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都道府県は、もういらない。人口減少時代を見据えて描く「日本の未来地図」。

この国のたたみ方

佐々木信夫/著

836円(税込)

本の仕様

発売日:2019/09/14

読み仮名 コノクニノタタミカタ
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 214ページ
ISBN 978-4-10-610829-7
C-CODE 0231
整理番号 829
ジャンル 政治・社会
定価 836円
電子書籍 価格 836円
電子書籍 配信開始日 2019/09/27

交通手段が徒歩や馬だった時代に設定された「都道府県」という仕組みは、もはや合理性を失った。すでに日本人の半数以上は都市部に住んでいる。今後は人口減少が不可避であることを前提に、地域の潜在力を発揮させる「市町村+州」の単位に、統治機構を賢くたたみ直そう──。道州制論者として長年、地方自治のあり方を考えてきた第一人者が描き出す「日本の未来地図」。

著者プロフィール

佐々木信夫 ササキ・ノブオ

1948(昭和23)年生まれ。中央大学名誉教授。行政学者。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、法学博士(慶応大学)。都庁で十六年間勤務。1989年に聖学院大学教授、1994年から2018年まで中央大学教授。著書に『人口減少時代の地方創生論』など多数。

目次

まえがき
第1章 広げすぎた風呂敷をたたもう
「縮む社会」の現実を見据えよ/東京一極集中の現在/2040年問題/「ワニの口」60兆円/別府市の「おくやみコーナー」/世間とズレた役所の常識/工夫すれば廃校も活きる/浜松市の取り組み/大阪は特別区に移行する?
第2章 県庁は仕事のなくなった「卸売業者」
「中2階」の存在/馬が交通手段だった時代の分け方/民間の卸売業の衰退とパラレル/国が考え、地方が行う/県庁は国より頭が硬い?/補助金行政の根深い問題/石川県の市長が語った「しなくてもいい苦労」/都道府県制の見直しが必要な3つの理由/県庁に足を運ぶ機会は稀/フルセット行政の問題点/「横割り」の二重行政/長野市の保健所設置の例/二元行政と二元政治
第3章 道州制で県をたたむ
たたむべき「中2階」自治体/100万人以下の県が続出/国鉄改革に似ている/自民党は公約している/道州制の骨格/持ち味を活かす/道州制改革の7つの論点/府県は消えない?/政令市を特別市に/政令市の構造欠陥/堺屋太一氏の案/国民にどう理解を求めるか
第4章 それぞれの州の強みと売り
地域の持ち味を活かす/沖縄州:ハワイと競い合う存在に/九州州:アジアへのゲートウエイ/四国州:規模の追求ではなく「オンリーワン」が集積する島を目指せ/中国州:重厚長大産業に活路あり/関西州:関東と並ぶ日本の基軸になれ/東海州:日本経済の「胴体」と高付加価値ツーリズム/北陸州:環日本海経済圏の玄関口/関東州:日本のエンジン/東北州:住んで良し、食べて良し/北海道州:北の玄関から北東アジアの拠点へ
第5章 東京を減反しよう
見えない集中抑制策/高層建築ラッシュ/色濃くなる「影の東京問題」/インフラと人の老化/首都直下型地震の怖さ/木造住宅密集地帯/東京を2割減反せよ/日本列島をフリーパス移動社会に/なぜ東京に本社が置かれるのか/大手私大に「地方分校」を/東京23区を都市州に/東京減反政策3つの柱
第6章 二都構想――大阪を「副首都」に
大阪ダブルクロス選/副首都が必要/動きの鈍い国の危機管理策/70年万博後、地盤沈下した大阪/構造的問題は解決していない/「都構想実現」でもっと元気になる/大改革は一夜にして成らず/「総合区」制度は有効か/首都機能の3分の1を大阪へ
あとがき

担当編集者のひとこと

人口減少時代を見据えて考えた「この国のかたち」

 日本はすでに、歴史上経験したことのない人口減少期に入っています。明治維新からこれまでの150年間、人口は3倍に増えました。もちろん所得も増え、税収も増えました。しかし、この先は坂を転げ落ちるように人口が減っていき、その減り方も年を追うごとにきつくなっていきます。
 そんな時代に、人口増の時代に作られた日本の統治機構をそのままにしておいてよいのか、むしろこれからは賢く「たたむ」ことを考えた方がよいのではないか、というのが著者の立場です。

 特に問題なのが、交通手段が徒歩や馬だった時代に設定された「47都道府県」という仕組みです。市町村の合併は進んでいますが、47都道府県という仕組みは明治以来ほとんど変わっておらず、経済活動が広域化している実体とまったくマッチしていないのです。
 一方で日本人の半数以上は都市に住んでいる、という現実があります。こうした二つの現実を踏まえて、今後の人口減少が不可避であることも見据えて、地域の潜在力を発揮させるために「市町村+州」の単位に行政組織を賢くたたみ直そうではないか、というのが著者の提言です。

 いわゆる「道州制」(著者言うところの「日本型州制度」)の議論はもともと、発足当初の安倍政権も政策課題としていましたが、その後、議論は盛り上がっていません。しかし、選挙区でも県をまたいだ「合区」などが導入されるような人口減少時代がすすむ現在、このままの仕組みが持続可能であるとはとても言える状況ではありません。

 現在、人口100万人に届かない県は10県ですが、2045年には19県に増えると見られます。しかも減り方がすさまじく、97万人の秋田県は60万人にまで減る予定で、このままでは70万人規模の政令市よりも人口が少なくなってしまいます(例えば政令市の一つである浜松市の人口は80万人)。市町村という「基礎自治体」と、県という広域自治体の逆転現象があちこちで生じていくのです。道州制の是非についてはいろんな考えがあるにせよ、都道府県という広域自治体の持続可能性には疑問符をつけざるを得ないのです。

 著者は行政学者で、長年、地方自治のあり方を考えてきた第一人者です。本書の一番の「読みどころ」は、「日本型州制度」が導入された後の、各地方の姿を描いた第4章。もとより「頭の体操」ではあるのですが、各州が潜在力を開化させてそれぞれ独自の存在となっていく姿には、夢を感じさせるものがあります。

「沖縄がハワイと拮抗する、滞在型のリゾート地として価値を高める」
「『オンリーワン』が集積する島の四国では、お遍路がサンチャゴ巡礼やメッカ巡礼のような名声を獲得」
「東北の各大学が『東北州立大学』の分校となって、オランダのワーヘニンゲン大学のようなアグリビジネスの世界的研究拠点になる」
「北海道は日本の北の玄関口にとどまらず、北極海航路や北回りの欧州航空路の途上として、物流や国際交流の『北東アジア全域の拠点』として位置づけ直せる」

 など、実際にどうなるかはともあれ、「この国のかたち」に思いを馳せたくなるような指摘も随所に出ています。

 知的刺激と思考の材料をしっかりと提供してくれる本になっていると思います。興味を惹かれた方は、ぜひご一読ください。

2019/09/25

蘊蓄倉庫

130年前に人口がいちばん多かった県とは

 近代日本で府県制度が始まった130年前、いちばん人口の多い県がどこだったかおわかりになるでしょうか? 正解は新潟県。当時、総人口は4000万人ほどでしたが、169万人の新潟県がトップで、148万人の東京府は兵庫県に次ぐ第三位でした。その後、日本の人口が3倍強(1億2000万人以上)に増える過程で、東京の人口は10倍近く(約1400万人)増えていますから、東京一極集中のすさまじさが分かろうというものです。

掲載:2019年9月25日

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