行きを測定しなくていいものかと思ったのだ――「芥川龍之介がスライを聴いて“お歌が上手”とほざいたと言う」「っておくれよLeader 過保護な僕らのFreedom」「20世紀で懲りたはずでしょう?」
 この本の仕上げ段階で、桑田佳祐らによる「時代遅れのRock’n’Roll Band」がリリースされた。歌詞の中で桑田佳祐は、自分たちが「時代遅れ」だという彼一流(なのです)の自虐を見せる。
 だとしたら、桑田佳祐の歌詞を云々する、それも最近の音楽雑誌のような厚ぼったいタッチではなく、例えば「20世紀で懲りたはずでしょう?」のような、ある意味、昨今いちばん取り扱いにくいメッセージについて、ストレートに斬り込むなんて、まさに「時代遅れの音楽評論家」だ。
 でも書くんです。ってか、書きました。そして世に問います。何の忖度か「メッセージソング」に臆病な若手音楽家を尻目に、還暦超えのオヤジたちによる「時代遅れのRock’n’Roll Band」が、あんがい新鮮に響く世の中に向けて。

(すーじー・すずき 音楽評論家)
波 2022年7月号より

著者プロフィール

スージー鈴木

スージー・スズキ

1966(昭和41)年大阪府生まれ。音楽評論家。早稲田大学政治経済学部卒業。昭和歌謡から最新ヒット曲までその守備範囲は広く、様々なメディアで執筆中。著書に『サザンオールスターズ 1978-1985』『EPICソニーとその時代』など。

スージー鈴木公式Twitter (外部リンク)

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