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「脱・自前」の日本成長戦略

松江英夫/著

880円(税込)

発売日:2022/05/18

書誌情報

読み仮名 ダツジマエノニホンセイチョウセンリャク
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 223ページ
ISBN 978-4-10-610952-2
C-CODE 0234
整理番号 952
ジャンル ノンフィクション
定価 880円
電子書籍 価格 880円
電子書籍 配信開始日 2022/05/18

「タコツボ社会」を打ち破れ! デロイト トーマツ グループ執行役が示す、経営視点の日本変革論。

「失われた30年」と呼ばれて久しい日本の低成長。その根本原因は一体どこにあるのか? 変革を恐れ、外部との連携を妨げるタコツボ社会、その根底に宿る「自前主義」こそが問題だ。これからの日本に必要なのは「脱・自前」。デジタルを活かし、他と連携しながら、自らの強みを再発見し、それを磨き上げることで社会全体としての最適を目指す。豊富な具体例をもとに、日本を成長へと導く戦略と方法論を提言する。

目次
序章 “脱自前”が日本を変える
「成長できない」日本の現実/「タコツボ社会」の呪縛/タコツボ化の根源にある“自前主義”/変革の現場で感じる危機感/求められる“脱自前”/コロナ禍が突き付ける自前の限界/脱自前とは“本業の再定義”/“脱自前”から始まる「成長」への道のり/本書で展開されるストーリー
第1章 3つの視点で“脱自前”を進める
3つの視点から“強み”を見出す/自分の仕事を「分解」する/デジタルの活用を考える/外と組む/提供価値を分解した総合水産企業/バリューチェーンの分解で「飲食店の二毛作」/AI活用で菓子職人の技術伝承/スポーツはデータ活用で「勝負」から「達成感」の世界へ/「強みを掛け合わせる」プラットフォーム型ビジネス/「3つの視点」で磨いた町工場の強み/“本業の再定義”がもたらすメリット/“本業を再定義”し価値を高めたJリーグ/「支える」モジュールが生み出した「シャレン!」/“心の豊かさ”という大義ある連携
第2章 “脱自前”がイノベーションを加速する
日本はイノベーションが苦手なのか/イノベーションは“自分事”/マーケットを創出する「アップサイクル」/「優しさ×安全」という日本らしさ/コワーキングスペースが生むオープン・イノベーション/“脱自前”が起業を加速する/フードトラックを活用した料理人の起業支援/“脱自前”で変わる企業の“境界線”/「社会益」がオープン・イノベーションの突破口/社会益で繋がった「LOHACO」/成功要因は理念の共有/「現場エコシステム」という強みを活かす/官(自治体)起点によるイノベーション創出の仕掛けづくり/エコシステムのすそ野を広げる“サンドボックス”/すそ野を広げるための2つの特徴/学(大学)の機能拡張がもたらす連携の進化
第3章 “事業の脱自前”が高める産業競争力 ~ポートフォリオ変革とM&A
なぜ日本企業の収益性は低いのか/コングロマリット経営の功罪/求められる“事業の脱自前”/「プラスをもっと伸ばすのか」vs「マイナスを底上げするのか」/規模に依存せず“成長”を果たすオムロン/長期ビジョンに基づいた事業の入れ替え/コロナ禍が加速させたポートフォリオ変革/「失われた30年」を招いた“時間軸の長さ”/“現状の足し算”vs“未来からの引き算”/中計は“中継”にすべき/“将来の自前”を見据えて事業を組み換えた日立/グループ再編による「選択と集中」/事業の売却と買収は「ワンセット」/売却を成功させる秘訣とは/“キョウソウ”が持つ2つの意味~“競争”と“共創”/M&Aの「成立と成功」/成功の秘訣は「主語の転換」/「主語の転換」で風土融合を果たした協和キリン/風土融合の本質は「同軸化」
第4章 “雇用の脱自前”で人財力が高まる
“雇用の脱自前”が求められる時代/雇用と賃金のどちらを優先するか/働き手に必要な賃金の分配は一律ではない/目指すべきは「成長」と賃金上昇の好循環/企業の“自前”による終身雇用制の限界/雇用は流動化でなく“柔軟化”/ジョブ型雇用は万能なのか/複線型&オープン型の人事制度/副業人材マッチングによる中小企業の人材確保/「社会としての終身雇用」/官民連携で採用・育成を支える「まちの人事部」/プロフェッショナル人材不足を官民連携で補強
第5章 教育にこそ“脱自前”が求められる
教育ニーズの高まりと自前主義の限界/求められる“教育の脱自前”/教育ベンチャーと企業による教材開発/AI活用によるパーソナライズ教育/中学生による起業ゼミ/企業人から“起業人”へ/“世代の脱自前”が引き出す人材育成の芽
第6章 「成長」を再定義する
成長とは何か/求められる「成長の再定義」/企業にとって価値を高めるとは/経済的価値と社会的価値/ESGは従来のCSRと何が違うのか/GDP一辺倒の限界/人と自然の価値を含んだ「新国富」/Well-beingが注目される時代/質的豊かさを含めた「価値」の好循環/「断絶なき成長」が世界共通の課題/地方の断絶を超える“脱地元”
第7章 “経営”の視点で日本の成長戦略を考える
「国家経営」の視点で描く成長戦略/日本の成長戦略は何が問題なのか/「短期かつ部分最適」をいかに脱するか/成長戦略の実行を妨げるもの/日本の産業がグローバル競争に生き残る3つの“勝ち筋”/真のグローバル化/“カタリスト(触媒)”という勝ち筋/「新たなる内需」の2つの方向性/「産業創出」のカギを握る4分野/イノベーション力を加速するための政策課題/成長につながる分配こそが「人材育成」/「産業創出」と「人材育成」の両輪を動かすメカニズム
第8章 “日本らしさ”を活かして組織変革をする
変革なくして成長なし/「日本的な組織」の特性とは何か/「日本的な組織」を変える3つの工夫/リーダーシップ機能の強化/ハードとソフトの両面からの仕組みづくり/「横からの変革」/弾みをつける「クイック・ヒット」/“現場起点”の変革こそ日本らしさ/「現場」は末端ではなく「先端」/下から学ぶ“リバース・メンタリング”/秘訣は“斜め”の組み合わせ/「先と外」の危機感から始まる自己変革/タコツボ体質の「断絶」をどう乗り越えるか/自己変革の「3つの連鎖」
第9章 デジタルの力で社会システムを変革する
「内向きなタコツボ社会」をデジタルで変えるには/DXの本質とは何か~新たな付加価値を生み出す/デジタル変革における「日本的な組織」の課題/「在るものを活かして、無きものをつくる」/データ化して“仮想空間”を活用する/東北大学サイエンスパークの共創の仕組み/「価値創造サイクル」へのつながりをいかに作るか/自動運転におけるセキュリティのルール形成/「価値創造サイクル」の課題と成功要因/「新たなる公(おおやけ)」~“官”の“脱自前”
終章 日本の未来は“個人の脱自前”が創る
“脱自前”による成長の流れ/「両極化の時代」/“どちらか”ではなく“どちらも”の選択/個人に求められる“脱自前”な生き方/「長所を伸ばすのか」vs「短所を減らすのか」/評価は相対、成長は“絶対”/挑戦できる環境が促す「個人の産業化」/“日本のパーパス”は何か/「新たなる公」の主人公として「日本を前向きに」
あとがき

