ホーム > 書籍詳細:ネトウヨとパヨク

ネトウヨとパヨク

物江潤/著

836円(税込)

発売日:2019/05/16

  • 新書
  • 電子書籍あり

「反日勢力の陰謀」、「安倍のせいだ」、罵詈雑言の嵐、対話不能……。「右」でも「左」でもない「無知」なのだ。

「すべて中韓の陰謀だ」「いや諸悪の根源は現政権だ」――無知に気付かず、自らの正義を疑わず、対話を拒否し、ひたすら他者を攻撃する。ネット上で日常的な光景となった罵り合いの主役が、ネトウヨとパヨクだ。時に世論をも動かす彼らの影響は、今や中高生にまで及びつつある。眩暈(めまい)のするようなおかしな論理や、無尽蔵のエネルギーはどこから生まれるのか。行動原理や心理を読み解き、建設的な議論への道を探る。

目次
はじめに
第1章 ステレオタイプなネトウヨ・パヨク論を振り返ろう
ネトウヨはどのように語られてきたか
あまりに幅広く使われる言葉「パヨク」
対話可能であれば、レッテルを貼ってはならない
これさえ守れば、ネトウヨでもパヨクでもない
島宇宙が形成される日本
第2章 眩暈めまいがするような主張を繰り返すネット上の人々
対話ができない人々
ネトウヨ春のBAN祭り
お手軽につくれる愛国動画のおぞましい内容
コントのようなアンケート
日夜繰り広げられるネット上での罵り合い
炎上によって一変するネット空間
第3章 結論しかない主張は最強である
飛んで火に入る夏の虫
あまりに複雑な被災地
某紅白出場歌手が激怒した
難攻不落の「結論しかない主張」
説得力のない言葉だから説得できる
結論さえない人々
もはや放置できない存在に
仲間ができにくい政治活動家たち
孤独な政治活動
第4章 無尽蔵のエネルギーが対話相手を疲弊させる
壊れたラジオとの会話
反原発運動家の知識人
「とうとうやったな!」
汚染土を引き受けた反原発運動家
彼らは反知性主義者か?
手が付けられないネトウヨとパヨク
第5章 「真っ白な中高生」に迫るネットの主張
三人に一人が動画投稿者?
スマホを持たせざるを得ない親の心理
アンダーグラウンドなイメージは消えた
イメージは消えたけどアングラはアングラ
インターネットは信頼できる存在
一番信頼している情報源に「YouTube」「まとめサイト」
変わろうとするが、変われない教育現場
基礎知識を知らないままネットに飛び込む
「なんで韓国人は頭おかしいんですか?」
今は一部の生徒だけど
第6章 ネトウヨやパヨクの終着点
ネット上の島宇宙が現実に影響を及ぼすと
普通の朝食が、彼らには特別の日の御馳走に見えた
愛国者たちによる凶悪犯罪
貧しい農民に手を差し伸べない政治への怒り
天皇陛下万歳
終章 それでも、対話をする心構えを持たなくてはならない
居心地のよい島宇宙
島宇宙に入ると脱出が難しい
対話不能な相手に対し、どうメッセージを届けるか
入試改革が対策の一手
今できる数少ないこと
表現の自由とヘイトスピーチの関係
最も守られるべきであり、最も制限されるべき存在
ルールに対する異論
感情的な批判には「生産性」がない
小川氏と岸氏をつなぐ通路
煽動に頼らない言論
おわりに

書誌情報

読み仮名 ネトウヨトパヨク
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 224ページ
ISBN 978-4-10-610812-9
C-CODE 0236
整理番号 812
ジャンル 政治・社会
定価 836円
電子書籍 価格 836円
電子書籍 配信開始日 2019/05/24

蘊蓄倉庫

「ネトウヨ」と「パヨク」の定義とは

 ネットで乱暴なことを言う人のうち、保守っぽい人が「ネトウヨ」で、リベラルっぽい人が「パヨク」。おおむねこんな理解が一般的ではないかと思うのですが、『ネトウヨとパヨク』の著者、物江潤氏は、別の定義を試みています。「保守」と「ネトウヨ」、「リベラル」と「パヨク」を区別するには「対話可能かどうかで分類してしまえば良い」。逆に言えば「対話可能であればネトウヨやパヨクではない」。この分類でいいの? と疑う方は本書をお読みください。

掲載:2019年5月25日

担当編集者のひとこと

興奮しないでください

 巨人入団がかなりイレギュラーだった江川卓投手の入団会見はかなり荒れました。普通は新人に抱負を聞くなど和やかなものなのでしょうが、この時はそうはいきません。
 しかし、いきりたつ記者に対して、江川投手は
「そう興奮しないでください」
 と言ったのですからさすがは怪物です。
 ネット上で、やたらと興奮している人を見ると、この江川投手の名言が頭に浮かびます。そう興奮しないでもいいのでは、と。
 まあもちろんそんなことを言ったら、
「お前は何もわかっていない」とか「傍観者も同罪だ」とか「誰の味方をするんだ」とか怒られるのでしょうが。江川投手の言葉も、記者を余計ヒートアップさせたようです。
 しかし、できれば落ち着いてものを考えたい。あまり頭に血を昇らせたくない。新書の読者はそういう方が多いのではないかと思っています。
『ネトウヨとパヨク』はそんな方に向けての1冊です。
 正義と独善、議論と罵倒の区別がつかない人たちにウンザリしている方にもお勧めします。

2019/05/25

著者プロフィール

物江潤

モノエ・ジュン

1985(昭和60)年、福島県生まれ。早稲田大学理工学部社会環境工学科卒。東北電力、松下政経塾を経て、2022年11月現在は福島市で塾を経営する傍ら社会批評を中心に執筆活動に取り組む。著書に『ネトウヨとパヨク』『空気が支配する国』など。

この本へのご意見・ご感想をお待ちしております。

感想を送る

新刊お知らせメール

物江潤
登録

書籍の分類