ホーム > 書籍詳細:「反権力」は正義ですか―ラジオニュースの現場から―

「反権力」は正義ですか―ラジオニュースの現場から―

飯田浩司/著

836円(税込)

発売日:2020/01/17

  • 新書
  • 電子書籍あり

「マスコミ的正しさ」を疑え。人気ラジオ番組『飯田浩司のOK! Cozy up!』パーソナリティによる刺激的ニュース論。辛坊治郎さん、宮崎哲弥さん推薦!

「マスコミの使命は権力と戦うことだ」そんな建前でポジションを固定して良いのだろうか。必要なのは事実をもとに是々非々で議論し、より良い道を模索することのはず。経済や安全保障を印象と感情で語り、被災地の悪しき風評を広める。その結論ありきの報道は見限られてきてはいないか――人気ラジオ番組パーソナリティとして、また現場に出向く一記者として経験し考えてきたことを率直に綴った熱く刺激的なニュース論。

目次
はじめに
1 基地問題に「分かりやすさ」を求めるな
単純化の罠/「どちらでもない」という民意/「辺野古の声」を聞きにいくと/辺野古にはもともと基地がある/分かりやすさから切り捨てられるもの/基地問題についての私見
2 「軍靴の響き」ってもうやめませんか
すぐに戦前への回帰を心配する人たち/知られざる不発弾処理/不発弾だらけの沖縄/「自衛隊はたのもしい」/自衛隊→戦争というステレオタイプな見方はやめよう
3 安全保障を感情論で語られても
戦争法というレッテル/抗議電話が殺到/腰巾着という批判/強硬論にも要注意/北朝鮮船員を逮捕できない理由/現場を軽視してきたツケ/韓国との距離をどうするか/エビデンスを踏まえた議論を
4 「かわいそうな被災者像」ばかりでいいのですか
「人が住むのにふさわしくない福島」という偏見/「元の町に戻るのは無理」/逆手に取って前向きに/風化を心配する声/「いつまで被災者じゃないといけないのか」/福島発のイノベーション/ドローン先進地帯としての福島/「被災地っぽい絵」を探すのをやめては
5 一体風評を広めているのは誰か
雰囲気に流される報道/いわれのない言いがかり/1000万袋の検査/やめられない検査/セシウムの特性が判明/安心という心の問題/漁業への影響/安心は強制できないが
6 データに基づかない経済の議論に意味はあるか
経済は民を救っているのか/失業率の低下は事実である/騙されないためには一次ソースにあたる/ギリシャと同じにはならない/成長を諦める身勝手/安倍政権は緊縮指向/経済にも「分かりやすさ」の罠がある
7 経済は人命を左右する
就職氷河期世代の人生/マクロ経済の重要性/経済で人は死ぬ/仕事が増えれば自殺者は減る/金融緩和のマイナスばかり強調するメディア/金融緩和は異常なのか/政府も日銀に勝てず/ダブルスタンダード
8 「メディアは反権力であれ」への懐疑
権力との向き合い方/反権力の不安定さ/加計学園問題の記録を読む/「加計ありき」の実態
9 それでも現場に行く理由
震災で失墜したメディアの権威/「ザ・ボイス」で目指したもの/主張には根拠が必要/現場取材が必要な理由/現場は常に問いかけてくる
おわりに

書誌情報

読み仮名 ハンケンリョクハセイギデスカラジオニュースノゲンバカラ
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 224ページ
ISBN 978-4-10-610846-4
C-CODE 0236
整理番号 846
ジャンル マスメディア
定価 836円
電子書籍 価格 836円
電子書籍 配信開始日 2020/01/24

薀蓄倉庫

「軍靴の響き」ってもうやめませんか

 日本国内での自衛隊の活動というと、たいていは災害派遣をイメージされるのではないでしょうか。幸いにして戦闘シーンを見ることは今のところありません。しかし実は、国内には4つの不発弾処理隊が存在していて、いまでも頻繁に出動し、国民の安全を守っているのです。『「反権力」は正義ですか―ラジオニュースの現場から―』(飯田浩司・著)では、危険と隣り合わせで作業を続ける、知られざる不発弾処理隊の活躍をレポートしながら、「自衛隊」イコール「戦争」といった短絡的な見方に疑問を投げかけています。章タイトルの「『軍靴の響き』ってもうやめませんか」に頷く方も多いのでは。

掲載:2020年1月24日

担当編集者のひとこと

ラジオニュースはためになる

 テレビのニュースは時間のわりに効率が悪い。そんなことに気づかせてくれたのは、ニッポン放送の「ザ・ボイス」という番組。飯田浩司アナウンサーが日替わりのコメンテイターと共にニュースの解説をするこの番組の情報量は相当なものでした。
 映像しか伝えられない情報があるのは確かなのですが、一方でその映像が邪魔になることもある。しかもテレビの場合、さほど詳しくない識者とか新聞の編集委員とかが、印象論を語ることが多いうえに、「街の声」にまで時間が割かれる。個人的には特に「街の声」が無駄だと思い、いつもイライラします。単に修業が足りないんでしょうが。
 その点、音声のみのラジオのほうがよほど深い解説をきちんと聴けるので、効率がいい。しかも、安全保障など、テレビが敬遠するテーマを深く掘ってくれたので、仕事上、とても役に立ったのです。
 その番組が終わって寂しいと思っていたら、すぐにほぼ同じコンセプトの「飯田浩司のOK! Cozy up!」が早朝に始まりました(月〜金:朝6時〜)。その時間には寝ていることが多いので、ポッドキャストで聴くのが日課です。相変わらず勉強になります。
 コメンテイターもさることながら、パーソナリティの飯田アナウンサーが経済や政治について実によく勉強していることにもずっと感心していました。
 そんなわけで、その知見とニュースについての意見をぜひ披露していただきたいと考えて執筆をお願いして、この本ができました。
 番組のファンはもちろん、マスコミのニュースの伝え方に違和感を抱いているすべての方に読んでいただきたい1冊です。番組も勉強になるのでお勧めです。

2020/01/24

著者プロフィール

飯田浩司

イイダ・コウジ

1981(昭和56)年生まれ。神奈川県出身。横浜国立大学経営学部卒業後、ニッポン放送に入社。「ザ・ボイス そこまで言うか!」アンカーマンを経て、2018年からニュース番組「飯田浩司のOK! Cozy up!」(月〜金曜・午前6時〜)のパーソナリティ。『「反権力」は正義ですか―ラジオニュースの現場から―』が初の著書。

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