薀蓄倉庫

フードトラック増加の裏にある「脱・自前」

 最近、オフィス街や公園などで、フードトラックをよく見かけるようになりました。店舗よりも開業コストが低いため、自分の店を持ちたい料理人にとって最初の選択肢になっているようです。とはいえ、フードトラックを出店するにも、メニューの選定や、営業場所の確保、保健所や保険の手続き、営業・宣伝活動など、やらなければならないことはたくさんあり、そこで二の足を踏む人も多かったのです。そこに登場したのが、空き地の所有者と料理人をマッチングするスタートアップ企業。各種手続きを含めた開業パッケージもあり、それを利用すれば、料理人は開業のリスクとコストを削減し、料理に専念できます。これこそが、著者のいう「脱・自前」。自分の不得意なものは外部に任せ、自分の強みに専念する。これからの時代の個人や企業に必要な考え方ではないでしょうか。

掲載:2022年5月25日

著者プロフィール

松江英夫

マツエ・ヒデオ

1971(昭和46)年生まれ。早稲田大学大学院公共経営研究科修了。デロイト トーマツ グループ執行役。中央大学ビジネススクール、事業構想大学院大学客員教授。経済同友会幹事、政府の研究会委員、テレビの報道番組コメンテーター等、産学官メディアで豊富な経験を持つ。

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