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兜町の風雲児―中江滋樹 最後の告白―

比嘉満広/著

792円(税込)

発売日:2021/01/16

  • 新書
  • 電子書籍あり

カネは、人を狂わせる。投資ジャーナル事件から死の間際まで、全告白。

稀代の相場師として数奇な運命をたどった中江滋樹。小学生で株取引を始め、弱冠20代にして大阪・北浜の若獅子、東京・兜町の風雲児と持てはやされた。その人脈は政財界からスポーツ芸能界まで広がるが、「投資ジャーナル事件」で暗転、塀の中へ。出所後はアングラマネーで再起を図るものの、ついに果たせず海外逃亡、幾度も死亡説が流された。そして2020年、アパートの一室で焼死――最初で最後の自伝的告白。

目次
はじめに
第1章 早熟すぎる相場少年
小学5年で株を買う
数学で全国3番、高校生で信用取引
ニクソン・ショックでの明と暗
ジャパンライン相場で1000万の儲け
大学進学と家族への失望
第2章 チャート修業から株レポートへ
三愛経済研究所での修業・名古屋の日々
レポート誌でボロ儲け・京都の日々
投資ジャーナル設立・東京の日々
ベータvs.VHS戦争から突破口
「大衆が何を求めているか」を読む
第3章 兜町の風雲児
田中角栄との出会い
大物総会屋に協力を仰ぐ
受け渡し不能事件から「10倍融資」へ
銀座と赤坂で散財の日々
ユリ・ゲラー来日と会心の相場
独特の経営スタイル「柱制度」
清純派アイドルとのスキャンダル
赤坂芸者と脱税騒ぎ
若手経営者らとの「2001年の会」
話題の経営者らとの縁
各界に広がる人脈、多彩な交流
バラ撒かれるカネ、狂いだす収支勘定
第4章 転落、投資ジャーナル事件
カリスマ相場師・加藤あきら
最後の相場師・是川銀蔵
権力側に潰される過程
ガサ入れ、そして逃避行
ヨーロッパ潜伏、そして帰国
豊田商事事件で一転、逮捕収監
政界金脈を狙った地検特捜部
詐欺会社とは言わせない
「国策捜査」への恨み節
刑務所でもチャートブック
第5章 汚れたカリスマ、再起への闘い
出所、そして渡米
東京での再起と暴力団マネー
ヤハギ株の仕手戦
三井埠頭手形事件、再び海外逃亡
「ようけ儲けさせてもらった」
精神不安定から放火未遂
第6章 金と相場の魔力
お金は両刃の剣
バブル、ITバブル、リーマンショック
相場とは、投資とは何なのか
僕には相場しかない
風雲の相場師――あとがきに代えて

書誌情報

読み仮名 カブトチョウノフウウンジナカエシゲキサイゴノコクハク
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 192ページ
ISBN 978-4-10-610892-1
C-CODE 0233
整理番号 892
ジャンル ノンフィクション
定価 792円
電子書籍 価格 792円
電子書籍 配信開始日 2021/01/16

薀蓄倉庫

数学的頭脳と人間の業

「宇宙は数学の言語で書かれている」とはガリレオの名言ですが、裏を返せば、とびぬけて数学ができる人には、独特の世界が見えているということなのでしょう。投資ジャーナル事件で詐欺に問われたとはいえ、優れた分析力で稀代の相場師と呼ばれた中江滋樹。高校時代の模試では数学で全国3位の成績を収めたこともあったそうですが、数学では読み切れなかったのが、カネに狂わされる人間の業だったのかもしれません。

掲載:2021年1月25日

著者プロフィール

比嘉満広

ヒガ・ミチヒロ

1952(昭和27)年生まれ、東京都出身。ジャーナリスト。青山学院大学法学部卒業後、『週刊ポスト』『FOCUS』『週刊新潮』で、40年以上にわたり記者を務めた。イトマン事件、総会屋利益供与事件、オウム真理教事件など、社会・経済事件を中心に取材。『兜町の風雲児―中江滋樹 最後の告白―』が初めての著書。

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