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どうしても頑張れない人たち―ケーキの切れない非行少年たち2―

宮口幸治/著

792円(税込)

発売日:2021/04/19

書誌情報

読み仮名 ドウシテモガンバレナイヒトタチケーキノキレナイヒコウショウネンタチ02
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 187ページ
ISBN 978-4-10-610903-4
C-CODE 0236
整理番号 903
ジャンル 人文・思想・宗教
定価 792円
電子書籍 価格 792円
電子書籍 配信開始日 2021/04/19

67万部ベストセラー『ケーキの切れない非行少年たち』2
「怠けているように見える人」の驚くべき真実。

「頑張る人を応援します」。世間ではそんなメッセージがよく流されるが、実は「どうしても頑張れない人たち」が一定数存在していることは、あまり知られていない。彼らはサボっているわけではない。頑張り方がわからず、苦しんでいるのだ。大ベストセラー『ケーキの切れない非行少年たち』に続き、困っている人たちを適切な支援につなげるための知識とメソッドを、児童精神科医が説く。

目次
はじめに
第1章 「頑張ったら支援する」の恐ろしさ
「やればできる」の呪縛/「頑張ったら支援する」という言葉の裏/頑張らなくてもいいという風潮/頑張れないとどうなる?/何気ない一言がやる気を奪う/本人も頑張りたい/支援したくないような人こそ実は支援の対象/支援者も支えて欲しい
第2章 「頑張らなくていい」は本当か?
頑張るってそもそも何?/頑張ってきた人への労いの言葉が……/誤解されるメッセージ/「このままでいい」で本当にいいのか/子ども自身はどう思っているのか/思い込みが障害を作りだすことも/劇的な改善を見せた「中等度知的障害」の少年/“無理をさせない”と“頑張らせない”は違う/仕事を辞めてもいいという風潮
第3章 頑張ってもできない人たち
評価されなければ“できた”とは言えない/お金にならないと無能扱いされてしまう/生きにくさの悪循環/「頑張ってもできない子」もいる/スポーツでも事情は同じ/認知機能の弱さの問題/見通しの弱さの問題/犯罪に繋がることも/堅実な目標が立てられない/欲求段階の問題/みんなと同じになりたい
第4章 やる気を奪う言葉と間違った方法
やる気を奪う大人/余計な言葉かけ/「もっと勉強しなさい」がダメなわけ/「でもな……」「それは君にも……」/非行少年の保護者の語りに共通するもの/「もっとできるはずだ」/「だから言った通りでしょ」/「どうしていつもあなたは……」/勉強が好きになれば勉強ができるようになるという思い込み/保護者が先生の不満を言うと/後のフォローがない指導もどき/場違いな褒め言葉/“親の愛情不足では?”という言葉の凶器/愛情のない励まし/自尊心は衰えない
第5章 それでも認められたい
「たぶん失敗すると思う。将来」/こんな自分でも分かってほしい/引きこもりでもコンサートには行ける/“非行少年たちの3つの願い”から学ぶこと/これがあるから頑張れる/やる気のスイッチをいかに押してもらうか/頑張りたくない理由/やる気に繋がる3つの段階/見通し/目的/使命感/みんな幸せになりたい
第6章 支援者は何をどうすればいいのか
支援者の心得/関わると面倒くさい人こそ支援が必要/支援者の3つの立場/行動の背景を考え、付き合っていく/「頑張れる」を支える3つの基本/安心の土台/伴走者の存在/チャレンジできる環境/相手の不安に気づく/ずっと支援する姿勢/達成感には他人からの承認が必要/やる気は達成+承認で生まれる/意味のある承認を/他者からの評価なんて気にしなくていい、の問題/評価を上げたければ親切になれ/対人マナーを高める/褒めるのに適切なタイミング/誰から言われるかも大切/嫌われていないこと/一緒に転がる/口出ししないだけでも効果がある/お菓子で気遣いを表現/支援者は笑顔を心がけよう
第7章 支援する人を支援せよ
まずは子どもに近い保護者を支えよ/子どもが変われば大人も変わる/保護者のやり方を無理に変えようとしない/特効薬はないけれど……/社会への橋渡し
第8章 “笑顔”と“ホスピタリティ”
うつに苛まれる教師や医師/実は支援者間のトラブルも多い/繋がりを切るメール/“笑顔”と“ホスピタリティ”/支援すべき相手は身近にいる/出来ないボクは「失礼」な人間
おわりに

薀蓄倉庫

スポーツが苦手な子の問題

 スポーツを通じて連帯感、一体感、助け合い、リスペクトなど健全な精神を養っていくべき、との意見はよく聞かれますが、これが「スポーツが苦手な子」にも当てはまるかと言えば、微妙です。
 著者の宮口さんは中学時代にバスケ部に所属していたそうですが、ほぼ「3軍」に属していて、練習試合にすら参加させて貰えなかったそうです。中三の最後の大会では同級生のチームに勝利が続くことを心から祝えず、負けて引退が決まった瞬間、ホッとしたそうです。中学の部活は、今でも夢に出てくるほどのトラウマ的な体験だそうです。
 宮口さんは「今でもスポーツだけで健全な精神が養われるなどとは感じません。私よりさらにスポーツが苦手な子どもや嫌いな子たちは、もっと辛い体験をしているはずです」「スポーツにおいても、苦手な子や嫌いな子は“頑張っていない”ように見えるでしょうが、頑張っていないのではなく頑張れないのです」と記しています。

掲載:2021年4月23日

担当編集者のひとこと

「頑張る人を応援します!」は危うい

「頑張る人を応援します!」。世間では、そんなメッセージがしばしば流されますが、世の中には「どうしても頑張れない人たち」が存在します。

 そもそも能力的に「頑張る」ということが理解できない人たち。貧困や虐待などが理由で生活そのものがサバイバルであり、勉強や仕事などに頑張る余裕のない人たち。そうした人たちを「頑張らないから」という理由で切り捨ててしまったらどうなるでしょうか? 社会はますます殺伐としたものになっていくでしょう。

 真実を言えば、「頑張れない人」「怠けているように見える人」「関わると面倒くさい人」こそ、応援や支援をしなければなりません。しかし、それは人の自然な感情に反する面もあり(「頑張る人を応援する」方が自然です)、容易なことではありません。本書では、「頑張れない人たち」の真の姿を認識し、彼らを正しく支援していくための方策を詳述しています。

 本書は、2020年に新書部門のベストセラー第一位になった『ケーキの切れない非行少年たち』の続編とも言うべき内容です。「どうしても頑張れない人たち」の一部は、「ケーキの切れない非行少年たち」が大人になった姿でもあります。両作品を続けてお読みいただければ、さらに理解が深まるかと思います。

2021/04/23

著者プロフィール

宮口幸治

ミヤグチ・コウジ

立命館大学産業社会学部教授。京都大学工学部を卒業し建設コンサルタント会社に勤務後、神戸大学医学部を卒業。児童精神科医として精神科病院や医療少年院に勤務、2016年より現職。医学博士、臨床心理士。著書に『ケーキの切れない非行少年たち』などがある。

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