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知の体力

永田和宏/著

880円(税込)

発売日:2018/05/17

  • 新書
  • 電子書籍あり

誰も「知力」は貸してくれない。全ての学びたい人に細胞生物学者・歌人の著者が伝える自分自身の鍛え方。

「答えは必ずある」などと思ってはいけない。“勉強”で染みついた呪縛を解くことが、「知の体力」に目覚める第一歩になる。「質問からすべては始まる」「孤独になる時間を持て」「自分で自分を評価しない」「言葉にできないことの大切さとは」——。細胞生物学者にして日本を代表する歌人でもある著者が、これから学ぶ人、一生学び続けたい人たちにやさしく語りかける。自力で生きぬくための本物の「知」の鍛錬法。

目次
I部 知の体力とは何か
1 答えがないことを前提として
大学を高校から切りはなす/正解は一つなのか/答えのない問題/定石では太刀打ちできない/どのように自分で考えられるか
2 質問からすべては始まる
私が大爆発するとき/プレゼンの心構え/以心伝心の功罪/能動的に聞く/先生だって嘘を言う/ヒトの全細胞数は60兆個ではなかった/授業に教科書はいらない
3 想定外を乗り切る「知の体力」を
過剰なプレスリリース/何のために勉強するのか/学習から学問へ/最後の教育機関としての大学/想定外に向き合う知力/「わかっていないこと」を教えたい
4 なぜ読書は必要なのか
ちっぽけな私は実は凄い奴なのだ/「何も知らない〈私〉」を知ること/〈他者〉の発見/生命は自然に生まれる?/科学的な思考法の基本/パスツールの「白鳥の首フラスコ」
5 活用されてこそ〈知〉は意味をもつ
しまい込まれた知識/コラーゲンを飲む/アウトプットへの訓練/知のスペクトル
6 〈私〉は世界とつながっている
永田流、短期派遣システム/英語嫌い/無用のへりくだり/学んでから始めるか、始めつつ学ぶか/ここだけが世界ではない
II部 自分の可能性を自分で摘み取らない
1 落ちこぼれ体験こそが大切だ
大学の教師が親切になった/三重苦に遭う/安全をとるか、おもしろさをとるか
2 多様性にこそ価値がある
アクティブラーニング/教室じゅうを歩きまわる/とにかく聞いていく/「いい先生ばかり」の胡散臭さ
3 先生にあこがれる
岡潔の残したエピソード/研究への情熱が学生に感染する/「パチンコ必勝法を教えたるで」/授業は商品か/「何を教えるか」よりも「誰が教えるか」/先生で志望する大学を択べるか/名著の値段
4 大学に質を求めるな
大学の質保証/「企業、社会が求める人材」とは?/首相の言う「職業教育」/「らしく」の蔓延/「らしく」は同調を強要するミームだ/違っているということから
5 親が子の自立を妨げる
大学から親を駆逐しよう/卒業式で親も卒業/子でなく親の問題/繰り返される失敗のなかにこそ
6 価値観の違いを大切に
「ヤバイ」だけではヤバクない?/特殊な悲しみ/予測変換機能/ヘンな三人組
7 自分で自分を評価しない
妬みのなかの敵意/シンデレラの起こした変化/「私などとてもとても」/自分を位置づけない/ぼっち席/本来ひとりでいるもの
III部 思考の足場をどう作るか
1 二足のわらじには意味がある
この道ひと筋の美学/うしろめたさに苦しんできた/風通しのいい人生/小さな空間に閉じこもらない
2 みんなが右を向いていたら、一度は左を向いてみる
負のフィードバック制御/われわれは弱い/「それらしい」言葉の嘘くささ/言葉は究極のデジタル/コミュニケーションは、アナログのデジタル化
3 メールの功と罪
300通のラブレター/メールは思いを伝えるか/言葉にできない/待つという時間/思考の断片化
4 ひたすら聞きつづける
受ける側の覚悟/妻が望んでいたこと/河合隼雄の極意/聞いてくれる存在/「それは無理」が摘み取るもの
5 「輝いている自分」に出会うには
特別の〈他者〉/伴侶となるべき存在
あとがき

書誌情報

読み仮名 チノタイリョク 
シリーズ名 新潮新書
装幀 新潮社装幀室/デザイン
発行形態 新書、電子書籍
判型 新潮新書
頁数 224ページ
ISBN 978-4-10-610764-1
C-CODE 0210
整理番号 764
ジャンル 文学・評論
定価 880円
電子書籍 価格 836円
電子書籍 配信開始日 2018/05/25

オーディオブック

著者プロフィール

永田和宏

ナガタ・カズヒロ

1947年滋賀県生まれ。歌人・細胞生物学者。京都大学理学部物理学科卒業。京大再生医科学研究所教授などを経て、2020年よりJT生命誌研究館館長。日本細胞生物学会元会長。京大名誉教授。京都産業大名誉教授。歌人として宮中歌会始詠進歌選者、朝日歌壇選者をつとめる。「塔」短歌会前主宰。読売文学賞、迢空賞など受賞多数。2009年、紫綬褒章受章。近著に『知の体力』『置行堀』(第十五歌集)。河野裕子と1972年に結婚。2010年、六十四歳で亡くなるまで三十八年間連れ添った。最後の日々を綴った著書に『歌に私は泣くだらう―妻・河野裕子 闘病の十年』。

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